■ 第27節26節で浦和レッズに0対2で敗れて4位に転落したセレッソ大阪。12勝6敗8分け。首位の名古屋グランパスとの差は広がってきて優勝は厳しいが、ACL出場を目指して激しい争いが続いている。対するはベガルタ仙台は8勝12敗6分け。ここ4試合で3勝1敗。勝ち点を「30」まで伸ばしてきた。
ホームのC大阪はGK松井。DF高橋、茂庭、上本、丸橋。MFアマラウ、マルチネス、乾、家長、清武。FWアドリアーノ。FW小松、FW播戸らがベンチスタート。
対するアウェーの仙台は<4-2-2-2>。GK林。DF菅井、エリゼウ、鎌田、朴柱成。MF富田、斉藤、関口、梁勇基。FWフェルナンジーニョ、赤嶺。FWフェルナンジーニョは20節以来のスタメン。MF斉藤は8試合連続スタメン。MF斉藤がスタメンとなってからは5勝2敗の好成績を残している。
■ スコアレスドロー昨シーズン、J2で優勝を争った両チームの対戦はホームのC大阪が序盤からボールをキープして仙台ゴールに攻め込む展開となる。再三に渡ってシュートチャンスを作り、仙台を圧倒する。しかし、なかなかフィニッシュが決まらずに0対0のままで前半を終了する。
後半も同じようにC大阪が攻めて仙台が守る展開。シュート本数で仙台を圧倒するC大阪は後半34分にMF乾に代えてFW小松を投入。しかし、効果的に働かない。仙台は後半のシュート数はゼロ。しかし、GK林を中心に守り切ってスコアドローに持ち込んだ。残留争いをする仙台にとっては貴重な勝ち点「1」であり、上位を目指すC大阪にとっては痛いドローとなった。
■ シュートが決まらずC大阪はシュート数24本。仙台の3本の実に8倍ものシュートを放ったが、最後までゴールを割ることはできなかった。試合終了間際にはフリーキックからMFアマラウが強烈なシュートを放ったがクロスバー直撃。ゴールの遠いこの試合を象徴するシーンとなった。
夏場に快進撃を続けていたC大阪だったが、ここ6試合で1勝2敗3分けと急ブレーキがかかった。この6試合で奪ったゴールは5点のみ。DF茂庭を中心とした守備陣は問題ないものの、得点力が課題になってきている。
■ 家長とマルチネスC大阪はFWアドリアーノが8ゴールを奪っていてチームトップであるが、2位はドルトムントに移籍したMF香川で7ゴール。3シャドーはMF乾が4ゴール、MF清武が3ゴール、MF家長が2ゴール。3人の数字を合わせても合計で9ゴールと少し寂しい数字である。1トップ+3シャドーで得点チャンスは多いが、決定的な場面で決められない試合が目立ってきている。
ここ最近、本来のパフォーマンスが見せられていないのがMF家長。夏場の連勝中は大車輪の働きを見せていたが、著しくパフォーマンスを落としている。体のキレという意味では、26節の浦和レッズ戦あたりから上昇してきたような感じはあるが、ほとんどボールを失わずに決定的なプレーを連発していた頃と比べると、物足りなさが残る。
うまくいっていない要因としては、依然として、ボランチのMFマルチネスとの関係がしっくりきていないという点も挙げられる。ともにレフティでボールを持てる選手であるが、MFマルチネスがボランチに入ると、最終ラインからのボールは、ほとんどがMFマルチネスを経由する。そこで一息ついてしまって、MF家長が攻撃のスタート地点ではなくなってしまう。
今シーズン、MF家長のパフォーマンスが良かった試合としては、5対0で勝利した11節のサンフレッチェ広島戦(7月14日)や、3対0で勝利した14節のモンテディオ山形戦(7月24日)が思い浮かぶが、この時期はちょうどMFマルチネスが怪我で欠場していて、ボランチにはMF羽田が入っていた。MFマルチネスほどの展開力のないMF羽田はボールを持ったときはシンプルにMF家長ら前線にボールを供給することでリズムを作っていたが、MFマルチネスが入ると前線に渡るまでに時間がかかってしまう。
