■ 第2節ブンデスリーガの第2節。ニュルンベルクが王者のドルトムントとホームのイージークレジット・シュタディオンで対戦した。開幕戦は元ドイツ代表のMFバリチュが後半23分にゴールを決めてハンブルガーSVに1対0で勝利した。一方のドルトムントは、後半36分にドイツ代表のMFゲッツェが勝ち越しゴールを決めて、ブレーメンに2対1で勝利している。
ホームのニュルンベルクは「4-2-3-1」。GKシェファー。DFチャンドラー、ニルソン、クローゼ、ピノラ。MFシモンズ、バリチュ、マク、清武弘嗣、エスヴァイン。FWペクハルト。MF清武は2試合連続でトップ下でスタメン出場となった。
対するアウェーのドルトムントは「4-2-3-1」。GKヴァイデンフェラー。DFピズチェク、スボティッチ、フメルス、シュメルツァー。MFギュンドガン、ケール、ブラスチコフスキ、ロイス、ペリシッチ。FWレワンドフスキ。ドイツ代表のMFゲッツェはベンチスタートで、MFロイスはトップ下に入った。
■ 1対1のドロー試合は予想どおり、ドルトムントがペースを握るが、パスミスもあって、なかなか決定機は作れない。ほとんどパスがつながらなかったホームのニュルンベルクであるが、前半31分に右サイドのCKを獲得すると、MF清武が右足で蹴ったボールをファーサイドのチェコ代表のFWペクハルトが高い打点からヘディングで決めてニュルンベルクが先制する。
しかし、ドルトムントは、前半40分に波状攻撃からクロアチア代表のMFペリシッチのシュートがバーに当たってこぼれたボールをポーランド代表のMFブラスチコフスキが右足で蹴り込んで1対1の同点に追いつく。前半はこのまま1対1で終了する。
後半もドルトムントがボールを支配して、ニュルンベルクがカウンターで反撃する展開になる。後半開始早々に、MF清武の絶妙のノールックのスルーパスからFWペクハルトが裏に抜け出すが、DFスボティッチが何とか阻止してシュートまで持っていけない。
勝ち越しゴールの欲しいドルトムントは、MFゲッツェ、MFシーバー、MFグロスクロイツと攻撃的なカードを切るが、攻撃が噛み合わない。結局、試合は1対1で終了。MF清武は2試合連続スタメンフル出場で、記念すべきブンデスリーガでの初アシストを記録した。対するドルトムントも開幕2連勝はならなかったが、昨シーズンから続くリーグ戦の無敗記録は「30」となった。
■ ブンデスリーガで初アシストホームデビューとなったMF清武は、CKからFWペクハルトのゴールをアシストして、勝ち点「1」に貢献した。アシストの基準は各媒体で異なるので、例えば、シュートを打ってGKがはじいたボールを味方が決めた場合も、キッカー誌などは、アシストと記録される。
したがって、開幕戦のMFバリチュのゴールに絡んだプレーについても、「清武のアシスト」と認定したところもあると思うが、ドルトムント戦のアシストは、誰が見ても「アシスト」であり、記念すべき初アシストとなった。DFフメルスに競り勝ってヘディングシュートを決めたFWペクハルトも見事だったが、MF清武のボールも精度が高くて、FWペクハルトがヘディングしやすいボールを供給した。
2試合連続フル出場のMF清武は、セットプレーのキッカーも任されており、2試合ともいいボールを供給しているが、C大阪では、他にもキッカーがいたので、中央でゴールを狙う役割になることも多かった。よって、これだけキッカーとして信頼されて、実際にいいボールを供給していることに対しては、驚きもある。
■ 課題はどこか?ただ、セットプレー以外では、ドルトムントが相手ということで、ほとんどボールを保持できなかったので、MF清武の見せ場も少なかった。後半開始早々のスルーパスは見事で、フィジカルも通用していたが、後ろの選手が単純にロングボールを蹴ることが多かったので、いい形でボールを受けるシーンは少なかった。
プレスのきついドルトムントが相手なので、仕方がないところもあるが、最終ラインの選手やボランチの選手は、パスの精度を上げていかないと、攻撃の形が作れない。チェコ代表のFWペクハルトは先制ゴールは決めたが、ボールキープなどでは貢献できず、流れの中で、FWペクハルトからMF清武にパスが渡るシーンはほとんどなかった。FWペクハルトとのコンビネーションは、まだまだである。
2試合を終えて結果を残しているので、チームメイトの信頼もアップしているだろう。3節はアウェーでボルシアMGと対戦するが、ここでどんなプレーができるか。ニュルンベルクのサポーターは、ここまでのMF清武の働きに満足していると思うが、もっともっとできる選手なので、大暴れを期待したいところである。
■ MF香川の穴対するドルトムントは、試行錯誤の段階で、2列目の3人をどう組み合わせるのか、クロップ監督も頭を悩ませている。この日は、右がMFブラスチコフスキ、トップ下がMFロイス、左がMFペリシッチで、MFゲッツェとMFシーバーとMFグロスクロイツはベンチスタートだったが、あまり機能しなかった。
今オフのドルトムントは、MF香川がマンチェスターUに移籍したくらいで、他の主力は全員が残留しており、「MF香川の穴をどのように埋めるか?」という問題だけに絞られるが、MFロイスは味方をうまく使うことができず、周りの選手が生きていない。
ドルトムントというチームは、「使われて輝く選手」がほとんどで、MFブラスチコフスキにしても、MFグロスクロイツにしても、DFピズチェクにしても、誰かに生かされないと、力を発揮することができない。昨シーズンの後半戦は、MF香川が周りの選手のいいところを引き出すプレーを会得して、チームがワンランク上の次元に到達したが、MF香川が抜けたところは、穴になったままである。
改めて言うまでもないが、CLのグループステージで、レアル・マドリー、アヤックス、マンチェスターCと同居する死のグループに入ったので、スロースタートだと、昨シーズンの二の舞になるだろう。早い段階で、最適解を見つけなければならない。
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