■ 第1回は1981年欧州王者と南米王者が世界一を賭けて対戦する「インターコンチネンタルカップ」の第1回大会が行われたのは1960年で、当初はホーム&アウェー方式で開催されていたが、1970年代に入ると、主に、南米開催の試合で、サポーターが暴動を起こすようになったため、欧州のクラブが参加を拒否するようになった。
1975年と1978年は大会自体が中止になるなど、大会の存続自体が危ぶまれた時期もあったが、中立国である日本で開催する運びとなって、トヨタカップがスタートした。第1回大会(1981年2月11日に開催)は、ウルグアイのナシオナルとイングランドのノッティンガム・フォレストが対戦して、ナシオナルが1対0で勝利して、初代王者に輝いている。
当初は、南米勢が優勢で、南米代表が5年連続で世界一となったが、1990年代に入ると欧州にお金と人材が集まるようになって、逆に、1995年からは欧州代表が5連覇を果たすなど、立場は逆転し、結局、欧州代表が13勝で、南米代表が12勝という成績で、2004年にトヨタカップは幕を閉じた。
■ トヨタカップの名場面開催時期を見ると、第1回大会だけは、2月に行われているが、それ以外の24試合は、11月か、12月に行われている。そういう事情もあって、トヨタカップというと、「寒い中、スター選手が来日して、国立競技場で、試合を行う」という印象である。
トヨタカップがスタートしたのは1981年なので、当然、そのころの記憶というのは全くないが、「トヨタカップ史上、最高のプレー」と言われるのは、第6回大会でユベントスのプラティニが決めた幻のゴールである。結局、オフサイドの判定でノーゴールとなったが、その後の「ふて寝」をするシーンも含めて、トヨタカップを語るときは、欠かせない名シーンである。
1989年12月17日に行われた第10回大会でACミランが登場するが、「トヨタカップ」というと、ACミランのイメージも強い。第10回、第11回、第14回、第15回、第24回と計5度もトヨタカップに出場しており、特に、第10回大会以降の6大会のうち、4度、欧州代表となって来日を果たした。DF長友の加入によって、日本ではインテルの人気が高まったが、今でも、ACミランの人気は高くて、トヨタがきっかけでACミランのサポーターになった人は多い。
南米勢では、やはり、サンパウロFCの印象が強烈である。1992年と1993年に来日しているが、1992年はバルセロナに2対1で勝利し、1993年はACミランに3対2で勝利している。このときのACミランのメンバーも強烈で、DFバレージ、DFコスタクルタ、DFマルディーニ、MFデサイー、MFアルベルティーニ、MFドナドニ、FWパパン、FWマッサーロ(元清水)など、スター軍団だったが、サンパウロはそれ以上の豪華メンバーだった。
DFカフー、DFロナウド(元清水)、MFトニーニョ・セレーゾ(元鹿島監督)、MFレオナルド(元鹿島)、FWミューレル(元柏)らで、攻撃陣に関しては、ACミランよりも華やかである。先のとおり、ACミランとサンパウロが対戦した1993年大会は、サンパウロFCが3対2で勝利しているが、この試合がトヨタカップにおけるベストゲームと称する声も多い。
■ 若きスターの競演翌1994年大会からは、ナイトマッチとなったため、「トヨタカップっぽさ」がなくなった印象もあるが、1994年以降で印象に残っているのは、ユベントスとリーベル・プレートが対戦した1996年大会である。欧州のスター候補生として評判だったFWデル・ピエロと、南米のスターだったMFオルテガの対決に注目が集まったが、終了間際にFWデル・ピエロがゴールを決めて、1対0でユベントスが勝利した。
「スター選手が評判通りに活躍して決勝ゴールを決める。」という展開で、日テレにとっては、最高の展開となったが、このときのユベントスが見せた組織的でかつスピーディーなサッカーは、Jリーグでは、お目に書かれないレベルであり、機能美の美しさを示してくれた。1996年大会も好ゲームだったと思う。MFジダン、MFユーゴビッチ、MFディリービオ、MFデシャンで組む中盤は華やかだった。
1997年はドルトムント、1998年はレアル・マドリー、1999年はマンチェスターUが来日し、ドルトムントのMFメラー、レアル・マドリーのFWラウール、マンチェスターUのMFベッカムとMFギグスに注目が集まったが、1998年大会も、試合終了間際にFWラウールが決勝ゴールを決めるというドラマチックな展開となった。
2004年にトヨタカップが幕を閉じて、2005年からはクラブW杯がスタートしたが、トヨタカップが日本にもたらしたものは、非常に多い。1980年代や1990年代というのは、テレビですら、海外のトップクラブの試合を簡単に観ることができなかった時代である。「トヨタカップの試合を録画をして、ビデオテープが擦り切れるほど、何度も繰り返し観た。」という人も、非常に多いと思う。
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