ロシアの三戦線: ワシントンは、中央アジアの混乱をどのように煽るか
2015年2月23日 月曜日
Ivan Lizan for Odnako
アメリカ軍ベン・ホッジス中将による、4から5年以内にロシアは三つの戦線で同時に戦端を開く能力を開発しかねないという発言は、ロシア連邦が軍事能力を増していることを単に認めているのみならず、ワシントンが、この三つ全てを、必ずロシア連邦の国境で起こるようにするという約束でもある。
中国が勃興することは避けられず、いまにも悪化しかねない金融危機や、同時に起こる資産バブルの破裂という文脈で、アメリカ合州国が世界覇権を維持する唯一の方法は、敵を弱体化することだ。その目標を実現する唯一の方法は、ロシアを取り巻く共和国に混乱を引き起こすことだ。
それが、ロシアがなぜ必然的に、国境での紛争と危機の時代に入るのかという理由だ。
第一戦線は実際、ウクライナに存在し、第二戦線は、ナゴルノ・カラバフを巡る、アルメニアとアゼルバイジャンの間でである可能性が高く、第三戦線は、もちろん、中央アジアで開かれる。
ウクライナでの戦争が何百万人もの難民、何万人もの死者、都市の破壊を生み出せば、カラバフ紛争を解凍して、カフカスにおけるロシアのあらゆる外交政策を徹底的に破壊するだろう。
中央アジアのあらゆる都市が爆破され、攻撃される危険がある。今のところ、この“将来有望な戦線”をマスコミ報道は扱っておらず - もっぱら、ノヴォロシアが全国版テレビや、新聞や、ウェブの話題の中心だが、この交戦圏は、ウクライナ紛争後、最も複雑なものになりかねない。
ロシアの下腹で、カリフ領下部組織
アフガニスタンにおける議論の余地のない傾向は - 地域の不安定の主要な鍵は- タリバンと「イスラム国」の同盟だ。たとえそうであれ、彼らの連合の初期は、それに対する言及は、ごく稀で、断片的であり、頂きをほんのわずかした水面上に表さない氷山同様に、IS使者の実際の規模も活動も不明だ。
IS扇動者が、パキスタンと、タリバンが支配しているアフガニスタン南部の州で活動しているかとが確認されている。だが、この場合、アフガニスタンにおける混乱の最初の犠牲者は、1980年代、自らの主張に基づき、アメリカ合州国の援助も得て、タリバンを育成したパキスタンとなる。タリバン育成プロジェクトは一人立ちしてしまい、イスラマバードにとって繰り返し見る悪夢となった為に、パキスタンは、中国とロシアとより友好的な関係を打ち立てざるをえなくなった。この傾向は、タリバンがパキスタン学校を襲撃したことにも見られる、教師達は今や銃を持つ権利が認められており、大都市で、頻繁にテロリストが逮捕されており、北部では、タリバンに敵対的な部族の支援活動も始まった。
パキスタンにおける最新の法制の変更は、軍事裁判の管轄を[民間人にも]拡大するという憲法の改訂だ。パキスタン全土で、テロリスト、イスラム教主義者や、支持者達が投獄されている。北西部だけでも、聖職者を含め、8,000人以上が逮捕された。宗教組織は禁止され、ISの密使は逮捕されている。
アメリカは全部の卵を一つのバスケットに入れるのがいやなので、アフガニスタンに正統政権として残れるよう、カーブル政府を支援し、同時に、ISへと変身したタリバンも支援する。国家はアメリカが正式には関与しない混乱状態になる。アメリカ軍は軍事基地内に止まり、誰かが勝つのを待つのだ。そこで、ワシントンは勝者に支援を与える。アメリカ治安部隊が、長らく、しかも効果的に、タリバンを支持してきたことに留意願いたい。アフガニスタンの公式治安軍や警官の一部は、元タリバンやムジャヒディンだ。
破壊の手法
中央アジアを不安定化させる第一の方法は、ムジャヒディンが地域に侵入する脅威と共に、国境に問題を作り出すことだ。近隣諸国の瀬踏みは既に始まっている。トルクメニスタンで問題が起き、カーブルに、国境諸州で、大規模軍事作戦をするよう要請せざるを得なかった。タジキスタンはタリバンと交渉し、拉致されていた国境守備兵の解放を強い、タジク国境守備兵は、国境にムジャヒディンの大集団がいると報じている。
概して、アフガニスタンと国境を接する全ての国が国境の治安維持を強化している。
