■ 開幕戦J2の開幕戦。J2で2年目のチーム同士の対決である。
ホームのギラヴァンツ北九州は昨シーズンは1勝23敗12分けで最下位。3節で東京ヴェルディに勝利して初勝利を挙げたが、その後は「33試合勝利なし」と厳しいシーズンとなった。元日本代表の三浦泰年氏を監督に迎えて巻き返しを図る。対するジェフ千葉は昨シーズン4位。終盤に大事な試合を落として昇格を逃した。江尻監督からドワイト監督に変更し、204㎝のFWオーロイを中心に3位以内を目指す。
ホームの北九州は<4-2-2-2>。GK時久。DF佐藤、福井、宮本、多田。MF木村、桑原、森村、安田。FWレオナルド、池元。MF佐野はベンチスタート。MF安田はフィテッセのDF安田理大の弟でガンバユース出身。
対するアウェーのジェフ千葉は<4-2-3-1>。GK岡本。DF山口、竹内、青木良、坂本。MF佐藤勇、ファン・ゲッセル、マット・ラム、米倉、深井。FWオーロイ。FW青木孝、MF伊藤らがベンチスタート。
■ 千葉が勝利雨の中で行われた試合は前半33分に千葉の左サイドのDF坂本がゴール前にふんわりとしたクロスを送ると、DF福井がFWオーロイを倒したとしてPKの判定。MF深井が決めて千葉が先制する。リプレーで見るとファールには見えなかず不可解な判定であったが、千葉はラッキーな形で先制ゴールを奪った。前半は1対0の千葉リードで終了する。
千葉は後半9分に相手のスローインから高い位置でFWオーロイがボールを奪ってゴール前のMF米倉にスルーパス。これをMF米倉が強烈な右足のシュートで決めて2点目を挙げると、さらに後半27分にもコーナーキックを獲得。MF深井が左足で蹴ったボールをFWオーロイが豪快にヘディングで決めて3点目を挙げる。FWオーロイは初ゴール。
北九州は、MF木村やMF安田のミドルシュートで何度か相手ゴールを脅かすが、ゴールは奪えず。結局、3対0で千葉が勝利。これで北九州は34試合未勝利となって、ワースト記録を更新中である。
■ FWオーロイが3ゴールに絡む注目のFWオーロイは1ゴール1アシスト。さらに先制点となるPKをゲットするなど、すべてのゴールに絡んだ。FWオーロイのマークに付いたのは北九州のDF宮本で、175㎝のDF宮本は懸命にFWオーロイをマークして、よく抑えていたが、いいボールが上がってくるとどうしようもなくなる。「29㎝の差」は如何ともしがたい。
204㎝の選手ということで「もう少し動けない選手」かと思っていたが、FWオーロイはまずまず動ける選手であり、2点目のMF米倉のゴールにつながったアシストの場面は、FWオーロイのディフェンスから始まった。守備でも穴になっておらず「ただデカいだけ」という選手ではない。千葉は、2節で湘南、3節で札幌、4節で東京Vと力のあるチームと対戦するが、FWオーロイをどう止めるのか。面白い試合になりそうだ。
■ スタイルの変化試合内容でいうと千葉も決して褒められたものではなく、むしろ、北九州の方がボールが回せており意図のある攻撃はできていた。ただ、それでも「FWオーロイの高さ」で押し切った。
千葉はプレシーズンマッチで柏レイソルと対戦しているが、そのときは、オランダ人のMFファン・ゲッセルと、カナダ人のMFマット・ラムが出場しておらず、FW青木孝やMF伊藤が入っており、「FWオーロイの周りを動ける日本人で固める」というイメージがあったが、この試合でスタメンに入ったMFファン・ゲッセルとMFマット・ラムは動きが少なく、スローなサッカーになってしまった。
となると、個人で打開できそうなのはMF深井くらいであり、サイドバックの攻撃参加もほとんどないので、サイドから効果的なクロスが上がるシーンもほとんどなかった。雨でスリッピーだったのでリスクを冒さなかったという事情もあるが、内容的にはさびしいものがあった。
■ 二人の外国人は???FWオーロイばかりに注目が集まるが、今シーズンは、オランダ人のMFファン・ゲッセルと、カナダ人のMFマット・ラムも加入している。ドワイト監督の秘蔵っ子であり、いずれもスタメンで起用されたが、「厳しいかな。」というのが初見の印象である。
MFファン・ゲッセルは192㎝の長身で「中盤ならばどこでもこなす選手」という評判であるが、Jリーグは「スピードのあるリーグ」であり、スピーディーな展開についていけるかどうかに不安が残る。ドルトムントに移籍したMF香川がドイツリーグでは「クイックネス」が際立って見えるが、その反対で、MFファン・ゲッセルはクイックネスのある選手には見えないので、「クイックネス」の無さが露呈しないかどうか。
最近では、MFブルザノビッチ、MFミキッチら東欧の選手は少なくないが、西欧の選手は少なくて、しかも、「長身MF」というカテゴリーの選手は、すぐには思い出せないほどである。今シーズン、MF倉田、MF谷澤、MF工藤、MF中後ら中盤の選手が多く流出しており、決して層が厚くないだけに、二人の外国人が「ハズレ」に終わるようだと苦しくなる。もう少し見てみる必要はある。
■ オランダ人のJリーガーMFファン・ゲッセルはオランダ人であるが、オランダ人のJリーガーというと最近ではかなり珍しいが、過去を振り返ってみると、かなりの人数が来日しており、少なくないインパクトを与えている。他の西欧の国と比べてもオランダ人は多い。
最大のビッグネームは、ジュビロ磐田のMFファネンブルグだろうか。1990年のイタリアW杯のオランダ代表で、1988年のユーロも制している。また、1993年にJリーグ開幕戦でファーストゴールを決めているヴェルディ川崎のFWマイヤーもオランダ人であり、チームメイトのDFハンセンもそうである。他には、G大阪でプレーしたFWヒルハウス、サンフレッチェ広島でプレーしたFWハウストラ、ジュビロ磐田のGKヴァンズワム、名古屋グランパスのMFウリダもオランダ人であり、もちろん、日本人に帰化したGKハーフナー・ディドもオランダ出身である。
逆に、タリア人Jリーガーというと、清水エスパルスのFWマッサーロ、ジュビロ磐田のFWスキラッチという超ビッグネームがいるが、他には、浦和のDFザッペッラくらいになってしまう。ドイツやスペインは、リトバルスキ(市原)、オルデネビッツ(市原)、べギリスタイン(浦和)、サリナス(横浜M)とビッグネームはいるが、人数自体は多くない。オランダ人と親交が深いのは江戸時代からの伝統のようである。
■ 三浦泰年監督の初戦一方の北九州は三浦泰年氏が監督に就任した。昨シーズンは1勝のチームなので、プレッシャーは少なく、オフの補強は、MF安田、MF森村、MF木村と言った実績のない選手が中心で前評判は高くなかったが、試合内容は悪くなかった。昨シーズンはJFLからのメンバーが多く、チームカラーを出せずに終わったが、ショートパス主体のサッカーになっており、MF木村、MF安田ら技術のある選手が持ち味を発揮していた。
頼りになるストライカーがいないのは昨シーズンから続くものであるが、J2の下位クラブになると、選手補強もままならず、実績のある選手を連れてくるのは難しい。となると、自前で育てていくしかない状況である。幸いにして、そこまで高いノルマは与えられていないので、試合を重ねていく中で、軸となるストライカーを見つけ出したい。
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