■ 2015 AED普及マッチJ1の開幕までちょうどあと2週間となった。今週の土曜・日曜はいくつかニューイヤーマッチが開催されるが、日産スタジアムでは横浜Fマリノスと松本山雅が対戦した。ともに2011年8月に亡くなった松田直樹氏がプレーしたクラブで、「2015 AED普及マッチ」と銘打ってAEDの普及活動も合わせて行われた。横浜FMはフランス人のエリク・モンバエルツ監督が就任して、松本山雅は反町監督になって4年目となる。
ホームの横浜FMは「4-2-3-1」。GK榎本哲。DF小林祐、栗原、中澤佑、下平。MF中町、喜田、佐藤優、兵藤、齋藤学。FW和田。大黒柱のMF中村俊はかねてより痛めていた左足首の手術を行って「全治2〜3ヶ月」と公式サイトで発表されている。復帰時期は早くても4月中旬あたりと考えられる。フォワード陣も怪我人が相次いでいるが、高校2年生で二種登録されたばかりのFW和田がスタメンに抜擢された。
対する松本山雅は「3-4-2-1」。GK村山。DF飯田、後藤圭、酒井隆。MF岩間、喜山、田中隼、岩沼、岩上、池元。FWオビナ。岡山から加入のDF後藤圭、京都から加入のDF酒井隆、北九州から加入のMF池元がスタメン起用されて、新外国人のFWオビナが1トップの位置に入った。MF池元は昨シーズンはJ2で15ゴールを挙げている。岡山から加入のFW荒田、東京Vから加入のMF前田直はベンチスタートとなった。
■ 終了間際に松本山雅が決勝ゴール試合の立ち上がりはやや松本山雅ペースとなる。新外国人のFWオビナのキープから何度かいい形を作る。一方の横浜FMは前半15分あたりから1トップで起用されたFW和田のところにボールが入るようになって、17歳のFW和田を中心にチャンスシーンを作るようになる。MF齋藤学のドリブルも効果的で、前半の途中から横浜FMが試合の主導権を握るようになったが先制のゴールは生まれず。0対0で折り返す。
後半も立ち上がりは横浜FMペースで、ゴール前に飛び出したMF兵藤が決定機を迎えるが、キーパーのGK村山が好セーブを見せてゴールならず。後半20分あたりを過ぎると、再び、松本山雅がペースを握る展開になる。すると、0対0で迎えた後半のアディショナルタイムにキーパーのGK榎本哲のキャッチミスをきっかけにゴール前の混戦から途中出場のMF鐡戸が決めて土壇場で松本山雅が先制に成功する。
結局、1対0でアウェイの松本山雅が勝利した。開幕まで2週間となったが、ここで格上の横浜FMを相手にアウェイで勝利したというのは大きな自信になるだろう。新戦力もまずまずチームにフィットしており、松本山雅はいい感じで開幕を迎えることが出来そうな流れになっている。一方の横浜FMは高校2年生のFW和田のプレーは光ったが、最後にキーパーのミスから失点するなど嫌な敗戦になってしまった。
■ 堂々のプレーを見せた17歳のFW和田昌士横浜FMは樋口監督が退いて、フランス出身のエリク・モンバエルツ監督が就任した。経歴を見ると育成年代で実績を積み上げてきた指導者のように思えるが、大黒柱のMF中村俊が手術をして開幕から少なくとも8試合ほどは試合に出場することができなくなったので、いきなり試練が訪れた。MF中村俊の性格を考えると無理をしてでも早くピッチに戻ろうとすると思うが、年齢のことを考えると無理は禁物である。
したがって、MF中村俊がゆっくりと治療に専念できるように若い選手が頑張る必要がある。大黒柱が不在となった「2列目の組み合わせをどうするのか?」が最大の注目ポイントと言えるが、この日は右がMF佐藤優、トップ下がMF兵藤、左がMF齋藤学だった。いずれも運動量のある選手なので、この組み合わせはなかなか面白いと思うが、ブラジルW杯のメンバーだったMF齋藤学には大きな期待がかかる。
昨シーズンの最終節以来なので久々に見たが、オフにシェープアップしたのか、顔つきが変わっている。頬がすっきりとしていて、かなり体重を落としたのではないかと思うが、まずまずキレがあった。前半にドリブルから惜しいシュートを放ったが、あのようなプレーが増えていくと相手の脅威となる。年間を通して主力として活躍しなければならない立場であるが、特にMF中村俊のいない時期は頑張らないといけない。
