イエメン戦に辛勝して、アジアカップの本大会進出を決めたオシムジャパンだが、ひとつ、気になる記事があった。内容は以下のとおり。
日本サッカー協会の川淵三郎会長は7日、日本代表を率いて6日のアジア・カップ予選でイエメンに1-0で辛勝したオシム監督について「負けていたとしても(更迭は)考えていない。長い目で見て、大丈夫だと確信している」と、同監督に長期的な視野に立っての強化を期待していることを強調した。 オシム監督が日本代表のメンバーを一新したことに関しても「本当に新しいチームをつくろうとしている。オシム流の考え方を植えつけていくのに1、2年はかかる」と述べた。
どういう状況で発せられた発言かは分からないが、”更迭”というフレーズが、記者と川淵氏の間で出てきたようだ。乱暴に例えると、この発言は、風邪で病院に行った患者が、医者から、唐突に、「あなたは、心臓病ではありません。まだ若いので、安心してください。」と言われたようなもの。言われた側は、疑心暗鬼になっても不思議ではない。まだ、4試合しか戦っていない新監督に対して、記者が、「イエメン戦に負けていたら、オシム監督を更迭していましたか?」というニュアンスの質問をしたのなら、その記者は”記者失格”だし、逆に、川淵氏のほうから、自発的に発言したのであれば、それも、かなり問題だと思う。
4試合を終えて、早くも、オシム監督に対する批判が出始めている。確かに4試合とも満足な出来ではなかったが、それらの批判は、的外れのものも多いし、短絡的なものが多い。「オシム監督がどんなサッカーをしたいのか分からない。」と語る代表サポーターの嘆きは、残念ながら、イコール、「私は、Jリーグを見ていません。ジェフ千葉の試合を見たことがありません。」という言葉と同義。説得力はほとんど無い。
厳しい非難の目をもつことは、確かに必要だ。しかし、ドイツ大会を終えて、現状の日本代表を取り巻く状況は、あまりにも、せっかちになりすぎていないか?もっと、余裕を持って、日本代表を見守ってもいいのではないか?今の日本サッカーは、一大会の成績で左右されるほど、脆いものではない。得てして、「現実を見ろよ!」と声高に主張している人ほど、現実が見えていないものである。
もし、「日本サッカーは、フランスワールドカップや日韓ワールドカップのころと比べても、ほとんど成長を見せていないのではないか。」と疑問や不安の気持ちを抱いている人がいるなら、小瀬スタジアムや鳥栖スタジアムに出向いてみることをお勧めする。そこでは、日本サッカーのもつ大きな可能性・潜在能力を、十ニ分に感じることが出来るだろう。
- 関連記事
-