ロンドンの凋落:犯罪が首都を破壊しているのに、
メイとカーンは時間を空費している
London has fallen: May & Khan fiddle while crime destroys capital
ジョン・ワイト
RT Home / Op-ed / 2019年7月16日
(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年8月21日)
<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/op-ed/464301-poverty-crime-gangs-london/
ジョン・ワイトは様々な新聞、ウェブサイトで執筆しています。インディペンダント紙、モーニング・スター、ハフィントン・ポスト、カウンターパンチ、ロンドン・プログレッシブ・ジャーナル、外交政策ジャーナルなどです。
(left top) (left bottom) (right)
(左上)© Pool via REUTERS/Yui Mok;
(左下)© Global Look Press/ZUMAPRESS/Gustavo Valiente;
(右)© REUTERS/Simon Dawson
テレサ・メイがダウニング街(首相官邸)を去ろうとしているとき、イギリスが、これほどまでに衰弱し、崩壊し、指導者がいないように見えたことは一度もない。
ロンドンは、世界の主要な都市の一つとして、多文化主義、活力、事業、チャンスの指針に長くなってきた。そのロンドンで、巨大に広がった団地の通りに、死が忍び寄っている。暴力団同士の抗争で、主に10代の少年や若者の当事者の命が、殺し、殺される致命的シナリオで減少している。一方、首都警察は街の管理力を失ったという結論が、今や避けられなくなっている。首都警察自身の統計によれば、今年1月から6月までで次のことがわかる。
• 125,190件の窃盗
• 108,084の暴行
• 9,998件の性的暴行
• 24,918件の公的秩序妨害
• 21,906件の薬物違反
• 40,409件の強盗
同じ6ヶ月期間になされた殺人の数は67人である。それは上記の暴力団抗争で殺された人々がかなりの割合を占め、衰える兆しのないナイフ犯罪騒ぎの犠牲者である。
それらは非常に核心を突いていると石に刻まれるに値する言葉で、サディク・カーンロンドン市長は最近宣言した。貧困と若者の暴力犯罪の間には関連があると。それは、太陽に晒すことと日焼けの関係を言うのと同じことだ、と。
サディク・カーンが、ロンドンにおける法と秩序の壊滅的崩壊の責任があるにも拘わらず(いずれにしろ彼は市長だから)、大半の責任は、10年に及ぶ保守党の緊縮財政にある。緊縮財政とは、人間を絶望に陥れる巨大な実験であり、今後も続く厄介な用語である。
そしてとても贅沢に教育された、裕福な過激派からなる保守党の管理層の中で、現在テレサ・メイ首相は、手を血に染めている。今日それでも彼女は、内務大臣だったときに導入した大規模な警察官削減と、ナイフによる犯罪の蔓延との関連を、厚かましくも否定している。その削減は、イギリスとウェールズの第一線の警官が2010年より2万人少ないというレベルまで達した。
私達にあるのは、典型的で完全な騒乱だ。保守党の緊縮財政下、賃金は下がり、物価は上がり、公共サービスは完全に(最低限度まで)削減され、警官の数も削減された。原因と結果に取り組むのにアリストテレスである必要はない。それについては古代ギリシャの哲学者は何世紀も前に、サディク・カーンが喚起したことを理解していたのだ。つまり「貧困は、革命と犯罪の親である」と。
ロンドンを飲み込んでいる暴力犯罪の危機を一層ひどくしたのは、ブレグジット(EU離脱)である。EU離脱は、国の政治指導者の全てのエネルギーと焦点を集めている。3年後の結果はカオスの極みである。イギリスは、第二次世界大戦以来直面してきた最も深刻な政治危機で、国の政治家や支配階級が国の舵取りができずに、政府機能麻痺に陥っている。
EU離脱は、まさに本当の意味で諺に出てくる壁の中のレンガだということがわかってきた。つまりそのレンガを取り去れば全体構造が崩れ落ちるということだ。イギリスは、植民地時代後に国民が団結できるというアイデンティティを失った。ただし、前述の第二次世界大戦の時、そして女王や他の王族のメンバーが、動物園の技をするように仕込まれたアザラシのように登場すると、儀式の旗を振るいつもの行事の時は、別としてもである。アイデンティティを失った国、これが2019年のイギリスだ。
