平和を恐れ、戦争を望むグローバル主義エリートたち
Federico PIERACCINI
2018年7月13日
Strategic Culture Foundation
トランプとプーチンとの間で予定されている会談は、既にマスコミと政治家の偽善を暴露して、良い結果を生み出している。欧米のグローバル主義エリートによれば、"ロシアとアメリカ合州国との関係が、突然平和になりかねない"危険ゆえに、会談は、人類に対する最大の危機だとレッテルを貼られている。
時に、現実は虚構よりも奇妙だ。およそ信じがたい話を信じるには、大本の情報を見て、正確に引用する必要がある。
その好例が、 "プーチンとトランプの '和平合意' の可能性を巡り高まる恐怖"という見出しだ。 タイムズは、ここで、ウクライナでの軍事エスカレーションや、シリア国内の武力衝突や、イギリスにおける偽旗毒ガス攻撃や新冷戦を恐れているのではない。タイムズは、核戦争による世界の終末や、人類終焉や、何億人もの苦難を恐れてはいない。そうではなく、世界で最も権威があり評判の高い新聞の一つが、平和の可能性を恐れているのだ! タイムズは二つの超核大国がお互い話し合えることを恐れているのだ。プーチンとトランプが、世界的大惨事の危険を避けるのに役立つある種の合意に至るかも知れないとタイムズは恐れているのだ。こういう世界に我々は暮らしている。そして、こういうマスコミに我々はつき合わされている。タイムズは、読者を混乱させ、欺き、まごつかせる最悪の形で、世論を形成しようとしているのだ。我々が暮らしている世界が、益々、論理や合理性に無縁になりつつあるのは偶然ではない。
たとえこの会談の結果、いかなる本格的な進展が無かったとしても、最も重要なことは、二人の大統領の対話が始まり、双方に、交渉のチャンネルが開けるという実績だ。
タイムズ記事は、トランプとプーチンが、ヨーロッパに関し、同意をしようとしていると推測している。プーチンが、ヨーロッパを不安定化させるため、トランプをあやつっているとほのめかしているのだ。全員が陰の政府コングロマリットの一員である連中の編集者や株主を代理するマスコミによる、こうした、でっち上げに、我々はもう何年も浸され続けている。ヨーロッパをユーラシアの夢に統合しようとして、強力で団結したヨーロッパをプーチンが常に望んでいる事実は既に証明済みだ。プーチンと習近平は、欧州連合が、アメリカの圧力に、より抵抗力が強く、より大きな自立を得られるのを望んでいる。大量移民とロシアとイランに対する経済制裁の組み合わせが、ヨーロッパが傷つくこととなり、必ずしもワシントンの進軍命令に喜んで従わない代替の仲間への道を開いている。
会談でのトランプの焦点は、たぶん、クリミアの承認と経済制裁終了と引き換えに、ヨーロッパとイランにもっと圧力をかけるよう、プーチンを説得することだ。プーチンと、ロシアにとって、これは戦略的問題なのだ。経済制裁は不都合だが、モスクワにとっての最優先事項は、イランとの同盟維持と、ヨーロッパ諸国との関係強化の必要性と、シリア国内のテロ打倒だ。おそらくは、弾道弾迎撃ミサイル制限条約の改定と、これら兵器をヨーロッパから撤去することだけが、プーチンにとって興味ある提案のはずだ。しかしながら現実は、弾道弾迎撃ミサイル制限条約は、ワシントン軍産複合体の大黒柱であり、それをロシアに対する抑止力と見なして、自国内に、そのような攻撃・防衛システムを東欧諸国も欲しがっていることを示している。彼らは、自分のプロパガンダの犠牲者なのだろうか、それとも何十億ドルも、連中の懐に流れ込むのだろうか? いずれにせよ、これが本当に重要なわけではない。モスクワにとって最も重要な点は、イージス・アショア弾道弾迎撃ミサイル・システム とイージス・システム搭載軍艦撤去のはずだ。だが、これはトランプが、アメリカの軍指導部と交渉できるような代物ではない。軍産複合体にとって、弾道弾迎撃ミサイル・システムは、保守や更新や、直接、間接発注のおかげで、実に多くの既得権益勢力が、ずっと続けたがっているおいしい仕事なのだ。
クレムリンの観点からすれば、欧米との正常な関係回復には経済制裁の除去が必要だ。だが、モスクワが、それと引き換えにワシントンに差し出すものがほとんどないので、これは実現困難だ。ペンタゴンの戦略家たちは、シリアからの撤退、ドンバス支持中止、イランとの関係中断を要求している。共通の立場に至るには、違いが余りに多すぎるのだ。しかも、ロシアに対するヨーロッパ経済制裁は、ワシントンの利益になる、制裁はヨーロッパを傷つけ、それによって、アメリカにとって主要な貿易上の競争相手を弱体化させる。包括的共同作業計画 (JCPOA)からのアメリカ離脱も、アメリカ同盟諸国が、イランと事業を行うのを阻止することによる、同じ狙いだと見なすことが可能だ。
