オランダとコートジボワールの試合は、2対1でオランダが勝利。前半にファン・ペルジーの直接フリーキックで先制すると、ファン・ニステルローイが追加点を挙げた。その後の反撃を、1点に抑えて、アルゼンチンとともにグループ突破を決めた。内容的には、完全にコートジボワールの試合だった。オランダが主導権を握っていたのは、前半の中ほどのみで、後の時間帯は、コートジボワールが終始ゲームを支配していたが、最後の段階でのパスが不正確で、同点ゴールは奪えなかった。
それにしても、ここまでオランダ代表が押し込まれる試合というのは記憶にない。その要因は、当然、オランダの出来の悪さと、コートジボワールの出来の良さの両方が挙げられるが、まずはオランダ代表の問題から挙げてみたい。
今回のオランダ代表は、決してタレント集団ではないし、優勝候補でもない。ロッベンやファン・ニステルローイ、ファン・デルサールとスーパーな選手もいることはいるが、それ以外の選手はまあまあの選手がほとんどで、かつてのようなビッグクラブの中心選手が11人揃うようなチームではない。
攻撃を見ると、右ウイングのファン・ペルジーと左ウイングのロッベンの突破力はすさまじいが、攻撃はそれだけである。中盤のコク、スナイデル、ファン・ボメルの3人が、攻撃サイドを制御できていないので、必ずどちらかのサイドに偏ってしまう。セルビア。モンテネグロ戦ではロッベンが、コートジボワール戦ではファンペルジーが、目立っていたが、逆サイドの選手はほとんど存在感を示せていない。このバランスの悪さは、深刻である。この試合の後半に、ラファエル・ファンデルファールとが入ったが、状況は変わらなかった。幸いにも、3トップに決定力があるので少ないチャンスをものにして連勝したが、これまでのオランダ代表のサッカーというと、非効率でもこれでもかと攻撃的サッカーを貫いてきたからこそ、世界中のサッカーファンを虜にしたのである。今回のオランダ代表のサッカーには全く魅力を感じない。
対照的に、コートジボワールのサッカーは素晴らしかった。アルゼンチン戦に続き、1対2で敗れて決勝トーナメント進出はならなかったが、サッカー界に新鮮な風を送り込んだ。ドログバを中心に、コネ兄弟やロマリッチが絡む個人技主体のサッカーは伝統的なアフリカサッカーの魅力を引き継いぎながら、オランダの3トップをことごとくオフサイドトラップの罠にかけたように、戦術的にも非常に優れていた。2試合とも、前半に2点を取られる展開になるのは不運といえば不運だったが、監督のやり方次第では、アルゼンチンやオランダ相手にも勝機があったと思う。この点は悔やまれる。
それにしても、コートジボワールの背番号5のボランチのゾコラは凄い。自ら仕掛けていくことも出来るし、散らすことも出来る。テクニックがある選手が多いコートジボワールの中でも、一際輝いていた。
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