■ スケールの大きなボランチとなった喜山康平ここに来て名波監督率いる磐田が引き分け地獄にハマっている。ということもあって、39節の福岡戦(A)で松本山雅のJ1昇格が決まったが、当初は40節の千葉戦(H)が「松本山雅のJ1昇格が決まるかどうかの大一番になるのではないか?」と言われていた。その効果もあって、この日のアルウィンは18,114人という大観衆で埋まったが、これは松本山雅にとってはクラブ史上最高の動員数だったと言う。
あいにくの雨模様で、しかも、11月に入って寒くなってきている。気象条件はあまり良くなかったが、フィーバーが起こっていることが良く分かる数字と言える。最大の目標だったJ1昇格が決まった次の試合ということで、気持ちが緩んでもおかしくないシチュエーションだったが、選手たちの気持ちが緩むことはなかった。絶好調の千葉が相手だったので、松本山雅にとっては自信になる勝利だったと言える。
ボランチのMF喜山が先制ゴールをマークした。MF喜山は1988年2月生まれで、FW森本は1988年5月生まれとなる。学年的にはMF喜山の方が1つ上になるが、この2人は東京Vの下部組織でプレーしていたときに2トップを組んでいた間柄である。当然、意識はあったと思うが、この日のMF喜山はゴールに対する意識が高くて、「さすがに元フォワード」と言える見事なヘディングでネットを揺らした。
MF喜山は2007年途中に当時は地域リーグだった岡山に移籍した。フォワードでプレーすることが多かった岡山のときから献身的な守備が評価されており、岡山がJ2に昇格した1年目の2009年の途中からトップ下など下がり目でプレーする機会が多くなって、2012年に移籍した松本山雅ではほぼボランチの選手になったが、ボランチが本職ではない選手とは思えないほどスムーズにプレーできている。
もちろん、フォワードでプレーしていたときも左足の強烈なシュートとイマジネーション溢れるプレーで光るプレーを見せていたが、ボランチのポジションが基本になってからは精度の高いミドルパスや体を張った守備でも大きく貢献している。フォワードとしてもスケールを感じることができる選手だったが、ボランチとしてもサイズを生かしたダイナミックなプレーができる魅力的な選手になった。
■ 脅威となる千葉の2トップ一方の千葉は9試合ぶりの敗戦となった。前節はホームで3位の磐田と引き分けて、今節はアウェーで2位の松本山雅に敗れたので、上位との2連戦はいずれも勝利を手にすることができなかった。POは短期決戦となるので、総合力も大事になって来るが、今の勢いも非常に大事になって来る。ここで上位を相手に勝つことができなかったことで勢いが弱まってしまうのではないかという懸念はある。
ただ、41節が富山戦(H)で、42節が讃岐戦(A)なので、残りの2試合がいずれも下位に沈んでいるチームとの対戦となるのは千葉にとってはラッキーである。特に富山はすでにJ3リーグへの降格が決まっているので、もっともモチベーションを保つのが難しいチームの1つである。5位の千葉が松本山雅に敗れたことでPO争いはさらに混沌としてきたが、残りの対戦カードを考えると千葉は全く慌てる必要はない。
この試合については、0対1のスコアだった後半11分にFWケンペスを投入して流れが良くなった時間帯で同点に追いつくことができなかった点が全てだった。ここ最近はFW森本がコンスタントにゴールを決めており、チームのやり方にもフィットしているため、FWケンペスがベンチスタートになっているが、ここぞのタイミングでFWケンペスというカードを切ることができるのは千葉の大きな強みと言える。
FW森本とFWケンペスの2トップというのは鈴木監督の時代から何度も試してきた。しかし、なかなか機能しなかったので、「FW森本とFWケンペスの2トップは機能しない。」というのが定説になっていたが、ここ最近の関係は非常にいい。明らかに相手の脅威になっているが、FWケンペスが投入されるとゴール前の迫力は出てくる。「4-2-3-1」が機能しているので、最初から2トップというのは考えにくいが、試合の途中から出てくるFWケンペスがJ1昇格のためのキーマンになるのではないか。
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