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2018年5月 7日 (月)

ロシアはワシントンの次の属国?

2018年5月5日
Paul Craig Roberts

もしロシアからの情報が本当なら、ウラジーミル・プーチンは、ロシアの対ワシントン降伏交渉役に、ワシントンの代理人、アレクセイ・クドリンを任命することを検討している。http://johnhelmer.net/vice-president-for-capitulation-putin-decides-what-job-to-give-kudrin/#more-19143

この話を、情報に通じたコネのある専門家たちに確認してみた所、記事でジョン・ヘルマーは、クドリンがフィナンシャル・タイムズに売り込んだ話を信じすぎているかも知れないと言われた。私が判断力を信じているある専門家は、クドリンと他の“親米ロビー”メンバー、つまりThe Sakerが大西洋統合主義者と呼んでいる裏切り者連中が、いつもの駆け引きを演じているのだと言った。イギリスのフィナンシャル・タイムズに、ワシントンに対するロシア降伏交渉役として、来るべき任命を受けるという話を吹き込んだクドリンは、今回やり過ぎたのかも知れない。プーチン政権の全員が、過去の知人に対するプーチンの個人的思いやりにつけこむ彼の悪賢い手口で、人間としても政治家としても、クドリンを実に嫌っていると私が信頼している専門家は言う。プーチンは、もはや彼の役に立っていないクドリンのような古い友人たちを思いやりすぎると、ロシアでは広く言われている。クドリンの少数の盟友がメドベージェフのグループにおり、ワシントンの無能連中は、最近クドリン盟友のロシア人を何人か制裁した。

私が信頼する別の専門家は、ロシアで飛び交っている噂は、いずこでも同じで、野望を持った連中が、マスコミで名を上げようと策を弄しているに過ぎないと答えた。プーチンがロシアの運命をアメリカ工作員に引き渡そうとしているという噂とは対照的に、愛国的な民族主義者や軍に押されて、プーチンがロシアの第五列、クドリンや親ワシントン派を粛正しようとしているという噂を、彼は教えてくれた。

一方、あるロシア人ジャーナリストは、プーチン本人が最大の親欧米派リベラルで、プーチンをサンクトペテルブルクから連れてきて、モスクワの既成支配体制中に据える上で、クドリンが貢献したというのが事の真相だと言った。

おそらく、プーチン就任演説で、クドリンがロシアを降伏させる権限を与えられるのか、それとも親米第五列が、とうとう政府から排除されるのか、それとも何も変わらないのか分かるだろう。

クドリンは、反逆罪のかどで裁判にかけられるべき裏切り者のように見える。プーチンが、クドリンをロシア政府ナンパー・ツーにする可能性はありそうもないように思える。国有財産を“私物化する”ことで富を盗み取った億万長者による、少数独裁者支配の擁護者クドリンは、ロシア国有財産の私物化により、更なる億万長者を生み出すため、ロシア国民に対する緊縮政策擁護でも知られている。

ロシアも、アメリカやヨーロッパ同様、偽ニュースに満ちており、クドリンは取るに足りない人物で、ロシア政府の意思決定における大物ではないというのが真実かも知れない。とは言え、もしクドリンが昇進するとすれば、彼の出世はネオリベラル経済学のおかげだろう。

アメリカ・ネオリベラル経済学、マイケル・ハドソンによる正確な特徴表現によれば“ジャンク経済学”によって洗脳されているロシア中央銀行や大半のロシア人経済学者連中と同様、ロシア経済の成功は、ワシントン帝国体制とつながることにかかっているとクドリンは思い込んでいる。連中は、酷く間違い、大いに愚かなことに、アメリカ投資と経済制裁解除が無ければ、ロシア経済は絶望的だと信じ込んでいる。連中はそう公言している。至る所でのグローバル経済権益と同様、少数独裁者連中は、ロシアの主権ではなく、金のことしか頭にないということなのかも知れない。

