■ レベルは下がっているか? 今シーズンのように、1チームが独走状態で優勝を決めると、「ライバルチームが情けなかった。Jリーグのレベルは下がっている。」と言われてしまう。一方で、2005年のように最終節まで5チームに優勝の可能性が残るような団子レースになると、「どんぐりの背比べだった。Jリーグのレベルは下がっている。」と言われてしまう。
「レベル」という言葉は便利な言葉で、「レベルは下がっている。」と上から目線で語ってみると、ものが分かっているような空気を出すことができる。
そもそも、この「レベル」とは、どういうものなのか?「下がった」、「上がった」というからには、比較対象が「いつ」なのかをはっきりさせておかないと、全く意味のないものであるが、漠然と、「Jリーグのレベルは下がっている。」と語ってしまってしまう人がいる。15年前と比べてレベルが下がっているのか?5年前と比べているのか?1か月前なのか?1週間前なのか?昨日と比べているのか?
■ 何をもって判断するのか?①こういった場合、何をもってレベルを図るのか?
今、18年前の試合をスタジアムで観戦し直すことはできない。VTRがあれば、映像で振り返ることができるが、これは、時間もかかるので大変な作業である。(18年前の試合を20試合も30試合も見直して、当時の感覚を思い出してみるのは面白いが・・・。)
また、何をもってレベルを図るのか?比較対象との時間が長ければ長いほど、全体も進化しているはずなので、横ばい状態ならばレベルダウンと考えていいのか?さらには、上位グループだけを考慮して考えていけばいいのか?下部リーグを含めた全体を見て考える必要があるのか?
ヒドイ場合になると、得点王になった選手のゴール数の少なさを見て、「レベルダウン」と判断してしまう人もいるが、本当にそれは正しいことなのか?
■ 何をもって判断するのか?②Jリーグのレベルが上がっているのか?下がっているのか?を考えるとき、分かりやすいのは、日本代表チームの戦績やACLでの戦績である。前述のように、エリートチームの戦績だけを判断材料にするのは必ずしも正確ではないが、1つの指標にはなる。
また、Jリーグでプレーする日本代表クラスの選手の数の増減や、来日してる外国人選手の質やネームバリューで判断する方法もなくはない。(このあたりは、欧州や南米のクラブの事情が絡んでくるので、難しいところではあるが・・・。)
■ 何をもって判断するのか?②ということで、「レベル」という言葉は、使い手側にとっては都合のいい言葉ではあるが、何とでもなる言葉であり、事実かどうかを証明するのも難しいので、出来れば使いたくない言葉であり、使ってほしくないフレーズの一つである。
ただ、どうしても、レベルが上がっているのか?下がっているのか?答えが必要ということであれば、約10年前の1999年と比べてみたい。この年からJ1とJ2が誕生し、2部リーグ制になった。
当時のJ2のメンバーは以下の10チームである。
・コンサドーレ札幌
・ベガルタ仙台
・モンテディオ山形
・大宮アルディージャ
・FC東京
・川崎フロンターレ
・ヴァンフォーレ甲府
・アルビレックス新潟
・サガン鳥栖
・大分トリニータ
J2が出来たとき、「2部リーグを作ってもやっていけるのかな?」と疑問に思ったが、今、改めて見ていると、強烈なメンバーが揃っている。この10チームでJ1昇格経験がないチームはサガン鳥栖だけ。他の9チームはJ1経験があって、6チームが2011年はJ1で戦う予定である。
この中では、大分トリニータが資金難にあえいでおり、札幌や鳥栖も慢性的な資金不足に苦しんでいるが、どのチームも競争力をつけていて、仮に、今、この10チームで4回戦制のリーグ戦を行うとしたら、ハードなこと、この上ない。この10チームで上位2位までに入らないとJ1昇格できない、と考えると頭が痛くなる。
この年、J1の年間王者となったのはジュビロ磐田である。このチームと今年の名古屋グランパスを比べてみたとき、「名古屋が上である。」とは、なかなか言い切れない。大雑把な印象では、トップクラブの実力は、ここ10年ほどは横ばいかもしれない。いつまでも「右肩上がり」というわけにはいかないので、それはそれで仕方がないことである。
ただ、3番手グループや4番手グループは、ここ10年で目に見えて進化しているように感じる。Jリーグのそういう流れというのは、個人的には「悪くないな。」と思う。今の代表チームや、2011年や2012年のACLの成績に直結しないとしても、である。
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チーム力の別なく個人の能力は上がっていると思います
欧州のトップリーグのように資金力にモノを言わせて選手を買い漁り2~3クラブが常に優勝を争い、中位と下位とではっきりと集客能力や話題で差がつくような戦いが恒常化しているリーグと異なり、Jリーグは資金調達や移籍金に莫大な資金の余裕がない分、サラリーの平均化が進み中位にも下位にも、その下のJ2にも能力の高い選手が揃うようになりました。
むろん、各ポジションにすべて能力の高い選手が揃うわけではないので、当然各ポジションに核となりかつ優勝の何たるかを知るクラブの歴史や気風のようなメンタルを持つ鹿島アントラーズのようなクラブ以外は名門と色分けするまでにはいかないのでしょう。
そういう意味では鹿島と一時期壮絶な戦いを繰り広げ火の噴くような死闘を演じたジュビロ磐田が名門に準じるのかもしれませんがそれでもまだ役不足なことはいうまでもないでしょう。
今年のナビスコはジュビロが制し、かつてのライバルのアントラーズ・サポーターから祝福の書き込みが某掲示板にも寄せられるなどジュビロの復活はN・BOXといわれた名波を軸にした華麗なパスワークサッカーを見たものをして「バルサみたいだ」と未だ評されるほどの衝撃を残しました。
さすがにバルサは大げさなものの確かにその攻撃力は当時の日本代表より強いといわれていたのは確かです。
けれども磐田のようなパスワークとポゼッションに支配されるサッカーは一朝一夕にはつくれません。
堅い守りから一気にカウンターとサイド攻撃を仕掛ける鹿島のスタイルがどうしてもJを支配してしまうのはいかんともしがたく、ということでしょうか。
したがって私の意見ではJのレベルは上がっている、それも選手個々の能力は上がっている。
中位と下位の差もそれほどあるわけではないが、トップとの差はクラブ創設のころからの勝ち方が優勝回数としてクラブに意識として根付く伝統を持つクラブを打ち負かす強力なライバルチームがもうひとつ、ふたつ出てくることでさらに劇的にあがるだろうということです。
浦和にしてもガンバにしても、そして今年優勝したグランパスにしても鹿島とはスタイルは異なるとはいえ、まったく鹿島を凌駕する攻撃能力を見せたわけではないので、連続して優勝という強固なクラブとしての戦術スタイルを築けるかどうかが課題だと思います。
先述しましたが攻撃的で能力の富んだ選手を生かす魅惑的なサッカーはかかる時間と金と奇跡が要ります。
しかし是が非でもこのような色分けがJリーグでもなされるべきであり、またそうすべきだと私は思っています。
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