本当の経済問題は閉鎖ではない
2020年4月29日
Paul Craig Roberts
我々は、この全てについて、どう考えるべきだろう? ニューヨーク・タイムズ記事はトランプ大統領がウソをついて、国民にCovid-19流行の激しさを隠した、と報じている。https://www.nytimes.com/2020/04/28/opinion/coronavirus-trump-coverup.html 一方で、Covid-19はペテンだ、ニューヨーク市の病院は空だ、誰も死んでいないという果てしないインターネットの怒りに遭遇する。それは、ロスチャイルドとロックフェラーとビル・ゲイツの策謀以外の何ものでもないのだ。全ての中で、おそらく最も驚くほど矛盾している主張は、きわめて無害なのだから、一時封鎖すべきではなかった生物兵器だというものだ。なぜ無害な生物兵器を作るだろう?
閉鎖に対する人々の立場は、各人が他の問題で、どういう立場なのかによる。自由論者なら、自分の自由に干渉し、給与で税負担させられる役立たずの年寄りを生かせ続けるので、閉鎖に反対だ。ニューヨーク・タイムズのようなトランプ嫌いなら、脅威を軽視し、早急に閉鎖しなかったと言って、トランプを非難する。トランプ支援者なら、中国を非難し、中国が保有するアメリカ国債一兆ドルを没収し、それで支払わせるのを期待する。
閉鎖を非難する人々は、彼らが引き起こす損害に気付いていない。彼らは結果として生じる経済不況を、閉鎖のせいにするために、もう1つのために我々に「1パーセントが乗ずる救済措置」を要したエリートのためにそれを設定した。アメリカ経済は長期の景気後退にある。収入と富の増大は、連邦準備理事会によるお札印刷により、価格が上がった大多数の株式・債権を所有するトップのわずかな人々に与えられた。残りの国民は、彼らの仕事の海外移転により、家賃や住宅ローン、自動車ローン支払い、クレジットカード支払いや、学生ローンを支払った後に、裁量所得を、わずか、あるいは全く残さない、経済の金融化によって傷つけられている。
連邦準備銀行によれば、国民の40%が400ドルの現金が調達できないと状態で、経済は既に債務デフレーションだった。債務デフレーションの避けられない結果は、債務デフレーションが、経済を駆動するのに十分な消費者総需要を妨げるので、経済不況だ。企業が利益を自社株買い戻しに使ったので、GDP成長は、事業投資の支援を受けなかった。
その土台がすでに存在していた債務デフレーションに対し、閉鎖に責任はない。だが、閉鎖はそれを後押しした。中小企業は、ボーイングなどの大企業のようには救済されない。中小企業にとって、閉鎖は経費が収入を超える期間となる。閉鎖の結果として生じた失業者にとって、生活費支払いは続くが、給料は続かないのだ。トランプの小切手は、追い立ての一時停止と、不可避のことを遅らせるのには役立つが、既に大きな債務をかかえた大多数の人たちにとっては、閉鎖は債務を増やすことになる。
できる限り多くの個人所得を債務返済に転換し、不労所得階級を豊かにする経済体制は、終わった経済制度だと、マイケル・ハドソンと私は信じている。あり得る解決法は、多少の裁量所得を生み出すための債務帳消しだ。製造業の雇用を海外移転し、ウォルマートの雇用に変えた結果、アメリカGDPの成長が止まった際、アラン・グリーンスパン連邦準備制度理事会会長が、消滅した収入増加を、消費者債務の増大で置き換えたの想起願いたい。この置き換えで、消費者を借金漬けにして、裁量所得を作り出したのだ。
今や債務満載だ。我々は成長可能性皆無の経済で非常に高い株価という、うらやむに値しない立場にある。高株価は、何兆ドルもが金融資産価格に注入された産物だ。もし再開が、ウイルスを蔓延させて、より広範囲で医療制度を崩壊させる、二度目の波を産み出せば、経済は再び閉鎖され、開き続ければ、受けるため広範囲にわたる病気の蔓延や、ウイルスに曝露するのをいやがる抵抗で、混乱しかねない。一方、もしウイルスが自然の経過をたどるか、脅威が誇張されれば、既存の息が詰まるような債務の重荷は残る。
大声をあげて、責任をなすりつけても、閉鎖で、債務の重荷ではなく、不健全な経済が、責められるだけになる危険がある。経済を再開しても、債務の負担は消えないのだ。マイケル・ハドソンと私は、大衆と政策当局者を本当の問題に注目させようとしている。これまでのところ我々は失敗している。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/
記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2020/04/29/the-real-economic-problem-is-not-the-closedown/
----------
アメリカでのコロナ死者、ベトナム戦争をはるかに超えた。何年間にもわたる戦争の死者に対して、今回は、わずか数カ月。しかも、まだまだ続く。宗主国司令官と大本営の戦略ミス。属国は、国も、首都も、忠実に見習っている。切腹しろとは言わないが、敗軍の将の言い訳を聞くのは時間の無駄。メーカーであれば、欠陥製品大増産を進めた幹部連中は退陣しているはずだ。責任を負わないのが、美しい日本の伝統。罪は部下に押しつける。
植草一秀の『知られざる真実』
孫崎享氏の今朝のメルマガ
コロナ対策の根本を考えよう。(1)コロナ・ウイルス対策(医療分野)(2)ソーシアル・ディスタンス策、(3)ソーシアル・ディスタンス策よる経済停滞、一般市民の経済状況に対する救済、緊急事態宣言で(1)をどれだけしたか。検査はOECD諸国のほぼビリ。
昨日の昼のバラエティー番組に驚いた。マスクをきちんとつけて、良く手を洗い、家にこもっていればよい、という医師。夕方の壊憲男と忖度専門家会議の自粛延長会見露払い?
もっと驚いたのは、検索すると、その医師を、わかりやすくて良いやら、はっきりいうので良いという書き込み。
具体的数値データ皆無の延長会見、もちろん見ていない。敗軍の将兵を語る。玉音放送現代版。
ガダルカナルとインパール、一度に実行する宣言に聞こえた。出口戦略皆無。竹槍バケツで戦えという訓示。
« トランプ/ナヴァロの対中国冷戦 | トップページ | 日本は本当の独立国家になる頃合い »
「アメリカ」カテゴリの記事
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
- イスラエルはシリア問題に介入するつもりはないというネタニヤフ首相の滑稽な主張(2024.12.17)
- 「テロ組織」は、アメリカがそう呼びたいもののこと(2024.12.16)
「伝染病という便利な話題」カテゴリの記事
- もう一人の真実の闘士ラッセル・ブランド「無実が証明されるまで有罪」(2023.09.30)
- ニュージーランドは些事に至るまで国民を管理する欧米諸国政府用の実地試験?(2023.01.26)
- 以前発表した通り中国がコロナ政策を変更したのに偽って抗議行動の勝利と主張するNYT(2022.12.11)
- 多数の死者に苦しむ欧米はゼロ・コロナ政策を放棄するよう中国への圧力を強化している(2022.11.29)
- ウウルスラフォン・デア・ライエンは辞任を強いられるだろうか 彼女の行為は調査されるだろうか?(2022.11.01)
「ポール・クレイグ・ロバーツ」カテゴリの記事
- 腐敗したアメリカ支配層に宣戦布告したかどでトランプは暗殺されるのだろうか?(2023.06.26)
- ポール・クレイグ・ロバーツは大量虐殺が好きなのか?(2022.05.01)
- ロシアの安全保障提案をワシントンが拒絶したのはまずい判断(2022.01.31)
- 欧米で、ジャーナリズムは宣伝省にとって替わられた(2021.11.23)
コメント