■ 貴重な勝ち点「1」残留争いをするC大阪が、ビッグスワンでアルビレックス新潟と対戦。前の日に、福岡と京都が敗れたため、C大阪としては、勝てば大きく優位に立てる展開となった。
試合は、両チームとも、前線からのプレスが激しくなくて、パスが回るので、見ている人にとっては面白い試合となった。前半39分、新潟のFW矢野がミドルシュートを決めて先制。しかしながら、C大阪は後半20分、ゼ・カルロスのクロスを西澤がヘッドでねじ込んで同点。しかし、新潟はその直後、ファビーニョが決めて勝ち越し。新潟が2対1とリードするが、後半29分、ゼ・カルロスのクロスから、名波がヘディングで決めて同点。結局、2対2のドローで終わった。
オープンの打ち合いとなったためか、両チームとも多くの決定機を生み出した。C大阪としては、勝てるチャンスはあったが、この時期なので、勝ち点「1」でも貴重である。
■ 新潟を支える寺川能人まず、新潟では、ファビーニョが、左サイドで鬼人の活躍を見せた。とても30歳を超えている選手とは思えないほどアグレッシブで、圧倒的なスピードと強烈なシュートで、C大阪ゴールを脅かし続けた。今シーズンは、ファビーニョが怪我がちで、なかなか、エジミウソン・ファビーニョ・シルビーニョのトリオが揃わないが、3人が揃ったときの新潟の攻撃は、スピーディーで迫力がある。ここまで、期待を裏切ることが多かった矢野も、前線でいい起点となって、攻撃にリズムを作り出した。
あまりメディアに取り上げられることが少ないが、ボクは、今シーズンの新潟のMVPは、寺川能人だと思う。これまでの寺川は、センスがあっていいプレーを見せる試合もあったが、波があって、攻守に安定感がなかった。それが、今シーズンは、シーズンを通して、ハイレベルのパフォーマンスを見せている。
縦に速い攻撃が新潟のスタイルだが、そのスタイルを実現させるのに、一番大切なのは、ボールを奪った後のファーストパスである。最初のパスが味方にあわなかったり、後ろに下げてしまったら、速攻の確率は大幅に減少する。寺川・シルビーニョ・鈴木慎吾・ファビーニョと、MF4人がみんな、一定以上のテクニックがあって、判断の早い選手が揃っているからこそ、得意のカウンターアタックが可能になる。Jリーグだと、ボランチの1人は守備的な選手が務めることが多いが、新潟には、パスセンスのある寺川がいる。このポジションが、他のチームに対するストロングポイントとなっている。
■ 残留へのキーマン 大久保嘉人C大阪も、チャンスを多く作って、悪い試合ではなかった。大久保は、この試合で、5度の決定機を外してしまったが、大久保自体のコンディションは悪くなく、新潟の脅威になっていた。最近の大久保を見ていると、そろそろ代表復帰してもおかしくないほどの状態に戻っていると思う。
余裕がなせる業なのか、大久保は、相手DFを前にしたときでも、決して慌てたそぶりは見せないので、大久保の位置では、確実にボールがおさまる。西澤とのコンビも申し分なく、今年も大久保の活躍でC大阪が残留を決めそうだ。
■ エジミウソン放出はありうるか?新潟は、昨シーズンと比べると、かなり主体的なサッカーを見せるようになった。高さのある矢野と、タメの作れるシルビーニョの加入が大きい。攻撃のときのバリエーションがでてきて、速い攻撃はいっそう効果的になった。課題は、守備力。MFやFWのメンバーに比べると、明らかに質も量も劣っている。DFラインは若い選手が多いので、今後の伸びには期待できるが、来シーズン、上位を目指すのならば、心もとない陣容である。
選択肢としてありうるのが、エジミウソンの放出。エジミウソンには昨シーズンほどの切れがなく、この試合でも、下がりすぎてきて、鈴木慎吾やファビーニョの仕事場を消してしまう場面が見られた。力強いドリブルと決定力は魅力的で、大きな賭けになるが、安定感のあるCBを獲得するためには、エジミウソンoutも考えられるのではないか。日本人で年間10得点ほど挙げられそうなFWを獲得するのは、新潟ほどのクラブであれば、それほど難しいことではないが、安定感のある日本人CBを獲得するのは、不可能に近い。
■ 才能をどう融合させるか?対するC大阪だが、下村の復帰でかなりバランスは良くなったが、古橋が右サイドハーフに位置する布陣は、やはり違和感がある。どうも、C大阪は、攻撃のタレントが集まりすぎていて、有り余る才能を有効活用できていない。もったいない状況である。駒が豊富なだけに、どういう布陣で試合に臨むのかが、今後の、ポイントになりそうだ。
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