■ 第2節ブンデスリーガの第2節。日本代表のMF長谷部の所属するヴォルフスブルクと、MF宇佐美の所属するバイエルン・ミュンヘンの対戦。ヴォルフスブルクは開幕戦でケルンに3対0と勝利したが、バイエルンはボルシアMGに0対1で敗れている。
ホームのヴォルフスブルクは「4-2-2-2」。GKベナーリョ。DF長谷部、ケア、ルス、シェファー。MFジョズエ、トレーシュ、オクス、サリハミジッチ。FWマンジュキッチ、ヘルメス。
対するアウェーのバイエルンは「4-2-3-1」。GKノイアー。DFラフィーニャ、ボアテング、バットステューバー、ラーム。MFルイス・グスタヴォ、シュヴァインシュタイガー、トマス・ミュラー、トニー・クロース、リベリ。FWマリオ・ゴメス。オランダ代表のMFロッベンは欠場。MF宇佐美はベンチスタートとなった。
■ バイエルンが初勝利試合の前半はイーブンの展開。ヴォルフスブルクは前半終了間際にセットプレーからFWヘルメスのヘディングシュートでネットを揺らすが、オフサイドの判定でノーゴールで、前半は0対0で終了する。
後半はバイエルンのペースとなる。MFシュヴァインシュタイガーがゴール前に進出するようになって、攻撃に厚みが出てくる。崩しの中心になったのはフランス代表のMFリベリで、バイエルンは左サイドを起点に攻撃を仕掛ける。しかし、対面したDF長谷部も堅実なプレーを見せて、簡単に決定機は作らせない。
バイエルンは、後半24分にMFトマス・ミュラーに代えてMF宇佐美を投入。ブンデスリーガのデビュー戦となるMF宇佐美は、そのまま右サイドで起用されるが、なかなかボールが回って来ずに孤立してしまう。0対0で進んだ試合は、後半ロスタイムにバイエルンがMFルイス・グスタヴォのミドルシュートで均衡を破る。試合は、そのまま1対0でバイエルンが勝利し、今シーズン初勝利。ヴォルフスブルクは初黒星で、両チームとも1勝1敗となった。
■ DF長谷部は右SBでフル出場韓国戦を戦ってから中2日での試合となったDF長谷部は、右サイドバックで先発フル出場。世界トップクラスのMFリベリとマッチアップする形となったが、予想以上に1対1の守備で奮闘していて、MFリベリに縦の突破はほとんど許さなかった。
ボランチでプレーしているときは、それほどスピードを感じさせるプレースタイルではないが、サイドになると、DF長谷部がもともと持っているスピードもプレーの中で表れてくる。MFリベリにぶっちぎられても不思議ではないような場面でも、しっかりと追いついて対応できており、1対1の対応は光った。ヴォルフスブルクには、スロバキア代表のDFぺカリクがいるので、彼がピッチに戻ってきたら、DF長谷部も中盤に戻る可能性は高いが、この試合では十分にサイドバックもこなしていた。
本職のポジションではないことを考えると及第点以上の出来だったが、危ないエリアでのパスミスが何度かあったことは反省点で、せっかく、MFリベリに対してもきちんと対応できていたのに、安易なミスで評価が下がってしまうともったいない。次節以降もサイドバックで起用されるかは分からないが、コーナーキックのキッカーも任されており、今シーズンは、いいシーズンとなりそうで、今後の活躍も期待したいところである。
■ MF宇佐美 ほろ苦いデビュー①一方、MF宇佐美は、後半24分にMFトマス・ミュラーに代わって起用されたが、チームが後半ロスタイムに先制ゴールを奪うと、その直後のプレーで危険な位置でボールを失う痛恨のミスで、すぐにDFファン・バイテンと交代させられてしまった。結局、途中出場で途中交代と言う屈辱的なデビュー戦となった。
後半35分あたりで、左サイドからのクロスに対して、中央に入ってきて右足のアウトサイドでシュートを狙うというMF宇佐美らしいプレーもあったし、MFルイス・グスタヴォの決勝ゴールの起点となったのも、右サイドでMF宇佐美がしっかりとボールをキープするプレーから生まれているので、短い時間の中で、何度かいいプレーもあったが、全体としてみると、うまくボールに絡むことはできなかった。
運動量があまり多くなかったことも、ボールに絡めなかった一因であるが、オフ・ザ・ボールの動きでは世界でも屈指といえるMFトマス・ミュラーが右サイドに入っていたときでさえ、ほとんどバイエルンは右サイドを使えておらず、MF宇佐美の動きだけが問題とも言いきれない。
どうしても、このメンバーになると、MFリベリがいるサイドにボールが集まってしまうが、だからといって、右サイドを離れて、中央や左に寄っていくようなプレーも推奨されていない模様で、基本的には、右サイドに張っているしかないのが現状である。実績の乏しいMF宇佐美は、難しい立場にある。
■ MF宇佐美 ほろ苦いデビュー②したがって、攻撃で攻め込んだときは、チーム事情もあるので、持ち味が出せなかったことも仕方ないという気もするが、1点リードした後の安易なボールロストは大きな減点材料となる。相手のシュートが大きく外れたので事なきを得たが、試合の終盤ではやってはいけないミスで。プレーの後、ドイツ代表のDFバットステューバーが猛烈に怒っていたが、チームメイトに怒られても仕方のないプレーだった。
このMF宇佐美がボールを失ったプレーは、91分20秒くらいで、奪ったボールをヴォルフスブルクがつないで、FWマンジュキッチがシュートを放ったのが91分30秒くらいのことである。それから、GKノイアーがゴールキックを蹴るが、試合終了のホイッスルが鳴ったのは、92分22秒なので、残りは、1プレー or 2プレーくらいだったので、時間稼ぎをするようなシチュエーションでもなかった。したがって、かなり厳しい「メンバー交代」となった。
問題は、キープすればいいところで、MF宇佐美がMFジョズエの位置を把握できておらず、安易にドリブルで仕掛けたことがミスになってしまった点で、当然、MF宇佐美も、対しては反省していると思うので、これを教訓にしてほしいが、MF宇佐美のような若い選手にとって、こういう「厳しさ」を持って、しっかりと教育してくれる監督の下でプレーできるというのは、非常に恵まれていると言える。
こういう交代になったので、しばらく、ベンチ入りも難しいかもしれないが、「監督を見返してやる。」くらいの気持ちを持って、練習の段階から、攻守ともにがむしゃらにプレーしてほしいところである。
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