試合前から注目された高校2年生のFW和田のプレーを観るのは初めてだったが、ちょっとした驚きだった。176センチ/74キロなのでそれほど大きな選手ではないが、1トップの位置で確実にボールをおさめていた。「万能型のフォワード」という風に紹介されていたが、プレッシャーのきついエリアであれだけボールを保持できるのは並大抵のことではない。「スタメン起用も納得」と言えるパフォーマンスだった。
FWマルキーニョスが抜けた後、横浜FMはフォワードで苦しんでいる。FWラフィーニャが軸になるのが一番いい形だと思うが、この日はほとんど目立たなかった。まだコンディションは万全ではなさそうで、この感じならば、「FW和田の開幕スタメン」というのも普通に考えられる。高校2年生に期待をかけなければならない状況はあまりいいことではないと思うが、期待させるだけのプレーを見せたのは間違いない。
■ 開幕前にアウェイで大きな勝利一方の松本山雅は格上の横浜FMを相手にアウェイで勝利出来たのは大きな自信になるだろう。この日は伝家の宝刀で、一番の武器であるMF岩上のロングスローを一度も使わなかった。MF岩上の肩の状態など「コンディションの問題で使えなかった。」という可能性もあるが、普通に考えると「手の内を見せないために隠した。」という可能性の方が高い。「それでも勝てた。」というのは非常に大きい。
この試合は0対0のままで終盤まで進んだ。最後のMF鐡戸のゴールは「オフサイドなのか???」とも思うくらい微妙なプレーだったが、シーズンに入ってからもこういう感じで競り合いに持ち込んで、しぶとく勝ち点を拾う試合は多くなりそうだ。J2で昇格を狙うためには勝ち点「3」を積み上げていく必要があるが、J1で残留するためには勝ち点「1」でもOKなので、J1の方がやりやすいところもあるかもしれない。
松本山雅はオフに何人かの重要な選手が抜けている。「その代役の選手がどこまでできるか?」が大きな注目ポイントとなるが、まず最終ラインは期限付き移籍だったDF犬飼が清水に戻った。J1昇格に大きく貢献した左ストッパーのDF犬飼の後釜候補として岡山のDF後藤圭、京都のDF酒井隆、鳥栖のDF坂井を獲得したが、この日はDF後藤圭が3バックの中央に入って、DF酒井隆は左ストッパーで起用された。
チームの顔ともいえるDF飯田と最終ラインを形成したが、DF後藤圭とDF酒井隆の2人の出来はなかなか良かった。MF齋藤学であったり、FW和田であったり、個人で打開しようとする選手への対応の仕方は完璧とは言えず、何度か突破されるシーンはあったが、トータルで考えると安定していた。特にDF後藤圭は3バックの中央で起用される見込みなので責任重大と言えるが、ボールを奪った後のプレーも落ち着いていた。
■ 太めの体が武器になるかも・・・。一方の攻撃陣は何と言ってもFWオビナである。FW山本大とFWサビアが抜けており、一番不安なポジションが1トップである。ブラジル時代の動画を見たときはオーバーウェイト気味で、体のキレは全く感じられなかった。動画を見たときは「強さはあるが、あまり動かない選手」というイメージを持ったので、『活躍できるかどうかは微妙』と思っていたが、全体のプレーを観ると想像していたよりもはるかに良かった。
「ちょっと戻りすぎなのでは?」と思うほど守備のときも意欲的で、DF中澤とDF栗原という日本屈指のCBを相手にしても何度かボールをキープできた。ドリブルで突進する場面もあって、「意外といい選手なのかも・・・。」という印象を持った。シュートシーンはほとんどなかったので、「得点力がどの程度なのか?」はまだよく分からないが、これだけ動けるのであれば太めの体は逆に武器になるかもしれない。
もちろん、外国人の出来・不出来はどのチームにも影響を及ぼすが、特に今シーズンの松本山雅は1トップのポジションが苦しい陣容で、FWオビナが「大ハズレ」に終わるとかなり苦しくなる。さらに言うと、ロングボールを多用するサッカーなので、1トップの出来・不出来に左右されやすいサッカーである。このポジションの選手の頑張りは超・重要であるが、まずは反町監督を安心させるプレーができたと言える。
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