■ 第27節J1の第27節。6勝12敗8分けで勝ち点「26」のアルビレックス新潟と、12勝9敗5分けで勝ち点「41」の名古屋グランパスが対戦した。新潟は17位で、名古屋は6位。残留争いは、14位のC大阪が勝ち点「32」、15位の大宮が勝ち点「30」、16位のG大阪が勝ち点「28」、17位の新潟が勝ち点「26」となっており、新潟は厳しい状況に追い込まれている。
ホームの新潟は「4-2-2-2」。GK東口。DF村上、鈴木、石川、金珍洙。MF三門、本間、藤田、田中亜。FWブルーノ・ロペス、ミシェウ。エースのFWブルーノ・ロペスは24試合で4ゴールを挙げている。MFアラン・ミネイロ、FW矢野、FW平井らがベンチスタートとなった。
対するアウェーの名古屋は「4-1-2-3」。GK楢崎。DF石櫃、ダニエル、闘莉王、阿部。MF田口、藤本、ダニルソン。FW永井、ケネディ、金崎。UAEのアルアインからオファーがあって、退団の可能性が報じられていたFWケネディは移籍が成立せずに残留することになった。
■ 新潟が圧勝!!!前半は両チームともミスが目立って、見せ場の少ない展開となる。ホームの新潟はMF藤田、DF金珍洙のサイドアタックからゴール前のシーンを作るが、中央の枚数が足りなくてビッグチャンスを作れず。一方の名古屋は全体の運動量が乏しくて、全く攻撃の形を作れない。前半は0対0で終了する。
先制したのはホームの新潟で、後半11分にDF金珍洙がペナルティエリア内でFW永井に倒されてPKを獲得。これをFWミシェウが決めて先制ゴールを奪う。その直後に名古屋は、MF田口を下げてDF増川を投入。FW闘莉王のポジションをフォワードに変更するが、後半19分に、またしても、DF金珍洙の突破からFWミシェウが決めて2対0とリードを広げる。FWミシェウは今シーズン4ゴール目となった。
これで完全に気持ちの切れた名古屋はバラバラになって、その後は、新潟がカウンターを中心にチャンスを作り続ける。後半28分には途中出場のFW矢野の突破がDF増川のオウンゴールを誘って3点目を挙げると、後半45分にFWブルーノ・ロペスのミドルシュートで4点目。さらに、終了間際には、セットプレーから途中出場のDF坪内が決めて5対0とリードを広げる。
結局、試合は予想外の大差がついて、5対0で新潟が勝利。勝ち点を「29」に伸ばした。一方の名古屋は2連敗で、優勝争いから完全に脱落して、2010年以来のリーグ優勝は難しくなった。
■ DF金珍洙が活躍26節を終えた時点で15位の大宮との差が「4」となって、苦しい状況に追い込まれた新潟がホームで圧勝して大きな勝ち点「3」を獲得した。前半は新潟もミスが多くて、せっかくいい形になりかけても、シュートまで持っていけないというシーンが多かったので、後半だけで5ゴールも生まれるとは想像できなかった。
光ったのは左SBのDF金珍洙で、1点目のPKを奪取して、2点目のFWミシェウのゴールをアシストした。昨オフにDF酒井高がシュツットガルトに移籍した後、DF金珍洙がレギュラーをつかんだが、怪我もあって15節から24節まで出場できず、最近になってようやくスタメンに戻ってきたが、彼が左SBにいると、左からの攻撃が活性化する。
2ゴールを挙げたFWミシェウの活躍も目立った。4点目のゴールを決めたものの、FWブルーノ・ロペスはあまり動きが良くなくて、昨シーズンほどの働きを見せておらず、相手に怖さを与えられていないが、前半からFWミシェウは精力的に動いてチャンスを演出した。先制ゴールのPKは、プレッシャーのかかるシーンだったが、落ち着いて決めて、貴重な先制ゴールをもたらした。
得失点差「+5」を稼いだのも、今後、効いて来るかもしれない。26節を終えた段階で、14位のC大阪は「-3」で、15位の大宮は「-14」で、16位のG大阪は「+1」で、17位の新潟が「-12」だったので、C大阪やG大阪とは大きな差があるが、大宮とはほとんど差がなかった。よって、1試合で「+5」を稼いだのは大きなことである。
残りは、神戸(H)、大宮(A)、鳥栖(H)、清水(A)、川崎F(H)、仙台(A)、札幌(H)となっているが、G大阪などと比べると、厳しい相手が続くわけではない。29節の大宮戦が重要になるのは間違いないが、次のホームの神戸戦で勝ち点「3」を得て、2連勝で敵地に乗り込むようなことになると、残留のチャンスも出てくる。次の神戸戦が大事な試合になるだろう。
■ 優勝は絶望的・・・一方の名古屋にとっては、最悪の試合となった。26節で広島に敗れて、逆転優勝の可能性が限りなく低くなったので、モチベーションが下がっていたのかもしれないが、ACLの出場権争いは続いており、落胆している暇はない。22節も残留争いをしているG大阪に0対5で敗れたが、短期間で、2試合も惨敗を喫しては、サポーターも納得することはできないだろう。
結局、FWケネディは残留することになって、先発で出場したが、精彩を欠いて前半だけで交代となった。新潟もFWブルーノ・ロペスの不振が低迷している大きな理由の1つであるが、名古屋にとっても、FWケネディの調子が上がらなかったことは大きな誤算で、18試合で5ゴールという数字は、期待外れと言わざる得ない。クラブ間で様々な駆け引きがあったと思うが、「売り時だったのではないか?」と意見が出ても不思議はない。
これで、よほどのことが無い限り、優勝というのはありえなくなったが、今シーズンは大きなチャンスだっただけに、残念なシーズンになっている。FWケネディなど、怪我人が多かったことも低迷している理由の1つであるが、ストイコビッチ監督がうまく選手の良さを引き出せておらず、停滞感も生まれている。レジェンドではあるが、ACLの出場権を逃すようだと、ストイコビッチ監督と言えども、立場は相当に厳しくなるだろう。
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