■ 第33節開幕前はJ1昇格候補と呼ばれたものの、すでに昇格の可能性がなくなったコンサドーレ札幌。対するは4位のジェフ千葉。千葉は3位のアビスパ福岡との差が「7」。しかし、前日、福岡が栃木に敗れたため、勝てば「4」差に迫ることができる。
ホームの札幌は<4-2-3-1>。GK高原。DF西嶋、吉弘、石川、岩沼。MF芳賀、上里、藤田、高木、三上。FW内村。今シーズン限りでの退団が決定しているMF砂川がベンチスタート。コンサドーレU-18のMF三上がスタメン出場。
対する千葉は<4-3-3>。GK岡本。DF坂本、青木良、茶野、アレックス。MF山口、佐藤勇、倉田、伊藤、谷澤。FW青木孝。
■ 札幌が勝利試合の序盤は千葉が圧倒。札幌はなかなかボールをキープできずにシュートまで持ち込めない。しかし、前半30分を過ぎると徐々に札幌も自分たちのサッカーができるようになる。双方が何度か決定機を作るが、両チームのGKが踏ん張って0対0で前半終了。
後半はホームの札幌がいい入り方をする。勝たなければならない千葉は後半11分にMF米倉を投入。MF米倉の投入で千葉はダイナミックさが出てきて、いいシュートチャンスを作る。しかし、この日は札幌のGK高原が大当たりの日で、スーパーセーブを連発する。
0対0で迎えた終盤に札幌は途中出場のMF砂川が左サイドを突破。素晴らしいクロスを中央に送ると、これまた途中出場のMF宮澤がヘディングで決めて先制する。MF宮澤は2ゴール目。結局、そのまま1対0で札幌が勝利。千葉は残り5試合で5位に転落。3位の福岡との差は「7」のまま。崖っぷちに追い込まれた。
■ 宮澤が決勝ゴール前半の中盤までは千葉に圧倒された札幌だったが、徐々に千葉がパワーダウン。GK高原の活躍もあって上位の千葉に勝利。今シーズンは千葉を相手に2戦2勝となった。すでに昇格もなくなって、モチベーション的には難しい試合だったが、それでも1万人をオーバーした観客の前で気持ちの入ったいい試合を見せた。
決勝ゴールは途中出場のコンビ。ベテランのMF砂川は得意の左サイドのエリアから絶妙のクロスを入れて、ロンドン世代のMF宮澤のゴールをアシストしたが、少ない時間でも仕事ができるのがMF砂川の良さであり、今シーズンも途中出場がほとんどであるが、22試合に出場している。流れを変えられる選手なので、退団というのはもったいない気もするが、チーム事情もあるので仕方がないのだろう。
■ 1トップの内村の奮闘最初の30分は千葉の一方的な展開だったが、その後はイーブンとなった。イーブンの展開になって、どちらが決勝ゴールを奪うか?先制点を奪った方が勝ち点「3」を取れるのでは?という展開に持ち込めたのは、戦力比で劣る札幌にとっては望ましいものであったが、1トップで奮闘したFW内村の活躍によるところが大きかったと言える。
今シーズン、愛媛FCから加入。昨シーズン19ゴールを挙げた得点力が期待されていたが、ここまで5ゴールのみ。期待に応えられずにいたが、この試合のパフォーマンスは非常に良かった。2列目のMF三上、MF高木、MF藤田を生かすプレーも多くて、慣れていないはずの1トップで見事な頑張りを見せた。
ただ、やはり彼の適正はセカンドトップであり、ターゲットになれるような選手がいたら、このチームは変わると思うが、なかなか適任者は見つからない。MF古田やMF三上を含めて、基本的にはチャンスメーカータイプの選手がほとんどであるが、ボックス内で仕事のできる選手がいれば、相乗効果が生まれる気もするが・・・。
■ GK高原の奮闘9勝11敗11分けで13位。失望のシーズンを送っている札幌であるが、GK高原のパフォーマンスだけはシーズンを通して安定していて、ビッグセーブが多かった。31試合で36失点。DF岩沼らディフェンスラインに怪我人が続出していて、波の激しかったチームを最後尾から支えた。
もともとGK高原は大学卒業後にジュビロ磐田に入団。FW高原直泰と同じ苗字ということで話題を集めたが、なかなかポジションは奪えずにいたが、30歳手前になって札幌でポジションを確保し、素晴らしいシーズンを送っている。
■ 昇格は厳しい千葉は残り5試合で3位の福岡とは「7」差。4位の東京Vとは試合数が違うとはいえ、順位を逆転されてしまった。この大事な終盤に来て3連敗。同じような負け方が続いているのが気になるところである。この日も立ち上がりは相手を圧倒し、決定機を作ったが、チャンスに決めきれないのは相変わらず。前半に1点を先制していれば違ったと思われたが、最後までネットを揺らすことができなかった。
相手の札幌も同様な傾向はあるが、戦い方が一本調子というか、パターンが少ないのが気になるところであり、ハマったときは問題ないが、相手に対応されたときに次のパターンが出て来ずに、行き詰ってしまうことが多い。アウェーではわずかに3勝のみ。上位3チームに勝ちなしの3敗3分けでは5位という順位も仕方がない。
■ 補強は万全だったか?FW近藤、FW内村というJ2で実績のあるストライカーを補強し、前線をパワーアップさせたはずの札幌が31試合で31得点と全く攻撃陣が振るわずに低迷しているのは予想外であるが、千葉はシーズン前の補強の段階から、「どうかな?」という点が多くて、苦しみそうな予感はあったが、15勝10敗6分け。思うような結果は出ていない。
J2の場合は、何よりも前線のパワーが必要で、膠着した展開になったときにねじ伏せてくれるようなストライカーがいないと、律儀に各ポジションにアベレージ以上の選手を備えたとしても、うまくいかない傾向が強い。千葉には、FWネットとFW巻という二人のストライカーがいたが、FW巻はアムカルに移籍し、FWネットは終盤の肝心な試合を欠場することが続いている。
いい試合をして、結果的に勝ち点「1」に終わっても、J1では「まあOK。」となるが、J2では「勝ち点2を失った。」という心理になってしまう。昇格を争うライバルの柏、甲府、福岡、東京Vともに昇格を経験したチームであるが、千葉はJ2自体が未経験であり、この差が出てしまっている。
前線以外は、各ポジションに同じような能力を持った選手を揃えて、万一に備えることやチーム内の競争を煽ることは間違いではない。柏は別格として、甲府や福岡には代えの利かない選手が何人もいてこの2チームはキーとなる選手に大きな怪我がなかったことも大きかった。
もし、昨シーズン前のように3回戦制であり、シーズンで50試合近くのリーグ戦であったならば、千葉の選手層の厚さは間違いなく他チームにとって脅威となっただろうが、今シーズンはわずかに36試合。シーズン前の補強に力を入れて、好プレーヤーを何人も獲得したが、力を入れるところを間違ったような印象は受けてしまう。
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