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牛肉はどうなる?
Tescoの「完全菜食主義広告」に向けられた英国農民の怒り。
しかしスーパーマーケット業界も、長年農民を搾り取る。

What’s the beef? British farmers rail against Tesco’s VEGAN advert, but supermarkets have been squeezing them for years

RT Home UK News 2019年10月18日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループo. 2019年12月13日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/uk/471251-farmers-tesco-vegan-ad/


© Reuters / Toby Melville

英国の小売大手Tescoの新しい「完全菜食主義」支持広告は、英国の農民を憤慨させた。 しかし、トレンドの変化、収益の低下、そしてスーパーマーケット自体が長年にわたってこの産業の存立を脅かしている。

ひとりの小学生の女の子が、「パパ、もう動物は食べたくない」とTescoの新しい広告「カールのすべてが変わる鍋料理」で言う。 カールは人一倍子煩悩なので、彼の代表的な料理のソーセージを植物ベースの代替品に取り換え、テスコの「植物シェフ・レンジ」のおかげで家族は再び幸せにというわけだ。

National Farmers 'Unionは、この広告に反対し、「肉を一つの食物群として悪魔化している」と反対している。肉は本来タンパク質が豊富で、「鉄、亜鉛、必須ビタミンの優れた供給源」であると彼らは言う。

「肉の悪魔化によって生計が危険にさらされている農民にとって、感情に先走った言説やまったく無神経な説教は、更なる打撃となった」と、酪農農家のノリーン・ウェインライトは、テレグラフ紙のコラムに後日書いている。

実際、近年の嗜好傾向の変化は、英国の農家に一連の打撃をもたらしている。 2018年の調査は、英国人の7%が完全菜食主義者で、14%がベジタリアンであると推定している。 赤肉の消費量は過去10年間で約10%減少し、ある牛肉製品の需要は昨年だけで7%減少した。 酪農産業も脅威に晒され、牛乳の消費量は1970年代以来3分の1に減少、5人に1人の顧客が豆乳やオート麦牛乳などの代替品を選択している。

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人間は雑食動物であり、植物ベースまたは肉ベースの食事で健康的に生きられる。 もっとも、完全菜食主義者は肉にのみ含まれる必須栄養素を補う必要はあるが。 しかし、食事の好みはさておき、経済的要因により、英国の農民は、肉離れが今後ちょっと進むだけで破局に至る可能性がある。

ほとんどの英国牛肉生産農家は赤字操業で、EUからの補助金に依存し、収支トントンの状態だ。 この生命線は、EUから離脱すればすぐに引き上げられてしまう可能性がある。 世界市場で、英国の牛肉生産者は北米でよく見られる産業方式との競争を余儀なくされている。北米方式は、牛に大量の成長ホルモンと抗生物質を投与してから屠殺する。 そして大特価で販売するからだ。

その結果、英国の牛の頭数は近年着実に減少している。 一方10箇所を越す「メガファーム」が出現して、牛乳パックや肉パックに頻繁に描かれていた田舎の牧草地に取って代わった。 規模の経済性だけで利益を上げているこれらのアメリカ式仕様上飼養場では、最大3,000頭の牛の群れが飼育され、その多くは草のない囲い地で長期間飼育されている。

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個々に、100万羽以上の鶏または20,000頭以上の豚を飼育している何百もの同様の事業も、英国の田舎で一般的になっている。

英国のスーパーマーケットも、小規模農家を廃業させる上で重要な役割を果たしてきた。 それは視聴者の気分をよくする完全菜食広告が流されるずっと以前からのことだ。 英国の買い物客の要求は高い健康基準と環境保護を考慮した英国産牛であり、しかもリーズナブル価格を求めている。 スーパーマーケットはこれを提供し、農民からは生産コスト以下で買いたたき、輸入の脅威を利用してコストを抑えていると、『ラベルの裏側』の著者フェリシティ・ローレンスは、ガーディアン紙に書いている。

「サステイナブル・フード・トラスト」の政策担当部長、リチャード・ヤング氏は、「メガファーム」から牛肉を調達することで、スーパーマーケットは「牛肉の小売価格を、従来の農家が生産できる価格よりも下げることができる」と言っている。 「しかしその結果、彼らは廃業するのですが。」

Tesco、Sainsbury’s、Morrisons、およびAsdaはすべて、「メガファーム」から肉を調達している。
したがって、英国の農民は四面楚歌の状態だ。 完全菜食主義者には、自分達の農産物は殺人であると言われ、環境保護主義者からは、母なる地球を破壊して生計を立てていると言われる。 より少ない金で、より多くの製品を搾り出そうとするスーパーマーケットに対して、英国の農民が脅威を感じるのは当然のことだ。

放映されたひとつの他愛もない広告は、大ごとには見えないかもしれない。 しかし、すでに生命維持装置をつけられた業界からすれば、そんな広告でも、農民には「重大な苦悩」を引き起こしているとする主張は、大袈裟な言い方でないかもしれない。
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