マイケル・ハドソンと私が指摘しているように、アメリカ人によって、ロシア人に教え込まれたネオリベラル経済学は、実質的に、ロシア人経済学者を欧米の代理人にしてしまったのだ。ロシア人経済学者たちは、ロシアの利益ではなく、ワシントンの利益のために機能する政策を主張しているのだ。プーチンはクドリンとは逆の方向に動いていると考えているペペ・エスコバールは、ロシア経済と財政政策が、親ワシントン派によって支配されていることを認めている。https://www.strategic-culture.org/news/2018/05/05/popular-putin-prepares-for-cold-war-2.html

プーチンに違う意見を言う経済学者はわずかなので、ロシア経済が欧米と統合されない限り、ロシアは駄目になるという助言を、ロシア政府は受けているのだ。

クドリンは、オリガルヒが国有財産を私物化するために使う外国からの借款に対する利子を支払うべく、金を節約するため、ロシア軍事能力も切り詰めるつもりだ。その結果は、欧米植民地としてのロシアの隷属的地位を恒久化になるだろう。

5月3日の記事で、ロシアは、現状が一体どうなっているのか分かっているのだろうかと、私は問うた。どうやら中東ではそうではない。ロシア政府は、シリアの問題は、テロとの戦いだと考えて、平和的解決をしようと尽力している。だがそれはワシントンとイスラエルが最も嫌がっていることだ。ヒズボラが支援を失ったままになり、イスラエルが南部レバノンを占領できるようにするため、ワシントンとイスラエルは、アサドとイランを打倒したいのだ。おそらく、状況を解読する能力がロシア政府に無いことが、ロシアが平和的解決で、常にワシントンの関与を待望し、シリア国内の戦争を、どうしても決定的に終わらせることができなかった理由だ。今ロシアは、アメリカが占領したシリア地域で、アメリカ、フランスとイギリスの軍隊と、対シリア軍陣地へのイスラエルによる軍事攻撃とに直面している。

もしクドリンが、ロシアをワシントン支配下に置くことが許されれば、その政府が、ロシア同様、直面している本当の状況に鈍感に見える中国は孤立する。国有財産の私物化で、中国よりも、お金に対して忠実な億万長者の少数独裁者を作り出して、中国政府は、中国を無力化するのにワシントンが使える梃子を生み出してしまったのだ。

たとえヘルマーの記事が事実でも、山積するアメリカの諸問題を含め、他の様々な理由から、ワシントンとその盟友クドリンが失敗する可能性は依然ある。とは言え、プーチンが、クドリンと彼の降伏政策を支持することを検討していると言われること自体、ロシア国内の親米勢力によるロシア主権に対する挑戦にロシア人が直面している印だ。

Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/05/russia-washingtons-next-vassal/

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就任演説、目がはなせない。

2016年8月の同じ筆者とマイケル・ハドソン氏による「ロシアの弱点は経済政策」と併読いただくと分かりやすいかも知れない。

F. William Engdahl氏による記事では、下記が本記事につながっている。
2016年8月の記事「プーチン: ネオリベラルは、ニェット、国の発展は、ダー

2016年7月の記事「ロシアの泣き所 - サンクト・ペテルブルクで思ったこと

セクハラ、当事者と権力との距離次第で、天と地の差。推進・放置する権力は悪辣だが、悪を黙認する大本営広報部も共犯。

日刊IWJガイド・番組表「『3メートルより浅い部分』の既存データにもとづき、『3メートルより深い部分』のゴミ混入率を想定したって!? 石井啓一国土交通大臣にIWJ記者が迫る!~4.27 国交相記者会見/わいせつ事件のTOKIO・山口メンバーに対してジャニーズ幹部は冷たいが、レイプ疑惑のもう一人の『山口メンバー』とセクハラ常習の『福田メンバー』を自民党・安倍政権は手厚く擁護!!/今年の夏はIWJオリジナル『スローガンTシャツ』を身にまとって、デモに、集会に、街に、旅に出ましょう!」2018.5.7日号~No.2062号~

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