二つ目の方法は、イスラム教主義者を国境の向こう側に送り込むことだ。このプロセスは既に始まっている。タジキスタンでは多数の過激派が昨年、三倍に増大した。とはいえ、彼らを逮捕したとしても、彼ら全員を逮捕できないであろうことは明白だ。しかも、状況はロシアからの移民労働者の帰国によって悪化している。彼らによって新兵募集の基盤が拡大する。もしロシアから送金の流れが絶えてしまえば、結果は大衆の不満増大と、画策された反乱となりかねない。
キルギス専門家のカディール・マリコフは、 中央アジア全共和国代表を含むIS軍事集団Maverenahrに、地域でのテロ活動を遂行する為に7000万ドルが割り当てられたと報じている。中央アジアの心臓部として、フェルガーナ渓谷に特に重点がおかれている。
もう一つ、脆弱な点は、この秋に予定されているキルギスタン議会選挙だ。新たなカラー革命の開始は、混乱と国家の解体をもたらす可能性がある。
独立採算が成り立つ戦争
戦争をするのには金がかかるので、地域の不安定化は独立採算が成り立つか、あるいは、少なくとも、アメリカ軍産複合体にとって儲けがでる必要がある。この地域では、ワシントンはそこそこ成功している。アメリカは、キエフが、ノヴォロシアとの戦いに要求した328輌の装甲車両をウズベキスタンに贈与した。一見したところでは、車は贈与なので、取り引きは儲からないようだが、実際には、ウズベキスタンは、保守部品や弾薬でアメリカに縛りつけられてしまう。ワシントンは、イスラマバードに対する機器や兵器の移転についても、同様の決定をしている
だがアメリカ合州国は、兵器体系をインドに押しつける取り組みは成功していない。インドは、いかなる契約にも署名しておらず、オバマ大統領は、軍事パレードに参列した際、ロシアの軍用装備品を見せつけられた。
かくして、アメリカ合州国は、自らの子分連中- タリバンと「イスラム国」-を利用して地域の国々を戦争に引きずり込み、そして同時に、敵に武器を提供するのだ。
***
というわけで、2015年は、中央アジアにおける広汎な不安定化と、ロシア、インド、中国と、イラン国境における、アフガニスタン・パキスタンの「イスラム国」下部組織への変容準備の年となるだろう。混乱が地域を飲み込んだ後、必然的に起きる全面戦争の開始は、自動的に世界人口の三分の一以上と、アメリカ合州国’地政学的ライバルのほとんど全てを巻き込む“ユーラシア・バルカン”大虐殺となりかねない。これは、ワシントンにとっては、見逃すには惜しい好機だが出来ない。
こうした挑戦に対するロシアの反撃は多面的でなければならない。ユーラシア統合の過程で、地域に、軍事的、経済的、政治的支援を与え、上海協力機構とBRICSの同盟諸国と緊密に協力し、パキスタン軍を強化し、もちろん、髭を生やしたカリフ領信奉者の逮捕も支援する必要がある。
だが、最も重要な対応は、国軍および、同盟諸国軍の現代化加速と、集団安全保障条約を強化する取り組みと 極めて非能率的な国連を回避する権利だ。
この地域は極めて重要だ。もしウクライナ戦争の信管だとすれば、中央アジアは弾薬庫だ。もし爆発すれば、大陸の半分がその影響を受けるのだ。
Robinによる翻訳
記事原文のurl:http://www.vineyardsaker.blogspot.jp/2015/02/three-fronts-for-russia-how-washington.html
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原文ロシア語を英語に訳したもの、だという。
辞任した御仁は、行方不明。大本営広報部はTPPの正体追求はせず、刺殺事件ばかり。ますますこの社会「はじめてのお使い」並。
ネットでみかけて、そういう珍奇なものがあるかと驚き、早速書店で立ち読みした本がある。数ページめくっただけ。読み続ける気力も、購入する財力もない。
- ムハンマドよ、パリは燃えているか。―表現の自由VS.イスラム的信仰―
- イスラム国“カリフ”バグダディ氏に直撃スピリチュアル・インタビュー
前者、イスラム教信者の方々、一体どう思われるだろう。シャルリ・エブドーの絵を載せた本を出す会社もある。わざわざ紛争の種をしこむ意味がわからない。金さえ儲かれば良いのだろうか?対立を煽るべく、政府筋から資金がでているのではあるまいかと、下司の勘繰りをしたくなる。
