■ J2の第29節J2の第29節。6勝13敗9分けで勝ち点「27」の栃木SCがホームの栃木県グリーンスタジアムで横浜FCと対戦した。横浜FCは9勝11敗8分けで勝ち点「35」。プレーオフ出場権争いに加わっていたが、24節の熊本戦(H)から痛恨の5連敗。14位まで順位が下がった。栃木SCは残留圏ギリギリの20位。阪倉裕二前監督が辞任をして倉田監督になったが、監督を交代した後は4試合で1勝2敗1分け。21位の大分との差は「1」。
ホームの栃木SCは「4-2-2-2」。GK竹重。DF荒堀、ハン・ヒフン、イ・ジュヨン、パク・ヒョンジン。MF本間、小野寺、廣瀬浩、中美。FW河本、阪野。2013年と2014年は山形でプレーした新加入のDFイ・ジュヨンが初出場。最終ラインは韓国人が3人並ぶ形となった。攻撃の中心となった大卒2年目のMF中美は27試合で8ゴールを挙げている。倉田監督に初勝利をもたらしたのはMF中美の強烈なシュートだった。
対するアウェイの横浜FCは「4-2-2-2」。GK南。DF市村、森本、野上、中島崇。MF寺田、中里、松下年、小池純。FW大久保哲哉、小野瀬。昨シーズンは栃木SCでプレーしたFW大久保哲哉は古巣対決となる。2014年は36試合で9ゴールを挙げている。J2通算では295試合で82ゴールを挙げている。48歳になったFW三浦知はこの日はベンチスタートとなった。今シーズンは14試合に出場して3ゴールを挙げている。
■ 2対1でホームの栃木SCが逃げ切る。試合は前半27分にホームの栃木SCが先制する。右SBのDF荒堀がドリブルで中央を突破して右サイドに流れたFW阪野にパスを送ると、FW阪野から戻ってきたパスを右足で落ち着いて決めて栃木SCが先制に成功する。DF荒堀は今シーズン初ゴールとなった。しかし、前半35分に横浜FCはFW大久保哲哉の落したボールに反応したMF松下年がうまく頭でコースを変えてゴールイン。1対1の同点に追いつく。
追いつかれた栃木SCだったが、3分後の前半38分に左SBのDFパク・ヒョンジンの右足のクロスをFW河本が頭で決めて2対1と勝ち越しに成功する。J1の甲府から期限付き移籍中のFW河本は今シーズン4ゴール目となった。左足のキックに定評のあるDFパク・ヒョンジンが切り返して右足で高精度のクロスをゴール前に供給した。いいポジションを取っていたFW河本に「合わせるだけでOK」という最高のクロスが届いた。
後半はどちらのペースとも言えない展開になる。3点目を取りたかった栃木SCであるが、後半はあまりチャンスシーンを作れず。5連敗中の横浜FCはFW黒津らを投入。サイド攻撃からチャンスを作ろうとしたが、栃木SCのキーパーのGK竹重を脅かすようなシーンはほとんど作れなかった。結局、栃木SCが2対1で勝利。倉田監督になってからは2勝2敗1分けとイーブンの成績になった。一方の横浜FCは6連敗となった。
■ 痛恨の6連敗となった横浜FCベテランのGK南を中心とした堅い守備でプレーオフ出場争いに加わっていた横浜FCだったが、まさかの6連敗。順位は16位まで下がった。28節の東京V戦(H)は1対6で完敗を喫したが、ホームでこれほどの点差をつけられるというのは精神的なダメージが大きい。その後遺症が心配されたが、東京Vに大敗した影響が全くなかったとは言えず。6連敗中は合計18失点と堅守が嘘のように簡単に失点する場面が目立つ。
試合前の時点で14位の横浜FCと20位の栃木SCの差は「8」だったが、これで「5」となった。幸いにして21位の大分が敗れたため、もっとも気になる21位との差は「9」のまま。残り13試合で「9」差を逆転するのはかなり難しい。まだ慌てるような状況ではないが、21位の大分はもちろんのこと、22位のFC岐阜も結構な戦力を有している。「力のあるチームが下位に沈んでいる。」というのは何とも不気味である。
これで6連敗となったが、メンバーややり方が大きく変わっているわけではない。ちょっとしたことがきっかけとなって勝ち点を伸ばせずにいるが、今シーズンのJ2は下位に沈んでいるチームも名前のある選手が多いので、少しの歯車の狂いで勝てなくなる中堅以上のクラブが続出している。11試合勝ちなしの札幌、8試合勝ちなしの岡山が未勝利地獄にハマっているが、本当に厳しいリーグになってきた。
■ とりあえずとして雰囲気は良くなった栃木SC大きな勝ち点「3」を獲得した栃木SCは順位は20位のままであるが、入替戦圏内となる21位の大分との差が「4」に広がった。1試合で逆転されない差になったのは非常に大きい。19位の水戸とは同じ勝ち点「30」となったが、17位の岡山との差も「2」のみ。次の30節はホームで最下位のFC岐阜と対戦するが、ここで勝てると残留への道が開けている。一方で敗れると下位グループはさらに混沌としてくる。
次のFC岐阜戦(H)が今シーズンの栃木SCにとって「もっとも大事な試合」と言えるが、雰囲気はかなり良くなった。倉田監督になってから5試合目。夏の移籍市場で獲得したDFイ・ジュヨンが初スタメンを飾ったが、ほとんどの選手は阪倉監督の頃から中心としてプレーしていた選手である。栃木SCもメンバーややり方が大きく変わったわけではないが、チーム内に漂っている雰囲気は全く違っている。
阪倉前監督は真面目なタイプだった。コーチ経験が長かったこともあって分析力に定評があったが、倉田監督はもっと情熱的でエネルギッシュなタイプである。試合後のインタビューを聞く限りでは場を盛り上げようとするサービス精神に溢れており、雰囲気を明るくすることができる。沈みがちで停滞感も感じられた今シーズン栃木SCには「必要なキャラクターの指導者だった。」といえるのではないかと思う。
J2の大半のチームは「攻撃陣」に課題を抱えているが、栃木SCも同様である。「決定機に決められない。」というシーンが非常に多くて、その点はネックとなったが、この日は2つのチャンスを確実にゴールに結びつけた。運動量が多くて体の強いFW阪野がフォワードの軸となるが、やはり、その周りでプレーするFW河本やMF中美やMF湯澤やMF廣瀬浩やMF松村あたりの出来がきわめて重要になってくる。
さらについ先日、日光市出身の清水のMF金子翔の加入が決まった。一時期、J1の清水でもスタメンで出場していたが、非常に運動量が多くて、ドリブルで局面を打開することもできるし、ゴール前ではいいポジションを取ってチャンスシーンに絡むことができる。意欲的なプレーができる選手なので、かなりいい補強ができたのではないか。20位と苦しい位置にいるが、ポジティブに考えられる要素が増えてきた。
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