よって、ディフェンスが揃った状態のプレッシャーがきつい中でMF家長は打開していかないといけなくなる。MFマルチネスのキープ力とシュート力はチームの大きな武器であるが、MF家長を生かそうとすると、MFマルチネスよりもMF羽田の方が効果的であるようにも感じる。チームの中でバランスを取るのは難しい。
■ 家長のシュートが決まらない思うようなタイミングでボールが回ってこないことがあっても、シュートが決まっていれば問題ないが、ここ最近のMF家長は「決定的なシュート」を外してしまうケースが多い。今シーズンは2ゴールのみ。その左足はパワーもあって、精度も兼ね備えているはずであるが、どうにもフィニッシュが決まらない。絶対的なストライカーがいて、チャンスメーカーとして機能していれば問題ないのであればこのままでも構わないが、今の状況では、MF乾とMF清武も含めて、3シャドーが仕事をしないと苦しくなる。
一言でいうと、「家長には決定力がない。」となるが、いわゆる「決定力」という言葉は漠然としてものなので、すぐに(あるいは時間をかければ)改善できるものなのか?というと良くわからない。何度か決定的なシュートを外した末に試合に敗れた監督は、「課題は決定力不足です。フィニッシュの精度を上げていきたいです。」と発言するが、どうすれば改善できるのだろうか。意識の問題なのか?精神的な問題なのか?技術的の問題なのか?どれも当てはまるようで、当てはまらないような「もやもやした感じ」である。
■ 小松塁の投入C大阪の1つの問題点は交代のバリエーションの少なさであり、リードしているときはMF藤本やDF石神を投入して逃げ切るパターンが出来つつあるが、同点あるいはビハインドのときに投入する駒とカードの切り方は限られてしまっている。
もともとクルピ監督は試合中の交代策がビシビシ決まるタイプではなくて、もっとも多いのはFWアドリアーノやMF清武に代えて、FW播戸やFW小松を投入するパターンであるが、効果的に働いたケースはほとんどなくて、むしろ、交代カードを切ったことで悪くなる方が多い。もちろん流れが良くないときは何か手を打たないといけないが、マイナスに働くことが多いので、もったいない感じもする。
特に、FW小松は期待に応えられておらず、今シーズンは17試合に出場してノーゴール。スタメンは1試合のみで、あとは途中出場であるが、期待感は薄くて、効果的な働きを見せたのは記憶の中では、第8節の名古屋戦と、第17節のFC東京戦の2試合のみ。そろそろ、別の策を考えたくなる頃である。
187㎝の長身でターゲットマン・タイプと見せかけて、実はスピード系のフォワードであり、体格を生かしたドリブル突破からのシュートが持ち味である。よくいる「デカいけどターゲットマンではない。」という典型的な選手であるが、実は「空中戦」もそれほど弱くはない。
むしろ、データ上(
http://llabtooflatot.blog102.fc2.com/blog-entry-1801.html)では空中戦で勝利する確率も高くて、交代要員としては使い勝手がいいはずであるが、なかなか機能していない。
■ 貴重な勝ち点「1」対する仙台は残留に向けて貴重な勝ち点「1」を奪ったといえる。チャンスの数も、決定機の数も、ともにC大阪が大きく上回ったが、GK林を中心に最後までゴールは許さなかった。試合を通して観ていると、よりゴールに近づいていたのはC大阪だったが、このまま試合が続いても仙台ゴールを割れるような雰囲気はあまりなかった。
これで仙台は勝ち点「31」。過去の例から、勝ち点「37」以上になると残留できる確率が高くなるといわれていて、勝ち点「37」が目標値となるが、これであと2勝に迫った。途中で14試合勝利なしという試合が続いたが、良く盛り返してきて、残り7試合で16位のヴィッセル神戸との差は「8」。ひとまず安全圏に入ったといえる。
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