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2019年11月 2日 (土)

真実を語ることは反米行為になった

2019年10月30日
Paul Craig Roberts

 スティーヴン・コーエンと私は、現在のアメリカとロシア間の緊張状態は、冷戦時代のアメリカとソ連間の緊張より一層危険であることを強調している。コーエンも私も、現在の緊張の状態で高まっている核戦争の危険に注意を払う必要性を主張していることで、アメリカ軍安保複合体の集団から資金供給されている疑いがあるウェブサイトPropOrNotから「ロシアの手先/スパイ」と呼ばれている。

 コーエンと私は、冷戦時代、両国が緊張を緩和し信頼を築こうと動いていたことを強調している。ジョン・F・ケネディ大統領は危険なキューバミサイル危機を沈静化させるためフルシチョフと協力した。リチャード・ニクソン大統領はジミー・カーター大統領と同様、ソ連リーダーと軍縮協定を締結した。ロナルド・レーガン大統領とゴルバチョフは冷戦を終わらせるために協力した。ジョージ・H・W・ブッシュ大統領政権はゴルバチョフに、もしソ連がドイツ再統一に同意すれば、アメリカはNATOを一インチも東に拡大しないと保証した。

 これらの業績は全てクリントン、ジョージ・W・ブッシュとオバマのネオコン政権によって破壊された。アメリカ/ロシアの関係を正常化するドナルド・トランプ大統領の意図は、アメリカ軍安保複合体と売女メディアと民主党によって阻止された。
ロシアゲート・ペテンと現在の違法な弾劾プロセスは、核保有二大国間の緊張の危険な状態を、何らかの形で緩和するのを阻止するのに成功した。

 冷戦時代を生き抜き、戦った我々は、飛来するICBMの誤警報や、他の極めて緊張の高い瞬間が核ハルマゲドンを招きかねなかったのを周知している。

 元CIA分析のレイ・マクガヴァンは、1962年10月27日、キューバ・ミサイル危機の頂点に、一人のソ連の海軍潜水艦艦長ワシーリー・アレクサンドロヴィッチ・アルヒーポフが核戦争の発生を防いだことを指摘している。アルヒーポフはソ連潜水艦B-59の二人艦長の一人だった。B-59が合衆国軍艦の爆雷に何時間も攻撃された後、もう一人の艦長バレンティン・グリゴーリエヴィッチ・サヴィツキーは、ランドルフ空母部隊を丸ごと潰滅できる10キロトン核兵器の発射を準備した。アルヒーポフが居合わせて、命令を取り消し、ソ連潜水艦を浮上させたので、それは起きなかった。レイ・マクガヴァンがこの記事で言っており、https://www.zerohedge.com/geopolitical/most-dangerous-moment-human-history ダニエル・エルズバーグの本、The Doomsday Machineでそれを読むことができる。記事の本当に恐ろしい部分は、アメリカ諜報機関が非常に無能なため、アメリカ海軍が爆雷攻撃をしている戦場にいるソ連潜水艦に核兵器が搭載されているという考えをワシントンは持っていなかったことだ。高級将校連中が、潜水艦を沈没させることで、ソ連に教訓を与えることができると考え、すんでのところでアメリカが破壊される直前だったのだ。

 核戦争を防いだもう一人のソ連英雄は、ソ連軍の規則に服従せず、飛来するアメリカICBMに関するの報告を上げなかったスタニスラフ・イェフグラフォヴィッチ・ペトロフだ。 彼は軍事的/政治的に、このような攻撃をする理由があるとは思わず、ソ連人工衛星警告システムの故障だと結論したのだが、その通りだった。

 アメリカもソ連も、判断を元に何度も警告を無視してきたのだ。私の同僚ズビグネフ・ブレジンスキーが飛来するソ連ICBMに関する報告で午前2時に目覚めさせられる話を私にしたことがある。攻撃シミュレーションが、何らかの方法で、警告システムに入り、本物として報告されたことが分かったのだ。それは非常に危機一髪の出来事だった。ブレジンスキーが大統領を起こす前に、誰かが、それを大いに疑い不具合を検出する十分な時間があったのだ。

