サウジアラビア - 新たな予算問題が起きるにつれ、後退子は更に多くの王族を逮捕
2020年3月7日
Moon of Alabama
サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン後退子は王族内の競争相手を排除した。
サウジアラビアは、サルマーン国王の弟アフメド・ビン・アブドルアジズ王子と、国王の甥ムハンマド・ビン・ナエフ王子を含め、三人の主要サウジアラビア王族を、クーデター計画のかどで拘留したと事件を知る情報源が伝えた。
アフメド王子とムハンマド・ビン・ナエフ王子が、最近の捜査で拘留されたと、四人の情報提供者がロイターに語った。現地情報源を含め、二人の情報提供者が、モハンメッド・ビン・ナエフ王子と弟のナワフ王子が、金曜、砂漠の私的キャンプ滞在中に拘留されたと述べた。
MbSとも呼ばれるムハンマド皇太子は「クーデター実行のため、アメリカ人や他の人々を含め海外勢力と接触したと言って彼らを非難した」と地域の情報提供者が述べた。
「これらの逮捕で、MbSは政権を完全に掌握した。それはこの粛正で終わった」と情報提供者は、彼の王位継承に、もはや対抗馬は皆無だと付け加えた。
この措置については、二つの、もっともらしい説明がある:
一つ目は、二人が、サウド家「立て直し」の一環として、彼らは国王と皇太子に就任するつもりで、支配王家の中で、彼に対する反乱を率いたということだ。これは国内、対外問題に対する、それほど対決的でない、より合意に基づく手法による「伝統的」統治様式を復活させることに向けられていはずだ。このような計画が企てられているといううわさは、昨年9月、国王護衛官アブドルアジズ・ファガムの不可解な暗殺後、表面化していた。
二つ目の説明は、ムハンマド・ビン-サルマンが、王族内の主要対抗馬二人を追い出すため行動したというものだ。いくつかの報道は、不健康と無能力を理由に、父親を排除して、自身を王と宣言する準備で、他の多数のメンバーも一斉検挙されたと主張している。彼はそれによって彼の主要な潜在的挑戦者たち先制攻撃をしたのだ。
この動きは、サウジアラビアが財政上の圧力下にある時に起きている。政府の2020年予算は500億ドルの赤字、サウジアラビアGDPの6.4%と予測された。だが、それは推定バレル当たり62-63ドルの原油価格と、日産約980万バレルという生産想定に基づいていた。
一月第一週、原油が一バレル、69ドルになったが、コロナウイルス危機が世界需要を破壊したので、価格はそれ以来、一バレル、45ドルに下がった。サウジアラビアは、価格を維持するため、サウジアラビアに続いて二番目に大きい輸出国ロシアとの石油生産削減の合意をしようとした。だがロシアは新たなOPEC削減を拒否した。ロシアは石油生産を続けたいと望んでおり、この危機を、更にアメリカの水圧破砕での石油生産に悪影響を与えるのに利用するだろう。アメリカの水圧破砕抽出ブーム全体が詐欺の上に成立しているのだから、この動きは成功する可能性が高い。
ロシアは赤字予算ではなく、より安い原油価格で、大きな損害なしで生き残る良い位置にある。サウジアラビアはそうではない。
世界的大流行は、メッカとメディナに旅する年間2000万人の観光客による、サウジアラビアの二番目に大きい収入源も削減した。2月、Covid-19発生後、サウジアラビアは外国人巡礼者が二つの市に入るのを禁じた。200万人の巡礼者が予想された今年のメッカ巡礼は、7月末の予定だ。もし世界的大流行がその時まで継続していれば、メッカ巡礼は中止しなければなるまい。その時は、政府の計画収入が、更に何百億ドルも減るだろう。
最後に、MbSがイエメンで、まだ継続している戦争は、彼にとって暗転しつつある。今やフーシ派は対空防衛ミサイル(ビデオ)を持っており、サウジアラビア戦闘機を撃墜し、効果的に活用できることを証明した。先週アンサール・アッラーとしても知られているフーシ派は、石油のジャウフ県の首都ハズムと、この県の人が住む石油が豊富な地域全てを征服した。これによる戦略上の影響があるだろう。
ジャウフ県解放は、戦略上重要なマアリブ県への攻撃と支配のための非常に好適な条件を提供した。もしフーシ派が、マアリブも獲得すれば、イエメンの北から南に至るサウジアラビアの主要供給経路は切断され、サウジアラビアにとって残るのはマフラ県の経路だけだ。マアリブ支配の確保は、北イエメン共和国全土のフーシ派支配を意味する。リヤド支配のためのサウジアラビア連合の最重要基地も破壊されるだろう。実質的に起きる、サウジアラビアにとっての一定の失敗後、イエメン軍は、集中と完全な自信で、残るタイズ県とアデン県を勝ち取る措置をとるだろう。
赤 - フーシ派、青 - サウジアラビア代理政府、緑 - アルカイダと諸部族
サウジアラビアはオマーン国境に沿った東部のマフラ県を占領している。サウジアラビアは、狭いホルムズ海峡経由の石油輸出を回避するのを可能にする、イエメン海岸への石油パイプラインを作りたいと望んでいる。だがマフラ県現地の諸部族は占領に反対で、彼らは最近サウジアラビア軍に対して武器を取った。
MbSの小さな冒険は、サウジアラビアに対し、一カ月に何十億もの負担をかけている。それに使われた全ての資金にもかかわらず、サウジアラビア軍と、その代理人は戦争敗北途上にある。連中は、これをよく理解している。最近サウジアラビアは、フーシ派占領地域への全ての支援を止めるべく国連で介入するよう、トランプ政権に要求した。国連は、おそらく、この圧力に抵抗するだろう。フーシ派が占領している地域に対するサウジアラビアによる封鎖は、既に何万人ものイエメン人の人生を犠牲にしている。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の火遊びは、サウジアラビアが抱えている多くの問題のどれも解決しない。非常に大きな王室には、確かに彼に反対して行動するのをいとわない他の多くの人々がいる。いつの日か彼らの一人が幸運に恵まれるかもしれない。
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原文では彼の肩書、Clown Princeになっている。ご存じの通り、皇太子はCrown Prince。
urban dictionaryでは、clown princeは、prince of crime and trickery(犯罪と詐欺の王子)とある。うまい言い換えを思いつけないので「後退子」。
無観客相撲。力水は所作だけ。呼び出しと行司の声が響く。力士の呼吸の音も聞こえる。オリンピックに無観客など、あり得るのだろうか?
LITERA
日刊スポーツ
日刊IWJガイド
日刊IWJガイド「本日午後7時より、岩上安身による上昌広医師インタビュー第2弾を行います!」2020.3.9日号~No.2734号
NHKは政府広報放送!? 昨日放送の「日曜討論」は政府側のみの出演!!
そもそも「日曜討論」ほとんど見たことはないが、危機の時にこそ正体が現れるだろう。大本営広報部の面目躍如。
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