反町ジャパンの初戦の相手は中国。日本は、3-6-1で、苔口の1トップという布陣。
前半は、中国が押し気味で、日本のシュートはわずかに一本。両サイドの中村と本田のポジションが低く、1トップの苔口をファローできなかった。後半に入ると、サイドのポジションが高くなって、次第に日本ペースになっていく。後半9分に、梶山のタメから、右サイドの裏に抜け出た枝村がクロスを上げると、フリーの本田がヘディングで決めて先制。さらに、増田がテクニカルなシュートを決めて追加点。中国は、何度かチャンスをつかむが、キーパー西川の攻守もあり無得点に終わった。
まず、相手の中国の印象だが、一般的には堅いサッカーをするというイメージがあるが、ここ最近(シドニー世代以降)は、テクニカルな選手が増えているような印象がある。そして、目指すサッカーは日本と同じようで、きちんとつないで崩すサッカーである。個人的には好感は持てるが、やはり、ピッチ上で同じスタイルのサッカーを展開すると、日本のほうが一日の長がある。(でも、ごり押しのサッカーをされた方が日本にとってはいやな感じがするが・・・。)日本に連敗するのは許されないと意気込む中国を返り討ちにする、日本でのリターンマッチがホントに楽しみだ。
対する日本は、アウェーということもあってやや押され気味の試合運びだったが、したたかに2得点を奪った。本田の先制ゴールに至るまでの過程は、即席のチームとは思えないほどの見事さだった。梶山のキープ力とアイディア、枝村の飛び出し、そして、本田の得点感覚がかみ合ったゴールだった。3-5-2(3-6-1)を採用する場合、サイドプレーヤーがいかにしてゴール前まで顔を出せるかが、攻撃が厚くなるか薄くなるかの分かれ道になる。サイド to サイドのゴールは、このチームの潜在能力の高さを十ニ分に表したと思う。
個人で目立ったのは、梶山、青山(晃)、中村の3人。梶山に関しては、久々に彼らしいプレーを見た気がする。前半の苦しい時間帯でも、梶山だけは落ち着いてボールキープが出来ていた。梶山なら、Jでもこのくらいできるだろう、という不満もいいたくなる。間違いなく、このチームの中心である。欲を言うと、後半のロスタイムのシーンのように、積極的に前に絡んで、ゴールを狙いにいってほしい。そうしたら、逆説的な表現になるが、五輪代表から卒業することになるかもしれない。
センターバックの青山の能力の高さには、驚かされた。ディフェンダーの選手はなかなか注意してみる機会がないので、「青山は凄い!!!」という声は聞いていたものの、実際のところ、その実力がまだよく分からないでいたが、この試合を通してみていて、その素晴らしさが分かった。
高さや強さもさることながら、”バネ”が他の選手とは全く違っているように見える。この選手は、大変な逸材だ。中国代表が、試合終盤になって、パワープレーを仕掛けてきても全く怖さは感じなかった。その理由は、青山の存在に他ならない。
中村に関しては、正直、それほど評価していなかったので、ここまでいい選手だとは思っていなかった。かつては運動量だけの選手だったのに、福岡でレギュラーを獲得した自信がプレーに溢れている。突貫小僧から大人のサッカープレーヤーに成長を遂げている。梶山にしても、中村にしても、西川にしても、増田にしても、ユース時代に時折見せていた脆さ・危うさが消えている。Jリーグでレギュラーとして戦うことの経験は、予想以上に選手達を成長させるんだなということを実感した。
逆に、いまひとつだったのは、名古屋の本田。フォローが少なかったとはいえ、本田が左サイドでポイントを作れなかったことが、苦戦の要因になった。このポジションでは、ディフェンス力に不安があり、ちょっと厳しいかなと思うが、基本的には、彼はもっと出来る選手である。奮起に期待したい。
最後に、五輪代表チームの位置付けに関しての感想を述べる。ボクは、別に、五輪代表とA代表のシステムや戦術が同じである必要は全くないと思う。システムや戦術は、まず選手あってのもので、リベロタイプの選手がいないのに3バックをしたって意味がないし、ターゲットとなれる選手がいないのに、1トップを採用する必要はないと思う。欧州の国には、その国の伝統のスタイルがあるので、若年層から一貫したスタイルで代表チームを構成するが、現段階で欧州のマネをする必要は全くないと思う。
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