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2018年12月31日 (月)

トランプの軍撤退は平和ではなく、更なる帝国主義再編

論説
2018年12月28日
Strategic Culture Foundation

 アメリカ軍をシリアとアフガニスタンから撤退するというトランプ大統領の突然の主張は多くの評論家を困惑させている。

 一般的に、アメリカ軍がシリアから撤退するのは歓迎すべきことだ。彼らはこれまで4年間、シリアの主権を侵害して不法駐留していたのだ。このアラブの国からのアメリカ軍撤退で、ほぼ8年間の戦争後、政治的解決が可能になる。

 アフガニスタンについては、アメリカ軍は「テロと戦う」というあやしげな任務で18年間活動していた。中央アジアの国からのアメリカ軍撤退で、戦争を減らし、政治的安定性に導く可能性がでる。

 ロシアはシリアから軍隊撤退させるトランプによる動きを原則として歓迎している。だが、ロシア外務省は今週「アメリカの作戦が何をもたらすか」明確ではないと述べた。モスクワが警戒するのはもっともだ。

 トランプによる突然の意志決定の背後には、様々なアメリカ政治工作があるように思われる。 「わが青年たちを帰国させる」という彼の主張は国防総省と多くのタカ派共和党と民主党議員に不意打ちを食らわせた。彼らは大統領の命令に「虚を突かれた」ようだ。今起きているのは、トランプが、2020年の大統領選挙を見越し、表面的に、海外でのアメリカ戦争を終わらせるという選挙公約を守り「平和の候補者」を演じようとしている側面がある。

 とは言え、トランプが平和候補者になりすまそうとするのは、いささか受け入れがたい。シリアとアフガニスタンから軍隊を撤退するという命令の数日後、前任者、GWブッシュが違法に2003年に侵略し、進行中の大混乱を引き起こしてから約16年後、彼は今週イラクに予想外の訪問をし、配備されたアメリカ部隊と会ったのだ。

 イラクで、アメリカ兵に対し、テロリストを打ち負かしたのだと主張するトランプは主戦論者で戦士のようだった。フットボール試合のハーフタイムで群衆をあおるかのように「我々は勝つことが好きだ」と彼は言った。

 トランプは、約6,000人のアメリカ部隊をイラクから引き上げる意図はないと発表した。実際、彼はイラクが、シリアや、必要となれば、多分他の中東諸国に、今後そこから未来の攻撃が開始可能な基地の役をするだろうと言った。見たところ、イラク政府はこの新たな戦力投射計画について相談さえされなかったようだ。

 だから、一部の評論家が、希望的に、あるいは逆に、おそるおそる考えているように、トランプは海外でのアメリカ軍国主義を縮小してなどいない。彼はただアメリカ帝国主義を、ぜい肉を落とし競争力のある勢力だと正当化しているに過ぎない。

 トランプの想定される和平提案への嘘は、トルコが、シリアでイスラム国や他のテロ集団を「片付ける」仕事を与えられていると自慢するのでわかる。このテロ集団を、これまで8年間、ワシントンは密かに兵器として利用してきたのだ。

 実業家から転じたこの大統領の興味をそそっているのは、アメリカ帝国主義を、中東属国諸国に下請けに出し、地域全体にアメリカ軍を派兵しなければならないワシントンの金を節約することだ。

 シリアあるいはアフガニスタンからの軍隊撤退は、トランプが、国際法の遵守や、他国の主権に敬意を払っているためではない。彼の撤退は、アメリカ帝国主義のための浅薄で卑劣な費用便益分析に過ぎない。

 このような汚い損得勘定が、アメリカの直接軍事介入と同じぐらい不安定化をもたらすことは疑いようがない。既にトルコは、シリア再侵略のため、軍の準備ができている。このトルコの動きは、イスラム・テロ集団と称されるものの絶滅とは無関係で、ワシントンが今まで後援していた北東シリアで圧倒的なクルド人分離主義者が狙いなのだ。クルド人はトランプの金勘定で見捨てられたが、もしアンカラがシリア主権を侵害すれば、拱手傍観しているはずのないシリア政府軍との間で、より大規模な紛争になるかもしれない。

 同様に不気味なのは、トランプがシリアからの軍力撤退を宣言した数日後、今週イスラエルがダマスカスに対する空襲を開始したことだ。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラエルが、撤退するアメリカ軍によって残されたシリアの「隙間を埋める」と警告していた。ロシア軍の監視によれば、犯罪的なことに、最近のイスラエル空襲は、奇襲のために隠れ蓑として使うことで、2機の民間定期航空便を重大な危険にさらした。著しい違反は、9月、イスラエルのごまかしにより、シリア沖でロシア偵察機が撃墜され、15人の航空兵の命が奪われた手口を思い起こさせる。

 アメリカ軍はそもそも、決してシリアに駐留すべきではなかったのだ。「テロとの戦い」と称される活動は常にでっちあげで、シリアを不安定化し、政権転覆するというワシントンの実際の狙いの身勝手な隠れ蓑だった。

 トランプが、和平調停にまつわる何らかの道義的理由ため、アメリカ兵を撤退させているわけではなく、むしろ中東での、アメリカの帝国主義戦力投射を正当化するためであることが一層明確になりつつある。この卑劣な損得勘定の当然の結果が、アメリカの策略によって、更に不安定されるシリアと、この地域のありさまだ。

 トランプは平和を示してなどいない。むしろ彼は、これまで何十年も中東を冒涜し堕落させた犯罪的アメリカ帝国主義者の一味違う行動を予告しているのだ。

 アメリカ資本主義は戦争をするように作られている。常にそうだったし、常にそうだろう。どのような大統領も、特に元ホテル業界大物も、他のいかなる方法によって、これほど精神錯乱した国をもてなすことなどできるまい。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/12/28/trump-troop-pullout-not-peace-more-imperialist-reconfiguration.html

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  「独自外交」皆無、金ばらまきポチ外交、八方塞がり。略奪的FTAの強制で、一層酷い来年がまっている。日本酷紀と一緒に写った、おぞましい写真を見た。目に毒。孫崎享氏の今日のメルマガ題名は以下。

2019年主要外交問題はどう展開するか?北方領土問題。他外交関係困難な中,安倍首相にとり北方領土問題解決の重要度は高まる。「二島先行」はない。「二島+α」も次第にとうざかる。難関はプーチンに実行できる国内基盤があるか。日本の「四島返還論」者は?

 日刊IWJガイドに、東京大学農学部鈴木宣弘教授インタビュー配信予定とある。大本営広報部では決して聞けない貴重なお話を期待している。

【岩上安身不在の穴を埋めるピンチヒッター企画 第10弾!録画配信・IWJ_Youtube Live】15:00~「極端な規制緩和の果てに安価で危険な食品が市場を埋め尽くす!? 活路は共助による資源管理!~小高由貴乃記者と小野坂元(はじめ)記者が東京大学農学部の鈴木宣弘教授に緊急取材!」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501

 12月27日に収録した、IWJ小高由貴乃記者と小野坂元(はじめ)記者による東京大学農学部・鈴木宣弘教授へのインタビューを録画配信します。IWJがこれまで報じてきた鈴木宣弘氏に関する記事は以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E9%88%B4%E6%9C%A8%E5%AE%A3%E5%BC%98

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