■ あと3節 J2は残り3節となったが、残留争いは20位のザスパクサツ群馬、21位のFC岐阜、22位のガイナーレ鳥取の3チームに絞られた。J2では21位と22位になったチームが下部リーグ(=J3)に降格する可能性があるが、先日、J2に昇格する資格を持たない長野パルセイロがJFLで2位以内を確定させたので、J2で21位になったチームは残留できることになった。よって、「最下位にさえならなければ大丈夫。」というシチュエーションとなったが、大詰めを迎えている。
表1. 順位表 (下位チームのみ)
順位 | | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 引分 | 敗 | 得点 | 失点 | 得失点差 |
18 | 残留 | ロアッソ熊本 | 42 | 39 | 10 | 12 | 17 | 39 | 65 | -26 |
19 | 残留 | カターレ富山 | 41 | 39 | 10 | 11 | 18 | 41 | 55 | -14 |
20 | | ザスパクサツ群馬 | 37 | 39 | 9 | 10 | 20 | 39 | 57 | -18 |
21 | | FC岐阜 | 33 | 39 | 8 | 9 | 22 | 34 | 75 | -41 |
22 | | ガイナーレ鳥取 | 29 | 39 | 5 | 14 | 20 | 34 | 69 | -35 |
表2. 下位3チームの対戦相手
順位 | チーム名 | 勝点 | 得失点差 | 40節 | 41節 | 42節 |
20 | ザスパクサツ群馬 | 37 | -18 | 鳥取(A) | 神戸(H) | G大阪(H) |
21 | FC岐阜 | 33 | -41 | 愛媛FC(H) | 札幌(H) | 富山(A) |
22 | ガイナーレ鳥取 | 29 | -35 | 群馬(H) | 北九州(A) | 千葉(H) |
39節を終えた時点での順位表は上の表1のようになっているが、どう考えても苦しいのは22位の鳥取である。8月11日付けで元日本代表の小村監督を解任して、強化部長だった前田浩二監督に命運を託したが、11試合で0勝8敗3分けという成績で、前田監督が就任してから勝利がない。小村監督を解任した時点では20位だったが、11試合でわずか勝ち点「3」しか上積み出来ていないので、これでは最下位に転落しても仕方がない。
残り3試合となって、21位のFC岐阜との差が「4」なので、最低でも1勝1敗1分けが必要になるが、FC岐阜が3連敗することも考えにくいので、2勝1敗というのが最低ラインで、できれば2勝1分け以上を目指したいが、最終節が千葉(H)との試合ということを考えると、40節の群馬戦(H)と41節の北九州戦(A)は「2連勝」が求められる。監督が代わって全く勝てていないチームに連勝が求められることを考えると、瀬戸際に追い込まれているのは間違いない。
前田監督はここ最近の試合内容には手ごたえを感じているようだが、確かに、試合内容は悪くはない。38節の神戸戦(H)は1対2、39節の岡山戦(A)は0対2で敗れたが、いずれの試合も前半は鳥取が試合の主導権を握っていた。最後まで持たないところが課題と言えるが、ボコボコにやられている試合は少なくて、僅差で敗れている試合が大半である。したがって、FC岐阜を追い抜くチャンスが全く無いかというと、そのようには思えない。
ただ、小村監督の頃を含めると「17試合勝ちなし」と長いトンネルに入っているので、記録をストップさせるためには、いつも以上に大きなエネルギーが必要になってくる。FW久保、MF永里は安定したプレーを見せており、神戸からレンタル移籍中のMF廣田もキレのある動きを見せているので、群馬戦と北九州戦は機動力のある選手を前面に押し出すサッカーで前半の早い段階で先制点を奪って、試合を優位に進めたいところである。
■ 巻き返したFC岐阜 一方のFC岐阜は、39節の山形戦(A)で引き分けたことで、鳥取との差が「4」になった。1試合で逆転される可能性がなくなったことで、精神的には楽になるだろう。40節が愛媛FC(H)、41節が札幌(H)、42節が富山(A)と対戦するが、ホーム2連戦が非常に大事になってくる。札幌はプレーオフ出場争いを繰り広げているので、苦しい試合になることが予想されるので、アウェー戦を苦手にしている愛媛FCとの試合で、何とか勝ち点「3」を積み上げたいところである。
FC岐阜については、開幕から7試合無得点とどん底からのスタートとなったことを考えると、選手たちはよく頑張って巻き返すことができたと言えるだろう。行徳監督の時代も、辛島監督になってからも、「いいサッカーをしている。」とは言い難いが、33節の群馬戦(A)、34節の鳥取戦(H)など、「絶対に負けてはならない。」という試合では、力を発揮してきた。これは昨シーズンも同様だったが、追い込まれたとき、意外な強さを発揮するチームである。
ここ最近のチーム状態は、いいとは言えないが、悪いとも言えない。辛島監督になってからの10試合の成績は、2勝5敗3分けなので、10試合で勝ち点「9」となる。最低限のレベルと言えるが、新加入のFWスティッペをうまく使っており、彼の得点で救われた試合がすでに3試合もある。FW中村祐、FWバージェの2人も特徴のある選手なので、夏に即戦力クラスのフォワードをたくさん獲得できたことが最下位を脱出できた一番の要因と言えるだろう。
■ 残留まであと少しの群馬 20位の群馬は、次の鳥取戦(A)で勝つか、引き分けると、「21位以内」が確定する。しかも、最下位の鳥取とは、勝ち点「8」の差があるので、鳥取が3連勝しない限り、追い抜かれることはない。次の群馬と鳥取の試合が大一番であることに変わりないが、勝利が必須でガチガチになることが予想される鳥取の選手とは違って、群馬の選手はかなり余裕を持って試合に入っていくことができると思うので、心理的にも大きなアドバンテージがある。
ただ、ホームとは言っても、41節が神戸(H)、42節がG大阪(H)が相手になるので、直接対決で鳥取に敗れるようなことがあると、ちょっとプレッシャーがかかってくる。もちろん、鳥取が3連勝する可能性というのは、かなり低いと思うので、抜かれる心配はないとは思うが、何が起こるのか分からないのが、残留争いの怖いところである。先のとおり、鳥取との試合は「引き分けでもOK」なので、勝ち点「1」をもって帰って安心したいところである。
群馬もここ8試合で区切ると2勝6敗という成績なのでメチャクチャ調子がいいわけではないが、ここ5試合では10ゴールを挙げているので、開幕当初から課題になっていた「得点力不足」というのは、あまり感じられなくなっている。エースのFW平繁の状態はそれほどいいとは思えないが、MFダニエル・ロビーニョとFWエデルの助っ人コンビがそれなりに力を発揮するようになってきたので、前線の破壊力が出てきたことは、大きなプラス材料である。
問題は守備陣である。シーズン途中にDFクォン・ハンジンを獲得したことは大きくて、中央の守備は安定してきたが、それでも、「強固なディフェンス陣」とは言い難い。「鳥取との試合は相手にゴールを許さなければ大丈夫」なので、押さえ気味に入っていくのは確実と言えるが、守備を固めて守りきれるようなチームではないので、秋葉監督がどういうプランを持って試合に入ってくるのか、注目したいところである。
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