狂気が穏健に見え、正気が過激に見える、正気でない世界
2020年7月7日
ケイトリン・ジョンストン
アメリカに集中した帝国に、穏健な主流中道主義者はいない。彼らは存在しない。
穏健な主流中道主義者は、生得的に不可能な立場ではない。健全な世界なら、それはまさに多数派の世界観のはずだ。だが我々は健全な世界には暮らしていない。
機能する帝国というものは、殺人、テロ、搾取、圧制、生態系破壊や世界最終戦争用兵器備蓄を基盤に作られるから、外交政策上、単一の帝国として役割を果たす国々の緊密な同盟のどこにも、穏健な主流中道主義者はいない。
この帝国の現状を支持する人々は「穏健主義者」と呼ばれているが、シリアのいわゆる「穏健派反政府派」と全く同様、彼らは実際は、強暴な過激派なのだ。
それがジョン・ボルトンだ。本物のジョン・ボルトンだ。連中は、アメリカに標的に定められた政府に関する諜報情報の主張に関する専門アナリストとして本物のジョン・ボルトンを雇い、この人物が、これらの物事に関し、ウソをついて、あらゆる経歴を築き上げてきたのを国民に知らせなかったのだ。https://t.co/r1dRjIv2CK
- ケイトリン・ジョンストン⏳(@caitoz) 2020年6月28日
これが、心理的に非常に不健康な世界に暮らしている現実だ。もし無辜の人々に、空から爆弾落とし、彼らの体をバラバラに引き裂き、瓦礫に埋もれさせる戦争を推進して、出世すれば、その人は理想的指導者の手本として扱われ、政界や、評論界や、出版業界や、シンクタンクで権威ある立場を与えられる。もし、それらの戦争に反対すれば、人は軽んじられ、最良の場合でも、社会の隅に追いやられ、中傷され、最悪の場合、外国政府のために心理作戦を遂行する文字通りの裏切り者にされる。
金権支配階級が、下劣な金権政治の狙いを推進する政治支配層や、連中の狙いを当然のものとして正当化するマスコミ組織を所有しているので、圧制的な、搾取的な、核兵器による皆殺し、生態系破壊という現状を維持するのが行うべき良い健全なことで、という主流の合意が強引に作り出されている。そういうことは、とんでもなく狂っていると指摘する意見は、それが可能な場合には、隅に追いやられ無視され、必要な場合には、中傷され、悪者にされる。
金権政治支配者や連中の従僕の、こういうことをする能力が、現状を擁護する連中が、自身を「中道主義者」「穏健主義者」と呼べる唯一の理由だ。それは連中の意見が、どんな形であれ中庸だからではなく、言説支配だけの力で、意図的、人為的に作り上げられ、主流に押し込まれている合意と一致しているからだ。
私はジョー・バイデンがジョージ・W・ブッシュに賞を着けるのを見たから、あなたは見なくともよい
「「彼は犯、えー、捕虜として最も暗黒な場所に行ったことがある人物だ」とブッシュはマケインについて言った。彼は、すんでのところで「犯罪者」と言うところだった。結構。見続けて良かったと思っている。https://t.co/kUHFARUWzB
- ケイトリン・ジョンストン⏳(@caitoz) 2018年11月12日
この合意のでっちあげは、現状維持バイアスとして知られている、人間の認知機能の欠陥によって、人は規定の好みとして、なじみ深いものに固執しがちになり、何か良いものを得るより、持っているものを失う危険を極めて好ましくないと思ってしまうのだ。サイコロジー・トゥデイは、こう説明している。
カーネマンとトベルスキーの研究が、利益の恩恵に対し、損失は、心理的に二倍有害であることを示唆している。言い換えれば、人は、100ドル得る楽しみより、100ドル失うことで、心理的な痛みを二倍感じるのだ。一つの解釈は、人が現在の状態から路線を変えるためには、別の選択肢が二倍有益だと認知されなければならないのだ。これは我々がいつも物事をしている方法に対し変更を考える時に直面する難題を浮き彫りにしている。
契約期間が近づいて、軍人が選択肢を考える時、単に彼らが自分たちにとって存在している多くの機会に気が付かないというだけの理由で、多くの人々が、再度兵役につこうと考える。我々が、既存路線がもはや有益ではないか、もはや我々を幸せにしないと理解している時でさえ、選択肢が十分に魅力的でない場合、既存路線に留まろうとする自然の衝動を克服しなければならない。躊躇せず代替路線進むためには、我々は選択肢が明らかに現在の路線より優れていると、思えなくてはならないのだ。
現状維持バイアス効果は、些細な決定にも、重要な決定にも蔓延している。我々は、しばしば、それが既定値だというだけの理由で、安全な選択肢と考え、引き止められてしまう。現状維持に向かいがちな人間の性癖を心に留め、惰性の誘惑を認識することで、それを、より効果的に克服できるようになるだろう。
今や、実に多くの人々が財政破たんの瀬戸際にあり、状況が、予想できない形で突然変化した場合、彼らに起きかねないのを恐れている苦境の今、現状維持バイアスは更に悪化している。この結果、地球上最も強力な国で、大多数の人々が、今いわゆる中道主義の「緩慢な逐次的変化」哲学を支持しており、それは実際は、常に全く変化がないことを意味している。一方生態系は死に瀕しており、アメリカはロシアと中国との核緊張をエスカレートさせ、全員、圧制的で搾取的な現状の下、一層頭を狂わせ、惨めになっている。
子供時代、木登りをして、降りるのが怖くなり、身動きできなくなったことがおありだろうか? それは我々の多くにとって共通体験だ。木登りの楽しさ、自分の登り方のうまさに没頭していると、突然、枝がずっと細くなり、風で前後に揺られ始め、見下ろすと、突然恐ろしくなるのだ。
叫んで母親に助けを求めると、母親が出て来て「お前は、そこに、ずっとはいられないよ!」と叫び、降りるように言うのだ。母親が正しいとわかっていても、その瞬間、下を見て、しがみついている細い枝を放すという考えは、危ない持続不可能な位置で全く動かずにいるより恐ろしく思えるのだ。
まさに今我々は、この苦境の中、現状維持バイアスにとらわれている。人々は物事を変える必要があると分かっていても、非常に不安定な立場にいるために、大惨事に向かう既存経路から、跳躍して、あえて離脱するリスクを、余りに恐ろしく感じてしまうのだ。
もし我々が種として生き残りたいなら、それが唯一の選択肢だ。我々は子供時代に動けなくなった、どんな木からも降りられたのを知っており、今我々の心の中の小さな声と同じぐらい母親が正しいのを知っている。我々は現状に留まることはできない。我々は現状維持の言説支配から目覚め、不安定で持続不可能な立場を離れ、安定した健全な基盤へと移る方法を見いださなければならない。
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