 現在、緊張は実に高まっており、双方が相手を信頼していないので、公式の警告システムに対し、人間の判断が優先する可能性はずっと低い。

 長年私はレーガン大統領の軍事力増強/スター・ウォー誇大報道や、マルクス主義者、あるいは単なる左翼改革運動に対するグラナダとニカラグアへの敵意の広範な誤解と虚報を修正しようとしてきた。彼の経済プログラムが実施され、スタグフレーションが落ち着きはじめた状態で、レーガンの計画は、軍備競争出費で彼らの破綻した経済を恫喝してソ連を交渉に引き込むことだった。計画は、中米や沖合の島で、いかなるマルクス主義者の前進も阻止する狙いもあった。共産主義拡大の見込みは皆無で、破綻した経済のために、資源を使えるようにするためには、本気で平和に取り組むしかないとソ連に理解させなければならなかったのだ。

 ベン・マッキンタイヤーのイギリスのMI6スパイ、KBG大佐オレグ・ゴルディエフスキーの話「The Spy and The Traitor」を読んで、レーガンの計画がどれぐらい危険だったか私は初めて気が付いた。アメリカ諜報機関は余りに的外れだったため、ソ連を脅かして、平和に至らせようと意図された計画が、そうではなく、ソ連に、アメリカが全面的な核攻撃を用意していると確信させたことを、ワシントンは気づかなかったのだ。

 当時ソ連のトップは前KGB長官ユーリ・アンドローポフだった。1983年11月始めの「エイブル・アーチャー」NATO軍事演習は、ソ連に対する紛争がエスカレートし、核攻撃にいたるもののシミュレーションだった。ソ連はそれを軍事演習とは見なかった。アメリカによる本物の攻撃準備と見なしたのだ。ソ連先制的な動きを防いだのは、ソ連の懸念をアメリカが限界にまで引き上げているという、MI6へのゴルディエフスキー報告だった。これが彼らが好戦的な言葉と行為で作りだしていた脅威に、レーガンとマーガレット・サッチャーを目覚めさせたのだ。CIAは後にこう告白した。「ゴルディエフスキーの情報はレーガン大統領にとって、突然のひらめきだった。MI6によるワシントンに対するゴルディエフスキーの時宜を得た警告だけが、事態があまりにも行き過ぎるのを阻止したのだ。」

 私やスティーヴン・コーエンの年季の入った意見からすれば、ロシア大統領に「新ヒトラー」と烙印を押したヒラリーが、あわや大統領に選ばれそうになり、絶え間ない挑発、ロシアとロシア大統領の悪魔化、核兵器搭載可能ミサイルのロシア国境配備、画策されたロシアゲート、アメリカ治安機関がトランプ大統領の関係正常化を阻止して、事態は既に行き過ぎている。上述したような誤警報や計算違いが、これまでのどの時期より命取りの結果をもたらす可能性は一層高い。

 実際そういう意図のように思われる。そうでなくて、いずれの側も相手を信頼しない時に、このような緊張の危険について、スティーヴン・コーエンや私のような人々が真実を語り心から正確な警告をすると、なぜ「ロシアのスパイ」と烙印を押されるのだろう?

 スティーヴン・コーエンや私のような誠実な人々を「ロシア・スパイ」として悪者にするのは無謀で無責任だ。真実を語ることが、不実なアメリカ人であるマークになるとき、一体どんな希望があるだろう?

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/10/30/telling-the-truth-has-become-an-anti-american-act/

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 孫崎享氏の今日のメルマガ題名:

「安倍政権「辞任ドミノ」で11月20日解散・12月15日選挙説後退、安倍政権に打撃を 与えるか?第一次安倍政権と異なり野党弱体化、?これまでの閣僚辞任劇のほとんどが「野 党やマスコミが騒いでも、一過性、他方菅官房長官の権力拡大への党内攻撃材料へ。

 英語民間検定試験の大学入学共通テストへの導入中止を発表なら納得するが。

日刊IWJガイド・土曜版「萩生田光一文科相が英語民間検定試験の大学入学共通テストへの導入延期を発表!」2019.11.2日号~No.2606号~(2019.11.2 8時00分)

 

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