■ チャリティーマッチ東日本大震災を支援する目的で行われたボルシア・ドルトムントと欧州日本人選手選抜のチャリティーマッチがドイツのデュイスブルクで行われた。ボルシア・ドルトムントは、先日、9年ぶりのリーグ優勝を決めており、祝賀ムード満載の中で試合が開催された。
欧州日本人選手選抜は<4-4-2>。GKフォッヒャー。DF内田、槙野、細貝、相馬。MF赤星、長谷部、岡崎、香川。FW矢野、森本というスタメン。リールセのGK川島が参加できなかったため、ドルトムントの第3キーパーのGKフォッヒャーがゴールを守る。ポーランドでプレーする元ツエーゲン金沢のMF赤星がスタメン出場。MF香川は日本選抜側でプレー。
サブに回ったのは、フィテッセのDF安田、元浦和のMFルンメニゲとDFブッフバルト、元ジェフ市原のFWオルデネビッツ、元日本代表のMF名波、FW西澤、FW城のトリオに加えて、ドイツでプレーしていた奥寺氏も参加。謎のクロッケという人もベンチ入り。ボーフムのFW鄭大世は入替戦を控えているため出場はしないが、会場まで駆けつけてベンチで試合を見守った。指揮を執るのは元西ドイツ代表のピエール・リトバルスキー氏。
対するドルトムントは、MFゲッツェ、DFピズチェク、DFスボティッチ、GKヴァイデンフェラーらがスタメン。ドイツの4部リーグでプレーしているというドルトムントのクロップ監督の息子もベンチに入った。
■ ドルトムントが2対1で勝利試合は、開始48秒でDF内田が交代。DF安田が投入される。ドルトムントは、前半7分に日本選抜のDF相馬から高い位置でボールを奪うと、その流れから、MFフォイルナーが左足でミドルシュートを決めて先制。さらに前半11分にもカウンターからFWギンチェクが決めてドルトムントが2点リードを奪う。
対する日本選抜は前半18分にFW森本のキープからMF香川がボールを受けると、うまいターンでMFクリンゲとDFピズチェクを鮮やかにかわしてGKと1対1になるが、左足のシュートは惜しくも外れてゴールならず。しかし、前半34分に、MF長谷部の縦パスからMF岡崎が抜け出すと、MF岡崎がペナルティエリア内で倒されてPKを獲得。MF香川が決めて1点を返す。このゴールの後、MF香川は交代し、元浦和レッズのMFルンメニゲが投入される。
後半もドルトムントは若手中心。一方、日本選抜はおじさんが中心となって、平均年齢が高くなっていく。日本選抜で魅せたのは元西ドイツ代表のMFルンメニゲ。47歳にしては運動量もあって、テクニックもあるので、たびたび、観衆を沸かす「魅せるプレー」を披露する。
後半は両チームともにゴールは奪えず、2対1でドルトムントが勝利したが、終了後、ドイツのサポーターからも「ヤポン!ヤポン!」というコールが送られるなど、温かいムードの中でチャリティーマッチは終了した。
■ 新旧のスターが集結①チャリティーマッチは、ドイツ人サポーターやドルトムントの優しさ、ドイツの元代表のおじさん達の凄さ、香川やルンメニゲの技巧、城さんの太り具合、レジェンドの奥寺さんの存在感などなど、見どころ満載で、CS放送でしか中継されないのがもったいないほどの試合となった。
ドルトムントは若手中心だったが、チャリティーマッチとは言いながらも、クロップ監督の前でアピールしたい選手も多かったので、立ち上がりから「ガチ」に近いテンションだったが、一方の日本選抜は、複数のおじさんを抱えるメンバー構成。
励ましてもらう側のチームがリードされて、「そろそろ、メンバーを代えて追いつきたいな。」というところで、太ったおじさんや、メガネをかけたオジサンが登場するという、シュールなシチュエーションになったが、なによりも、まずは、リーグ戦が終わったばかりにも関わらず、復興を支援するために、メンバーを集めて、試合を開催してくれたドルトムントには感謝しなければならないところである。
■ 新旧のスターが集結②試合で目立ったのは、元西ドイツ代表のMFミヒャエル・ルンメニゲ氏。1993年から1995年まで浦和レッズでもプレーし、ボルシア・ドルトムントでもプレーした経験を持つが、47歳とは思えないほど元気で、MF香川に代わって登場すると、その代役を見事にこなしていた。
日本選抜の2トップよりも「技術」があったのは、驚きでもあり、ちょっと悲しくもあったが、身に付けた技術は、引退しても、太ってきても、頭が薄くなってきても、変わらないようで、「トラップ」や「パス」の正確さはお見事だった。
同じ時期に浦和でプレーしたDFギド・ブッフバルトも、現役時代さながらの体を張ったプレーで、FWレワンドフスキをストップするなど、短い時間ながらもインパクトのあるプレーを見せた。1994年のJリーグの得点王のFWオッツェはあまり見せ場はなかったが、得意の左足で鋭いクロスを入れるシーンもあった。リティも含めて、Jリーグが始まった頃に日本でプレーしていた選手が、元気そうで何よりだった。
■ 新旧のスターが集結③逆に、日本選抜でプレーしたFW城、FW西澤、MF名波の元代表トリオは、「もうちょっとガンバレ!!!」というプレーで、まだ引退してから数年しか経っていないので、「まだまだ十分にできるか?」と思ったが、予想外にダメダメだった。ドイツのおじさんが頑張っていたのとは対照的だったが、59歳の奥寺さんだけは存在感を発揮し、ペナルティエリア内でクロップ監督の息子をふっ飛ばすなど、「さすがレジェンド」というプレーを見せた。
日本選抜の現役選手で、目立ったのは、やはり、ザックジャパンのレギュラー組で、DF内田はドイツカップの決勝が控えているので、開始早々に交代になったが、MF香川、MF岡崎、MF長谷部の3人は「別格」といえるプレーだった。もちろん、チャリティーマッチなので、相手もある程度はセーブしているが、この3人は、常に、落ち着いてプレーしており、「違い」を感じさせた。
ブンデスリーガの最終節で復帰したばかりのMF香川はPKで1ゴール。キレのあるドリブルで決定機を作るなど、怪我やブランクの影響を全く感じさせない香川らしいプレーを随所に見せて、前半35分でお役御免となった。彼の、試合前・試合中・試合後のサポーターの声援やそれに対する振る舞いを見ていると、本当に、スーパースターのような感じで、ドイツのサポーターからも愛されていることがよく分かる試合となった。
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