ノーベル平和賞受賞者によるエチオピア政権転覆任務
Finian Cunningham
2020年11月12日
Strategic Culture Foundation
「我々の目の前で帝国が崩壊しているようだ」と、エチオピアの危機を観察していた、ある外交官が言ったと引用されている。歴史的に重要な、この国がその存続に対する重大な脅威に直面しているのは疑いようがない。
2年首相をつとめている、アビィ・アハメドは、かつて強力な独立国家で、一度も海外勢力に植民地化されたことがないアフリカ唯一の国の崩壊を監督している。
最近、暴力の爆発が、エリトリアとスーダンと国境を接する北西のティグレ州地域に集中している。アビィは、反対派の拠点をアジスアベバ中央政府支配下におくため、兵隊と軍用機を送った。連邦軍が支配に成功したという国営メディアに繰り返される主張にもかかわらず、この地域は反抗的なままだ。戦いで何百人も亡くなっていると報じられている。だが、この地域は、アビィ政権に遮断されているので、確認するのは困難だ。
2019年にノーベル平和賞を受賞した首相は、それ以上の流血を避けるため、ティグレ州指導部と交渉に入るようにという国際連合の呼びかけを、不条理にも拒絶した。アフリカで二番目に人口ちゅう密な国の軍事対決が全面的内戦に至り、不安定で極貧のアフリカの角近隣諸国を引きずり込む恐れがある。
アビィ・アハメドとは一体何者か?
44歳の政治家は現在最も若いアフリカの指導者だ。不安定な連立政権の中で、多数の不透明な政治論争後、2018年4月、彼はエチオピアの権力を掌握した。アビィの在任期間は、当初は選挙を監督する暫定首相となるよう意図されていた。だが、2年以上後、彼はコロナウイルス流行から国民の健康を守るという口実で、選挙を無期限に延期した。ティグレ州地域は、1991年に終わった革命戦争の後、支配派閥だったティグレ人民解放戦線(TPLF)に支配されている。TPLFは、アビィの隠された思惑に常に用心深かった。TPLFは9月に選挙を延期するのを拒否し、彼らは、今のアビィは代表権能なしで、独裁者のように支配していると主張している。
アビィは、以前はTPLF率いる連合政権のメンバーで、技術大臣と、その前には、軍の諜報士官を勤めていた。オハイオの私立アシュランド大学(著名卒業生は、ここを参照)でMBAの勉強をしている間に、CIAにリクルートされたと信じられている。アメリカ諜報機関の指導下で、国家安全保障監視体制を確立する政府大臣としての仕事は、彼に競争相手に対する巨大な政治的力と影響力を与えたはずだ。
ノーベル賞は、PR化粧直しの一環
アビィは、エリトリア独裁者イサイアス・アフェウェルキと着手した驚くべき構想のおかげで、暫定首相として、ほぼ一年の公務後、2019年、ノーベル平和賞を受賞した。アビィは受賞の根拠についての質問に答える記者会見を拒否して物議をかもした。和解は、2001年に終わった三年間の血まみれの戦争後、エチオピアとエリトリア間の20年の国境紛争に終わりをもたらすはずだった。その結果、アビィは、進歩的改革者として、欧米メディアに歓呼して迎えられた。だが、顕著なのは、平和協定と称されるものは、エリトリアと、隣接するエチオピア地域ティグレ州間の国境関係の実質的改善をもたらさなかったことだ。エリトリア首都アスマラへのアビィ訪問の全てが秘密で覆い隠されている。和解策が発表されていない。極めて重要なのは、中央エチオピアにあるオロモ地域出身のアビィが着手した取り引きについて、ティグレ州の人々が相談されていないことだ。
政権転覆
一見、アビィが国外で平和を模索していた間、国内の様相は非常に異なっていた。彼が2018年早々、権力を掌握するとすぐ、約1億1000万のエチオピアの多民族的人口という織物は、内輪もめの暴力と大量強制退去で、劇的に解体した。それ以前、TPLFに率いられた体制(1991-2018)下のエチオピア連邦の構造は、比較的安定していて、平和だった。その数十年間、社会主義志向の当局は、地域の安全保障問題に関して親密な対米関係を維持したが、エチオピアは経済発展に関しては、独立した国家政策を追求した。欧米金融資本は厳しく規制され、他方、中国は重要なインフラ計画に関係する主要外国投資パートナーになった。
