■ 国際親善試合国際親善試合のドイツとイタリアの対戦。試合はボルシア・ドルトムントのホームのジグナル・イドゥナ・パルクで行われた。2006年のドイツW杯で日本 vs ブラジル、イタリア vs ドイツの試合が行われたスタジアムである。このときは、延長戦の末、2対0でイタリアがドイツを下して決勝進出を決めている。
ドイツは<4-2-3-1>。GKノイアー。DFラーム、バドシュトゥバー、メルテザッカー、アオゴ。DFシュバインシュタイガー、ケディラ、トーマス・ミュラー、エジル、ポドルスキ。FWクローゼ。ドルトムント所属のDFフンメルス、DFシュメルツァー、MFベンダー、MFグロスクロイツ、MFゲッツェの5人がベンチ入り。MFベンダーはドイツ代表に初めて招集された。
一方のイタリアは<4-2-2-2>。GKブッフォン。DFカッサーニ、ボヌッチ、ラノッキア、キエッリーニ。MFデ・ロッシ、チアゴ・モッタ、モントリーヴォ、マウリ。FWカッサーノ、パッツィーニ。インテルからはDFラノッキア、MFチアゴ・モッタ、FWパッツィーニの3人がスタメン。ブラジル出身のMFチアゴ・モッタはU-23ブラジル代表経験があるため、イタリア代表入りが認められるか微妙であったが、FIFAからOKという回答があったため、スタメン出場となった。怪我で南アフリカW杯に出場できなかったGKブッフォンがスタメン。
■ 1対1のドロー 対イタリアは「16年間勝利なし」というドイツが、前半16分にMFミュラーがMFエジルとのワンツーで裏に抜け出すと、GKブッフォンが飛び出してきたところを左に流す。このパスをゴール前のFWクローゼが押し込んでドイツが先制する。その後もドイツはMFエジルを中心に作り、FWクローゼがGKと1対1のチャンスを作るが、GKブッフォンがファインセーブを見せる。
一方のイタリアはACミランに移籍したFWカッサーノがキレのあるプレーを見せてチームをけん引。イタリアも何度かゴール前で「PKか?」思わせるシーンを作るが、ノーファールの判定。前半は1対0のドイツリードで終了する。
後半開始からドイツはMFミュラーに代えてMFゲッツェを投入。イタリアもFWカッサーノとFWパッツィーニの2トップを下げて、FWボッリエッロとFWロッシを投入。交代で入ったMFゲッツェが機能しなかったドイツとは対照的に、イタリアはFWロッシの投入でリズムをつかむ。
攻勢を強めたイタリアは後半36分にそのFWロッシが抜け出してシュート。最初のシュートはGKノイアーに防がれるが、跳ね返ったボールをFWロッシが自ら押し込んで同点ゴール。結局、試合は1対1のドローに終わった。
■ イタリアが追い付くイタリアはFWカッサーノ、ドイツはMFミュラーを前半だけで下げるなど、両チームともにテストモードの試合ではあったが、親善試合にしては熱の入った試合となった。
パルマで中田英寿を指導した経験もあるブランデッリ監督が就任したイタリア代表は、南アフリカ大会でグループリーグ敗退に終わった屈辱をバネに新しいチームに生まれ変わりつつある。南アフリカW杯で活躍した若手スターがスタメンに並ぶドイツと比べると成熟度はまだまだであるが、創造性に欠けたW杯のときのチームとは違って、攻撃で面白いプレーが増えてきている。
目についたのはFWカッサーノとFWロッシ。FWカッサーノは前半だけで交代したが、キレキレのプレーで何度もチャンスを作った。FWロッシは後半から登場し、スピードに乗ったドリブルでチャンスを作り、相手のDFの裏を取って難攻不落のGKノイアーからゴールを奪った。
■ 16年ぶりの勝利はならず一方のドイツは2006年W杯の借りを返したかったところであるが、後半に追いつかれて16年ぶりの勝利はならなかった。テスト的な意味合いもあって、後半からMFミュラーを下げてドルトムントのMFゲッツェを投入したが、MFゲッツェが全く機能せずに流れを失ってしまった。
MFゲッツェのポジションは右サイドで、これは、MF香川がいたときにドルトムントでプレーしていたポジションと同じであるが、トップ下のMFエジルと見事にかぶってしまって、MFゲッツェは45分間で全く見せ場を作れずに終わった。ちょうど、アジアカップ決勝のMF藤本と同じで、無難なプレーしかできなかった。
MFミュラーは、サイドで起点となるというよりは中に入ってゴールに絡むプレーが持ち味で、MFエジルらとの関係もいいが、MFエジルとMFゲッツェはスタイルが似ている部分も多い。生かす・生かされるの関係が築けていればいいがが、全くそういった関係ではなく、MFゲッツェが消えてしまった。
■ ゲッツェとエジルドイツ代表を背負って立つ逸材といわれるドルトムントのMFゲッツェは18歳。先日ドイツ代表にデビューしたばかりであるが、今後、MFエジルとどういった関係を築くことが出来るかは、ドイツの将来を考えても大きなテーマとある。
本来はトップ下の選手であるが、ドルトムントではMF香川がいるので、サイドでプレーが多くなっている。ドルトムントのときは、MF香川がトップ下の位置からゴール前に向かってプレーするので、MFゲッツェがその空いたスペースをうまく活用し、MF香川と絶妙のコンビを見せている。MF香川のリーグ戦8ゴールのうち2ゴールがMFゲッツェのアシストで、コンビを組んで間もないとは思えないほどのいい関係を築いているが、MFエジルとの関係はうまくいかなかった。
「合う・合わない」の問題は、時間が経つにつれて自然と解決する場合と、いつまで経ってもしっくりこない場合がある。しっくりこない典型的な例は、フランス代表のFWアンリとFWトレゼゲの関係と、イングランド代表のMFジェラードとMFランパードの関係であるが、この二人はどうだろうか?
■ クローゼが先制ゴールドイツはブンデスリーガで得点王を走るFWマリオ・ゴメスが怪我で欠場したため、同じバイエルンのFWクローゼが先発出場。MFミュラーのパスを受けて先制ゴールをマークした。
今シーズン、バイエルンで19試合で16ゴールを挙げているFWマリオ・ゴメスに対して、FWクローゼは9試合に出場して1ゴールのみ。スタメンも6試合だけということで、クラブでは思うような結果が残せていない。リーグ戦の結果だけを見ると、代表招集が見送られてもおかしくないほどの活躍度であるが、レーブ監督の信頼は厚い。
逸材が次々に出てきているドイツ代表であるが、唯一、センターフォワードのポジションだけは、中堅やベテランを脅かす選手は出てきていない。「クラブでは活躍できているのに代表では活躍できない。」という選手が多いが、FWクローゼは全く逆である。不思議な選手である。
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