11月30日は、Jリーグのチームにとっては特別な日で、各チームのサポーターにとっては、最も憂鬱な気分にさせられる日です。今年も、日本代表を経験している大物選手が何人も、戦力外を通告されています。
■ ジャーンについて今シーズンのFC東京の低迷の一番の理由は、守備が安定しなかったから。センターバックに茂庭とジャーンが並んだときは、安定感があったが、他のメンバー(伊野波・藤山・増嶋・中澤ら)がスタメンで起用されたときは、著しく安定感を欠いた。怪我が多かったとはいえ、実際問題として、ジャーン以上のCBを獲得することは、かなり難しい。やや疑問が残る判断となった。
■ 原博美監督についてFC東京への復帰が濃厚といわれる原博美監督。この選択には、賛否両論あると思うが、ボクは賢明な判断だと思う。「一年で復帰させるのなら、この一年はなんだったのか?」ということもいえるが、ガーロ→倉又路線は誤りだったいうことを、素直にフロントが認めたということだろう。世界中を探しても、原氏以上にFC東京の監督にふさわしい監督はいないだろう。最も適した監督であることに違いはない。
今のFC東京は難しい。磐田や鹿島、横浜のように、伝統のあるチームならば、どんな監督になっても、ある程度、チームのやり方(目指すサッカーのベース)が固まっているので混乱はないのだが、FC東京のようなトップリーグでの経験の少ないチームであれば、まだ、しっかりとしたチームの方向性が固まっていないので、監督の好みによって、チーム戦術が左右されることがある。
特に、FC東京には、石川・今野・梶山・徳永・平山・鈴木・馬場といった優秀な若手が揃っていて、このタレントを見ると、サイド重視のサッカーでも、カウンタースタイルのサッカーでも、ポゼッションサッカーでも、どんなスタイルにも対応可能であると思われる。そんな状況の中で、どっちつかずにな、いまひとつ、やり方が定まらなかったのが今シーズンの、FC東京だったように思う。
前回の監督時代には、原氏の理想とするサッカーとピッチで行っているサッカーに、(タレント不足もあって、)若干のズレがあったが、今の選手層を見ると、もう言い訳は許されない。原氏がどんなサッカーを展開するのか、楽しみだ。
■ 柳下正明監督について札幌のフロントの考えは、理解できない。今シーズン、J1昇格争いにも参加できなかったのは事実で、試合中の選手交代に問題があるなど、
不備があったのは事実だが、札幌の目指しているサッカーには可能性を感じた。
監督を交代させるときは、しっかりとした理由がなくてはならない。「成績不振がふるわなかったから監督を交代する。」というのは、その理由にはならない。後任の監督の目処がついていて、現在の体制で行くよりも、結果が残せる可能性が高いと判断した上での決断であればいいが、ビジョンがない監督交代は、チームを迷走させるだけである。この交代劇で、札幌はJ1昇格の可能性が、かなり小さくなった。残念だ。
■ アウトゥオリ監督についてチームの方向性を巡ってフロントと対立して、契約更新にならなかったようだが、ボクは、むしろよかったと思う。アウトゥオリ監督は、優秀なキャリアをもつ監督ではあるが、転換期をむかえた鹿島アントラーズに最適な監督ではなかった。
おそらく、サンパウロのような、タレントが揃っているチームであれば、戦略を駆使して、チームを勝たすことの出来る優れた監督なのだろうが、今の鹿島の監督に求められるのは、それだけではない。トニーニョ・セレーゾ監督からアウトゥオリ監督に変更したのは、吹っ切れた新しい鹿島アントラーズを作って欲しいという願いからだったと思うが、アウトゥオリ監督のチーム作りは、どちらかというと、保守的な感じで期待通りの仕事はできなかった。
”世界一の監督・アウトゥオリ”というブランドだけを見ている人にはもったいない人事に見えるかもしれないが、鹿島アントラーズの将来を考えると、悪くない結末だと思う。
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