どの都市やどの国の暴力団文化は、主流文化を反転させたものだ。暴力団文化は、社会的に無視され疎外されたコミュニティから若者を吸収することに、主流社会が失敗していることを示している。そして主流社会から拒絶されたことの反応として、これら若者達は、代わりに、主流社会の価値観もモラルも社会慣習も法律をも拒絶する。
怪物コディとしてよく知られているロサンジェルスの伝説的な暴力団の親分コディ・スコットが書いているように、「原則は尊敬であり、それは全ての人間関係に絶対不可欠な要をなすものである。だからゲットーやスラムでは30倍に拡大する」。彼はさらに多分こう続けただろう。何も持たない人々への尊敬は、それがない人間は、生きる価値がないというというところにまで高められる。一方、何も持たない人々への尊敬を犯そうとする者達は、生きる価値がないと見做される。
一方、「尊敬を欠く」ことの原則に関して、保守党のボリス・ジョンソンとジェレミー・ハントの指導部争いをご覧なさい。誰が勝とうが自動的に次期首相になる。党の18万人の党員だけの投票でそうなることは、民主主義の蹂躙である。
さらに悪いことには、どちらがダウニング街(首相官邸)に入ろうと、すぐドナルド・トランプの懐に滑り込むだけである。次期保守党の首相は、アメリカ覇権の祭壇でひざまずくだろう。私はそれがどんなものかちょうど垣間見たところだ。ワシントンの命令で、イギリス海兵隊は、最近イランの石油タンカーに乗り込み拿捕したのだ。イランのタンカーは、ジブラルタル海峡で仕事をしていたときだ。
ロンドンは凋落した。在りし日の帝国の首都は今やどこにもないし、何もない。その基盤が崩れている時、力と権力の見せかけを取り繕おうとしているだけだ。かつて世界の4分の1に広がった帝国に敬意を表して、ロンドンに定着した堂々とした像や記念碑は、今や突然、かつて壮大だったが、今は見捨てられたテーマパークの展示品ように見える。
ジョン・ワイト
RT Home / Op-ed / 2019年7月16日
(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年8月21日)
<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/op-ed/464301-poverty-crime-gangs-london/
ジョン・ワイトは様々な新聞、ウェブサイトで執筆しています。インディペンダント紙、モーニング・スター、ハフィントン・ポスト、カウンターパンチ、ロンドン・プログレッシブ・ジャーナル、外交政策ジャーナルなどです。
(left top) (left bottom) (right)
(左上)© Pool via REUTERS/Yui Mok;
(左下)© Global Look Press/ZUMAPRESS/Gustavo Valiente;
(右)© REUTERS/Simon Dawson
テレサ・メイがダウニング街(首相官邸)を去ろうとしているとき、イギリスが、これほどまでに衰弱し、崩壊し、指導者がいないように見えたことは一度もない。
ロンドンは、世界の主要な都市の一つとして、多文化主義、活力、事業、チャンスの指針に長くなってきた。そのロンドンで、巨大に広がった団地の通りに、死が忍び寄っている。暴力団同士の抗争で、主に10代の少年や若者の当事者の命が、殺し、殺される致命的シナリオで減少している。一方、首都警察は街の管理力を失ったという結論が、今や避けられなくなっている。首都警察自身の統計によれば、今年1月から6月までで次のことがわかる。
• 125,190件の窃盗
• 108,084の暴行
• 9,998件の性的暴行
• 24,918件の公的秩序妨害
• 21,906件の薬物違反
• 40,409件の強盗
同じ6ヶ月期間になされた殺人の数は67人である。それは上記の暴力団抗争で殺された人々がかなりの割合を占め、衰える兆しのないナイフ犯罪騒ぎの犠牲者である。
< Also on rt.com ‘Unarguable link’: Sadiq Khan blames Tory cuts on rise in youth stabbings in London (さらに読む)「‘議論の余地もない関連性’:サディク・カーンはロンドンの若者刺殺の増加の原因は、保守党が予算を削減したことだと非難する」 |
それらは非常に核心を突いていると石に刻まれるに値する言葉で、サディク・カーンロンドン市長は最近宣言した。貧困と若者の暴力犯罪の間には関連があると。それは、太陽に晒すことと日焼けの関係を言うのと同じことだ、と。
