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2022年6月12日 (日)

ジョージ・ワシントン大学でのアントニー・ブリンケン演説

2022年6月6日
ウラジーミル・テレホフ
New Eastern Outlook

 5月末に、アメリカの主要な地政学上の敵、中国に関するワシントン対外政策に多くの印象的進展があった。これら進展のいくつかは、ジョー・バイデン大統領の韓国と日本歴訪中におきた。

 特に注目する価値があるのはアメリカ大統領による、長年待たれていた「繁栄のためのインド太平洋経済枠組み」(IPEF)発表と、このアメリカ、日本、インドとオーストラリアで構成される会議形式が昨年導入されて以来行われる四回目の日米豪印戦略対話、略称クアッドの最近のサミットだ。IPEFとクアッドは、一つ重要な共通の特徴がある。それらの主要目標は中国に対抗することだ。これら集団は両方とも、主要地政学ライバルに対するアメリカ作戦の「非軍事」手段の一環だ。

 重要なのは、著者が過去記事「過去20年間での中国の最も重要な成功」で指摘した通り、一帯一路構想の創設と実施も「非軍事」分野のものだ。一帯一路構想は北京の対外政策の中核的原則「人類運命共同体」を築く過程で、各国のイデオロギーにかかわらず全参加者をグローバル対話に巻き込む必要性の一つの鍵だ。

 既に書いた通り、地政学という大きなゲームで、事実上の指導者としての立場維持に対する本格的挑戦という本質を、アメリカが最終的に正当に評価したのは(多分余りに遅過ぎたが)バイデン政権になってからだった。実際、国際ゲーム参加者の中で、ワシントンが現在どんな位置を占めているのかという疑問に答える必要があるかどうかは不明だ。明らかに質問自体が間違っており、答え不能なのだ。アメリカは指導者の一人であることで満足することができるはずなのだ。

 しかし、これが現状だ。現実は、5月26日、アントニー・ブリンケン国務長官がジョー・バイデン・アジア歴訪の終わり前日にジョージ・ワシントン大学での重要な演説で明らかにしたように、中国に対するアメリカ政策は固まっているのだ。演題「中華人民共和国にたいする政権の取り組み」や、その内容やタイミングは全て、大統領の世界の裏側歴訪の一部を構成する出来事の補完物として計画されたことをはっきり示している。

 アントニー・ブリンケンの主旨「投資し、同盟し、競争する」は、中国に対して、明らかに対決的な今のアメリカ戦略の性質と、むしろ矛盾するように思われる。つまり、中国との関係改善の可能性を残したままにしているように思われるのだ。

 過去、世界的舞台での主要ライバルに対するアメリカ政策には、特定の外見上明白な矛盾がなくはなかったことは指摘する価値がある。それで、ドナルド・トランプ政権末期には、言説と実際の政策に関して、大統領と国務長官の間には明確な相違があった。ドナルド・トランプは2020年1月にアメリカと中国間で締結した、いわゆる「第1段階貿易合意」を、貿易分野で彼の最も重要な外国政策業績の一つとして挙げた。だがドナルド・トランプは、アメリカ市場から中国のIT企業排除を目指した関税戦争(今も継続中)も開始した。だが、トランプ政権で、特にCOVID-19大流行発生後、最も率直な中国批判者は、確実に当時の国務長官マイク・ポンペオだった。

 とは言え、アメリカと中国間関係の問題にもかかわらず、第1段階貿易協定は有効で、両国(特に中国)がその条件を守り続けていることを指摘するのは重要だ。だから、二国間関係が、どんなにひどく見えても、まだ事態はもっと良くなる可能性があるのだ。特に経済的に、両国がお互い依存している事実から判断して。先月アメリカのジャネット・イエレン財務長官が北京に送った信号と、国務院総理李克強首相による対応も興味深い。

 それでも、現在の中国関係アメリカ政策で、上記演説でアントニー・ブリンケンがに言及した3活動の最後のもの「競争」が益々優勢なのは明らかだ。その態度は最も有名なアメリカ大学の一校で行った演説内容でも、対中国政策に関する大統領と国務長官の立場に、もはや微妙な差がない事実によって確認される。