プーチンは、シリアと同盟諸国との誓約を固く守り、クリミアを承認されたとしても、約束を破る気はない。一方、既に述べた通り、弾道弾迎撃ミサイル撤去が最優先順位なのだ。クリミアは既にロシア連邦の支配下にあるが、シリアは依然不安定な地域で、ロシアの弱点であるカフカスへのイスラム主義テロを推進しかねない。モスクワにとって、シリアへの関与は、常に国家安全保障問題であり続けており、たとえドナルド・トランプが非現実的な提案をしようとも、これは全く変わらない。
プーチンは、イランやシリアやシーア派の弧全体が、サウジアラビアとイスラエルの侵略と覇権に対抗するのに役立つ、中東における中・長期戦略を狙っていることに留意すべきだ。この奇妙な同盟は、ネタニヤフやムハンマド・ビン・サルマーンの狂った行動が、強力なイラン軍に抑止されるので、地域の戦争を抑止し加熱をトーンダウンさせる唯一の方法として出現した。イランと、サウジアラビア/イスラエルとの対立を防ぐことは、テヘランを弱いとか、孤立しているとかいう形にさせないことも意味している。そのような配慮は、ワシントンの戦略家や、ましてテルアビブやリヤドの想像を超えているようだ。
トランプとプーチンとの会談で、前向きな成果を実現するのは困難だが、タイムズが考えていることとは逆に、そもそも会談があることが重要なのだ。アメリカ陰の政府を取り巻くマスコミや権力のコングロマリットは、何よりも外交を恐れている。トランプと金正恩との会談の前にも、後にも、繰り返されたのと同じ言説が、トランプとプーチンの会談についても、繰り返されつつあるのだ。
ワシントンの権力の基盤は、その経済と軍事の力だ。しかし、この力は、見せ掛けの姿勢と、作り出されているイメージにも依存している。アメリカ合州国と、その陰の政府は、対抗勢力との交渉は間違いで、逆効果だと考えている。彼らは対話を弱さと同義と見なし、いかなる譲歩も、降伏と解釈されるのだ。これは70年間のアメリカ例外主義と30年間の一極行動主義で、他国の運命を一方的に決定するアメリカによる能力の行使が認められていた結果だ。
現在の多極世界では力学は変わっており、それゆえ一層複雑だ。タイムズのような、ゼロ・サム的な考えがいつも使えるわけではないのだ。アメリカ以外の世界は、プーチンとトランプの対話を何か前向きなものは見なしているが、北朝鮮の場合のように、もし外交が本格的な進展をもたらせない場合、トランプを取り巻くタカ派連中が再び勢いづくことを忘れてはならない。ロウハニ、プーチンと金正恩の課題は複雑で、しかも、それぞれ全く異なっているが、彼らは対話こそが、破滅的な戦争を避ける唯一の方法だという考え方を共有している。とは言え、平和は、全員にとって最善の結果ではないもののようだ。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/07/13/globalist-elite-fears-peace-wants-war.html
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トランプ・金会談時の大本営広報部たいこもち諸氏の言動も、タイムズと変わらなかった。最近、昼の洗脳呆導は見ていないが、今回の会談についても、そうだろう。昨夜の呆導番組もそういう趣旨だった。
落語家という触れ込みの太鼓持ちが少なくとも二人いるように見える。一人は、昼の洗脳番組常連。もう一人は記事でしかみない。一方、正論を語る方もおられるのを遅ればせながら、IWJインタビューを拝聴して知った。
大量処刑前夜の酒宴で親指を立てて嬉しそうにする写真の解釈にはビックリ。
「社会的弱者や困難に直面する人に共感するという感情が欠落してる」安倍政権!「闘うには敵を知ることが大切なんだ」~7・13岩上安身による落語家立川談四楼氏インタビュー! 2018.7.13
一方、別の著名太鼓持ちが、宴会擁護に馳せ参じている。やはり、としか思わない。
昨夜も地震があった。陋屋、本格的な地震にはひとたまりもないはず。しかし、しっかりした建物でも、ずれる地面上であれば耐えられまい。インタビューを拝見しよう。
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