主要プロジェクトは、2012年に亡くなった前TPLF首相メレス・ゼナウィが始めたブルー・ナイル水力発電ダムだ。これはアフリカ最大の発電所になる予定で、主にエチオピアが自分で資金調達した。欧米資本は参加できなかった。
ダムが標的
アビィが権力の座にのし上がって、ほぼ三カ月後、ブルー・ナイル・ダムの主任技師Simegnew Bekeleが暗殺のように見えるもので殺害された。後に、官憲による調査がそれが自殺だったと主張している。監視カメラが不可解にも機能しておらず、彼の安全情報の詳細が、彼の殺害直前に突然切断されている怪しい状況から、ほとんど信じている人はいない。妻は葬儀に列席するため外国から戻るのを阻止された。
チーフエンジニア殺人の動機は、ダム建設を混乱に陥らせることだった。狙いは建設停止ではなく、プロジェクトの資金調達を全面的見直しさせ、欧米資本の画期的な投資で50億ドルの巨大ダムをカバーするためだった。
ティグレ州征服が最終任務
過去二年間、エエチオピア連邦民主共和国全体が分派の衝突で揺り動かされている。正確な死亡者数を知るのは不可能だが、何千人にものぼると推定されている。政治的暗殺は全て余りに日常茶飯事になったが、アビィが権力の座につくまで、このような暴力はまれだった。アビィと彼の徒党が、エチオピアの九つの地域政府で、組織的に政権を置き換えようとしていることから、死に物狂いの争いが生じたように思われる。彼は、アジスアベバ中央議会で議員を首にして、彼のおべっか使いで置き換えた。欧米メディアは、この動きを、終始ノーベル賞受賞者首相に実行される「民主改革」として描写している。エチオピアの様々な構成国での暴力は、アビィの権力略奪に対する合法的抵抗ではなく、報復主義者の旧体制分子の結果だと欧米メディアは暗示しているのだ。
ティグレ州地域は、常に強い政治的、軍事的自治を持っている。500万人の住民はTPLFの指導力の下で団結している。それで、この北西地域は、アビィ・アハメドと彼の外国支援者によって行われているエチオピアでの政権転覆工作に対する障害なのだ。それら外国支援者には、アメリカと戦略上重要なアフリカの角の地政学支配を求めている湾岸アラブ石油政権も含まれる。この政権転覆が成功するためには、エチオピアの政治的独立は破壊しければならない。特にティグレ州地域の民族的抵抗は打ち負かさなくてはならないのだ。
ティグレ州の情報提供者によれば、先週末、アビィがティグレ州に連邦軍をしかけ、輸送、電気と通信を遮断しながら、エリトリア独裁者の友人を訪問するために飛んだのは実に邪悪だ。地域を締め殺す犯罪的包囲攻撃に続いて、二人の政治家が、南と北からティグレ州を攻撃するための挟撃作戦をしかけつつある大きな懸念がある。
Finian Cunninghamは、国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で作詞作曲家でもある。20年以上、ミラーやアイリッシュ・タイムズやインデペンデント等の大手マスコミ企業で、編集者、著者として働いた。
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PCR検査を決して強化せず、食事時のマスクの着脱方法、食べ方、話し方を指導する御用学者余りに恥ずかしい三等国の光景。国民を幼稚園児並に扱っている。彼自身が幼稚園児以下なのに。日本学術会議を、こういう御用学者だけの日本会議にして、侵略戦争用の兵器研究や侵略戦争宣伝をさせるのが、傀儡政党長年の狙い。だから理由も狙いも言わない。
デモクラシータイムス番組で、元NHKの永田教授、わざわざ百地章を登場させる番組を批判しておられる。
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