 当然、この国務長官演説の偶然の一致からほど遠いタイミングが、中国で気づかれずにはいなかった。5月28日、中国外務省の華春瑩報道官は、Twitterへの11の投稿という形で、アントニー・ブリンケン演説に対する公式回答を発表した。11通のTweet全体が、現在の合衆国政策の現実と、アントニー・ブリンケン演説の主な主張の一つ「アメリカは中国との「紛争や新冷戦を求めていない」との間の矛盾を指摘した。多くの最近のアメリカの政治構想を引き合いにして、彼女は、ワシントンが中国に対し、実際「全面的戦略的競争あるいは戦争」と宣言していることを明示した。

 彼女は、中国の裏庭に、不快な、あるいは徹底的敵意の地域を作ることにより、中国を包囲しようとするアメリカ政策を批判した。この政策の例には、インド・太平洋地域のAUKUSとクアッド、更にファイブ・アイズ連合の創設が含まれる。彼女は中国貿易に対するアメリカ関税の継続に反対意見を述べた。中国の内政問題に干渉したとアメリカを非難して、チベットと新彊自治地域での状況との関係で、台湾問題へのワシントンの態度と敵対的プロパガンダ攻勢を引合いに出した。

 5月末、新彊状況は注目の的だった。ジョージ・ワシントン大学での演説の一日後、アントニー・ブリンケンは、中国に対するもう一つの攻撃の口実として、元チリ大統領で現在の国連人権高等弁務官ミッシェル・バチェレによる新彊訪問を利用した。

 新彊で人権侵害を犯していると言って中国を非難し、中国当局は外国の観察者が、この地域に旅行するのを阻止しているというのがワシントンの主な主張の一つなので、この訪問が進展するのは、当然気まずかったのだ。重要なのは、この訪問に関するアントニー・ブリンケンの公式声明の題名は「懸念」という単語で始まる。具体的に、彼は「国連人権高等弁務官ミッシェル・バチェレと彼女のチームの中華人民共和国訪問と、訪問を制限して、操ろうとする中華人民共和国の取り組み」を懸念しているのだ。

 だが、新彊訪問後、ミッシェル・バチェレは、いかなる制限や操作の兆しも見なかったと延べた。随行団メンバーは、専門の人権擁護者にとって格別の関心である、社会の全ての異なる部門の代表と会合し、話をすることができた。

 中国自治地域での人権侵害とされていることに関するアメリカ・プロパガンダに対する北京の反応は完全に予測可能だ。この話題の単純ながら多くを物語る漫画は特に効果的だ。

 一般に、ここ数ヶ月のアメリカ国務省の高まる言説は、二つの主要グローバルパワー間関係の、すなわち、着実な悪化の一般的傾向と一致している。

 現在の世界覇権争いの、この危険な傾向の一つの証拠は、今回は、南太平洋での中国活動に向けられたアメリカによる、もう一つの同様に注目を集めるプロパガンダ攻勢だ。主な焦点は、三月末の中国・ソロモン諸島間で締結された安全保障連携包括協定だった。

 5月末、中国外交部長の王毅は多くの南太平洋島国を歴訪した。その旅行のハイライトと結果は将来の記事で論じたい。

 ウラジーミル・テレホフは、アジア太平洋地域問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/06/06/on-anthony-blinken-s-speech-at-george-washington-university/

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 アメリカ軍幹部、ウクライナは敗北を認めるべきと発言。日本のメデイアはこの話題、報じているのだろうか?

 The Jimmy Dore Show

Ukraine Should Admit Defeat NOW! Says Top U.S Military Leader

 Moon of Alabama最新記事も、アメリカ大手マスコミが現実を報じ始めたと言う。

Ukraine Bits: No Ammo, More Casualties, Thin Lines, Propaganda And Passing The Buck

 日刊IWJガイド・日曜版

「SOS! 経済的ピンチのIWJに緊急のご支援を! /米州首脳会議は失敗!?『米国にとって致命的な脅威が、米国の裏庭に出現した』」

 2013年4月に翻訳した下記記事の題名、実に正確な予想だった!

ロバート・マクチェズニー『資本主義がインターネットを民主主義の敵にする』について語る

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