サディク・カーンが、ロンドンにおける法と秩序の壊滅的崩壊の責任があるにも拘わらず(いずれにしろ彼は市長だから)、大半の責任は、10年に及ぶ保守党の緊縮財政にある。緊縮財政とは、人間を絶望に陥れる巨大な実験であり、今後も続く厄介な用語である。
そしてとても贅沢に教育された、裕福な過激派からなる保守党の管理層の中で、現在テレサ・メイ首相は、手を血に染めている。今日それでも彼女は、内務大臣だったときに導入した大規模な警察官削減と、ナイフによる犯罪の蔓延との関連を、厚かましくも否定している。その削減は、イギリスとウェールズの第一線の警官が2010年より2万人少ないというレベルまで達した。
私達にあるのは、典型的で完全な騒乱だ。保守党の緊縮財政下、賃金は下がり、物価は上がり、公共サービスは完全に(最低限度まで)削減され、警官の数も削減された。原因と結果に取り組むのにアリストテレスである必要はない。それについては古代ギリシャの哲学者は何世紀も前に、サディク・カーンが喚起したことを理解していたのだ。つまり「貧困は、革命と犯罪の親である」と。
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ロンドンを飲み込んでいる暴力犯罪の危機を一層ひどくしたのは、ブレグジット(EU離脱)である。EU離脱は、国の政治指導者の全てのエネルギーと焦点を集めている。3年後の結果はカオスの極みである。イギリスは、第二次世界大戦以来直面してきた最も深刻な政治危機で、国の政治家や支配階級が国の舵取りができずに、政府機能麻痺に陥っている。
EU離脱は、まさに本当の意味で諺に出てくる壁の中のレンガだということがわかってきた。つまりそのレンガを取り去れば全体構造が崩れ落ちるということだ。イギリスは、植民地時代後に国民が団結できるというアイデンティティを失った。ただし、前述の第二次世界大戦の時、そして女王や他の王族のメンバーが、動物園の技をするように仕込まれたアザラシのように登場すると、儀式の旗を振るいつもの行事の時は、別としてもである。アイデンティティを失った国、これが2019年のイギリスだ。
どの都市やどの国の暴力団文化は、主流文化を反転させたものだ。暴力団文化は、社会的に無視され疎外されたコミュニティから若者を吸収することに、主流社会が失敗していることを示している。そして主流社会から拒絶されたことの反応として、これら若者達は、代わりに、主流社会の価値観もモラルも社会慣習も法律をも拒絶する。
怪物コディとしてよく知られているロサンジェルスの伝説的な暴力団の親分コディ・スコットが書いているように、「原則は尊敬であり、それは全ての人間関係に絶対不可欠な要をなすものである。だからゲットーやスラムでは30倍に拡大する」。彼はさらに多分こう続けただろう。何も持たない人々への尊敬は、それがない人間は、生きる価値がないというというところにまで高められる。一方、何も持たない人々への尊敬を犯そうとする者達は、生きる価値がないと見做される。
一方、「尊敬を欠く」ことの原則に関して、保守党のボリス・ジョンソンとジェレミー・ハントの指導部争いをご覧なさい。誰が勝とうが自動的に次期首相になる。党の18万人の党員だけの投票でそうなることは、民主主義の蹂躙である。
Also on rt.com Shock in south London after pregnant woman stabbed to death in broad daylight (さらに読む)「妊婦が白昼刺されて死亡。南ロンドンの衝撃」 |
さらに悪いことには、どちらがダウニング街(首相官邸)に入ろうと、すぐドナルド・トランプの懐に滑り込むだけである。次期保守党の首相は、アメリカ覇権の祭壇でひざまずくだろう。私はそれがどんなものかちょうど垣間見たところだ。ワシントンの命令で、イギリス海兵隊は、最近イランの石油タンカーに乗り込み拿捕したのだ。イランのタンカーは、ジブラルタル海峡で仕事をしていたときだ。
ロンドンは凋落した。在りし日の帝国の首都は今やどこにもないし、何もない。その基盤が崩れている時、力と権力の見せかけを取り繕おうとしているだけだ。かつて世界の4分の1に広がった帝国に敬意を表して、ロンドンに定着した堂々とした像や記念碑は、今や突然、かつて壮大だったが、今は見捨てられたテーマパークの展示品ように見える。
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