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2018年12月19日 (水)

ロシアは学んでいるのだろうか?

2018年12月18日
Paul Craig Roberts

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 ワシントンがロシアが隷属状態となる以外、ロシアと取り引きするつもりがなく、欧米との合意をあてにするのは幻想なのをロシアは知っているのだろうか? ロシアは学んでいるという若干の兆しはあるが、それはゆっくりとした過程であるように思われる。

 ロシア政府が、イスラエルに、シリア国内でのイスラエル攻撃は、もはや容認しないと語ったとロシア・インサイダーは報じている。https://russia-insider.com/en/russia-greenlights-retaliatory-syrian-attacks-israeli-targets-report/ri25684

 ロシアがワールド・カップに注力するのにつけこんで、キエフがドネツクとルガンスク両共和国攻撃に利用することについて質問され、プーチンがこう答えたともロシア・インサイダーは報じている。 "もしそのようなことが起きれば、ウクライナ主権全般にとって厳しい結果になる。" https://russia-insider.com/en/politics/what-if-kiev-attacks-during-world-cup-putin-theyll-rue-day-video/ri23722

 これらは、ワシントンとイスラエルに、他の頬を向けるのは外交的解決ではなく、更なる挑発を招くのをプーチンが知ったという勇気づけるような声明だ。にもかかわらず、プーチンは、依然、合意に対する信頼にしがみついているように見える。プーチンは、解決は、ウクライナがミンスク議定書に従うことだったと言ったのだ。

 ミンスク・プロトコルでは、ウクライナがドネツクとルガンスク共和国を再び取りこむが、それはロシア政府がこれら独立した共和国のロシア住民が、ある程度西ウクライナのナチ分子を相殺し、それにより、ウクライナ内部で、若干の政治的バランスを維持するよう望んでいるためだ。

 このロシア政策の欠陥は、それがウクライナがワシントンの属国であり、ワシントンがその属国をロシアに対する問題を煽動するのに使うつもりなのを見落としていることだ。差し迫った暴挙を、ウクライナ大統領の政治的困難の帰結だと見ているなら、プーチンは考えが甘い。差し迫った暴挙は、ウクライナ攻撃からロシア国民を守るのを彼が拒絶することで、ロシアの民族主義者に対し、プーチンの信用を失墜させるか、あるいは、もしロシアが介入すれば、再びウクライナを侵略した侵略者としてロシアを悪者にするという、ワシントンの決意を示しているのだ。

 クリミアのようなロシアと合併するドネツクとルガンスクでの投票を受け入れるのを拒否することで、ロシア政府は自身にとって勝算のない状況を作り出した。ロシアがドネツクとルガンスクを再び合併しそこねた失敗は、ロシア政府の戦略上の過ちだった。

 どのようにワシントンがウクライナに、ロシアとの正常な関係に戻るのを許そうとしていたという考えをロシア政府が得たかを理解するのは困難だ。この考えは余りに理不尽で、ありそうにないので、私の結論は、ロシアがもっと大いに学ばなければならないということだ。

 ロシア政府は、ワシントンが既に事実上ロシアに対し戦争布告したことに気付いていないように思われる。制裁が合法的であるためには国際連合によって課されなくてはならない。ロシアに課された制裁は一方的なアメリカの行動で、それゆえ厳密には非合法だ。これはロシアに対するアメリカの攻撃にあたる。対応として、ロシアは事実上何もしなかった。

 ロシア政府は国民を守り損ねている。セルゲイ・ラブロフ外務大臣が、過酷な処遇、本質的には拷問、を終わらせるためだと言った通り、マリア・ブティナは、証拠がないのに有罪判決されるのが可能になる司法取り引きに同意した。

 「彼らは彼女を屈伏させた。彼らは彼女を虐待した。彼らは拘置所で彼女を性的に攻撃し、今彼女は罪状を認めている。人々はこれに大きな衝撃を受けるべきだ。初め彼らは、いかなる根拠もなしに、彼女は人に近づくため売春していたと主張していたが、それが嘘であることが判明したのだから、女性権利擁護団体はこれに衝撃を受けるべきだ。彼女の扱われ方は、全く卑劣だ。」と言ったブティナの弁護士ダン・コワリクは真実を語っている。
https://sputniknews.com/us/201809111067914325-Judge-Dismayed-Sex-Allegations-Mariia-Butina/ および https://sputniknews.com/analysis/201812141070670984-Butina-Pleads-Guilty-Sexually-Assaulted-DC-Jail/ を参照。

 ロシアが脅威だというフェイク・ニュースを強化するため、ブティナは不当に拷問にかけられた後、非合法の見せしめ裁判を受けさせられた。ロシア政府は不平を言ったが、それが最後だった。

 ロシアのいたる所に、正しくスパイとして逮捕可能な多くのアメリカ人がいる。ロシアはなぜ数十人、あるいは数百人を一斉検挙して、連中に同じ目に会わせなかったのだろう? 少なくとも中国は、ワシントンのためのカナダによる中国企業経営者の非合法逮捕に対応して、2人のカナダ人を拘留した。Ron Unzは中国に何をすべきかを示した-http://www.unz.com/runz/averting-world-conflict-with-china/ 日本語翻訳『中国との世界的対立回避』。しかし中国指導体制は、自らの手中にある力を行使して、国の威信を高めるより、金の方に興味を持っているように思われる。

 ロシアと中国は理解するという点で若干進歩しているが、本当の理解にはまだほど遠い。

 これが極めて重大な理由は、ロシアと中国による適切な対応の欠如が、状況を沈静させるにはほど遠く、更に多くの挑発を促進しているためだ。挑発の法外さと、あからさまさが増大する中、ロシアと中国の政府が断固とした態度を取り損ねている失敗は、平和ではなく、戦争を招く結果となる。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/12/18/is-russia-learning-paul-craig-roberts/

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 Ron Unz氏の、幹部逮捕に対する中国のとるべき対応に関する興味深い提案記事『中国との世界的対立回避』を翻訳していたが、ロバーツ氏がそれに言及されるのは、当然とは言え、世の中狭いと思う。何の根拠もなく、あてずっぽうに関心のまま目についた記事を訳しているだけなので、シンクロニシティーには驚かされる。

 マリヤ・ブーティナという女性の不当逮捕については、『マリヤ・ブチナ逮捕も新たなでっち上げ』という記事を訳してある。名前をブチナと表記したが、外信記事では、ブーティナとある。名前から、たどって、ロシア報道の発音を聞いてみると、素人にはブーチナとしか聞こえない。ギョエテとは俺のことかとゲーテ言いの世界。

 不思議な見出しにつられて読んでしまった記事。「橋下氏 野党側で国政進出も」彼が関与した時点で与党だろう。読んでも意味はわからず、時間の無駄だった。

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