母親蛙が子供蛙に、「牛は大きかった」といわれて、「これくらいおおきかったかい?」「もっともっと」最後にパンクしてしまう話を何となく思い出した。
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コメント
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ナゴルノ・カラバフについて
ブラジル同様,アマリ情報が入ってこない地域なので腰を落ち着けて読んだことがない。小生の能力の限界なのであろうけれど,自分なりに整理するために,記事をいくつか集めてみた。若い方の参考になれば幸いである。
本記事にもあるように2016年4月2日,約束通り,第二戦線が開かれた:
「第一戦線は実際、ウクライナに存在し、第二戦線は、ナゴルノ・カラバフを巡る、アルメニアとアゼルバイジャンの間である可能性が高く、第三戦線は、もちろん、中央アジアで開かれる。」
「アメリカ軍ベン・ホッジス中将による、4から5年以内にロシアは三つの戦線で同時に戦端を開く能力を開発しかねないという発言は、ロシア連邦が軍事能力を増していることを単に認めているのみならず、ワシントンが、この三つ全てを、必ずロシア連邦の国境で起こるようにするという約束でもある。」
次に2016年1月21日付けの,W.MADSEN氏の『トルコの海外軍事基地と,安定性に対する脅威』(Strategic Culture Foundation)には,「少なくとも3つの海外軍事基地を建設するというトルコの発表を,アメリカ合州国とNATOは・・・歓迎した」,とある。
さらに「シリアとイラクでは,イラクとレバントのイスラム国(ISIL),アルカイダのヌスラ戦線,リビアでは,アンサ-ル・アル-シャリア,エジプトとチュニジアでは,ムスリム同胞団などのテロ集団に対する支援のあらゆるところに,トルコの二枚舌の指紋がある。
アドルフ・ヒトラ-を称賛するトルコ大統領レジェップ・タイイップ・エルドアンが,カタ-ル,ソマリア,ジョ-ジア共和国と,アゼルバイジャンに軍事基地を建設するという計画は,トルコのより攻撃的な,新オスマン対外・軍事政策に沿っている。」・・・とある。
上の二つの記事に,『スプトニク』の次の記事を重ねて読み合わせると,エルドアン軍のやっていることの意味が大体,理解できると思う:
『ナゴルノ・カラバフで戦闘再開』 4月3日
『ナゴルノ・カラバフでの紛争悪化のイニシアチブを取ったのはトルコ?』 4月3日
後者は「Panorama.amが2日、報じた」とあるように,孫引きであるが,すでに見破られている;
「1991年にアゼルバイジャンから独立を宣言した飛び地で、国として認められていないナゴルノ・カラバフ共和国のダヴィド・ババヤン大統領報道官は、地域の紛争悪化にトルコが関与している可能性があると発表した。」
エルドギャングの目眩まし作戦で,トルコがテロ支援国家であることから世界の眼を逸らそうとしているのがよく分かる。観光・石油代金等が激減したトルコ経済も近いうちに立ちゆかなくなるだろう。
難民用の60億ユ-ロに対する監視の目も厳しいし,シリア難民を受け入れても非道い扱いだという訴えもある。国際社会は,エルドガンを国際法廷に招待すべきであり,NATOはトルコを追放すべきであろう。
追記: 沖縄が日本本土から独立したら,やはり,ナゴルノ・カラバフ共和国のように紛争飛び地になるのであろうか。しかしそもそも琉球政府は合法的な独立政権であったから,独立しても何の不思議もない。
明治の初期であったか,薩摩藩あるいは明治政府に強制的に併合され,沖縄県にされたようだから,ウクライナに合併されたクリミアみたいなもので,主権者の意志がまったく無視された。
ウクライナのポロシェンコ大統領が明後日,借金の踏み倒しにくるようだが,この機会に沖縄とナゴルノ・カラバフについての歴史を学んでみたい。ただ盆暗頭の,フクシマの放射能にやられたはげ頭が受け付けるかどうか,甚だ疑問である。若い人よ,勉強は若いうちに。
投稿: 箒川 兵庫助(16-い) | 2016年4月 3日 (日) 19時38分