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2011年12月17日 (土)

ロラとグルナラとの同盟

Craig Murray

2011年12月6日

ボンでのアフガニスタン会議は茶番だ。占領に反対するアフガニスタン抵抗組織の代表は参加していないのだから、和平交渉をしているわけでもない。大規模な選挙違反によって実現した、カルザイの腐敗し退廃的な大統領の地位は2014年に満了する。それが、NATO軍撤退の直後にあたるのは偶然ではない。カルザイ一家の一人としてアフガニスタンには留まらず、イギリスとアメリカの納税者からの資金から略奪し、ヘロイン密売で稼いだ何十億ドルを持って、スイスに隠退するだろうことは確実だ。

パキスタンはもちろん会議には出席していない。既にパキスタン領土で、約6,000人のパキスタン人が、アメリカの爆撃によって殺害されたが、更に25人が一瞬にして殺害され、全員若い兵士だったので、パキスタンの無頓着で腐敗した政府ですら、言い繕うことができなかった。そこで、今のところ全てのNATOの地上補給は、ウズベキスタン経由で輸送されている。この経路によるNATO補給の比率は、既にほぼ50%に増大しており、政策上、今も急速に増大しつつある。

ヒラリーがカリモフ大統領が新しい親友にしたのは幸いなことだ。

こうしたこと全てが、何故イギリスの連立政権が、ウズベキスタンにおける人権侵害を、一言も批判しない理由なのだ。イギリス政府が、先月ウズベキスタンの公式国会議員・貿易代表団をもてなした際、人権、児童の奴隷労働、政治犯、自由投票、野党禁止の解除、集会、言論、信仰の自由には一言の言及もなかった。こうした話題のどれに対しても、公的にも、私的にも、一言もなかった。

現在のイギリス政権はカリモフを愛しているのだ。イギリス政権はごく穏やかな批判すらしていない。人を生きたまま釜茹でにしたり、政敵を拷問で殺害しても、連中は気にしないのだ。イギリスは、極上の反体制活動家を、彼のもとに送り返し、そういう施策を実施できるようにしてやってさえいる。イギリス政府、8歳児童の労働奴隷が摘んだウズベキスタンの木綿に対する新たな特恵関税を、EUで、まんまと押し通した。

イギリスの権力者集団の情事は、この政権だけに留まらない。労働党にとって、保守党のアシュクロフト卿にあたる、新たな主要資金援助者は、アンドリュー・ローゼンフェルドなる人物だ。彼はスイスにある家を、カリモフの娘ロラに、市価の三倍の値段で売却した。そのような市価を超えた高額支払いは、何かの引き換えに、余計な金を支払うという、マネー・ロンダリングの現場であることが極めて多い。

金は双方向に流れている。以前報告したように、カリモフの長女グルナラは、ウズベキスタン経由のあらゆるNATO補給の輸送から、かなりの分け前を得ている。

だが、カリモフ一族との最近のラブ・インには、皆様びっくりされよう。ウイリアム・ヘイグ外務大臣は、ウズベキスタンで最も嫌われている人物、グルナラ・カリモワが、ウズベキスタン大使として、ロンドンに来て、暮すことに合意しようとしているのだ。彼女を受け入れる要求(外交用語ではフランス語で“アグレマン")が出されて久しい。残された唯一の障害は、グルナラの7人のボディーガードのうち、一体何人に、ロンドン市街で半自動火器の携帯を許すか決定することだ。

イギリス主要政党、カリモフ一族同様、倫理観を事実上失なってしまったもののようだ。

クレイグ・マレーは、作家、放送タレント、人権活動家。彼は2002年8月から2004年10月まで、駐ウズベキスタン・イギリス大使で、2007年から2010年まで、ダンディー大学学長を勤めた。 www.craigmurray.org.

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article29900.htm

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宗主国とお仲間、二枚舌の使い分けは巧妙。言う通り振る舞う政権なら、いくら腐敗していようと、親子で政権相続をしようと、おかまいなし。お隣の北、その典型だろう。宗主国の、御要求に応じて、悪役を演じ、テポドンを発射したり、島を攻撃したりして、危機を煽るのが仕事。

言う通り振る舞わなければ、忠実な属国の傀儡政権であれ、反抗的な独立国家の首長であれ、屁理屈をつけて、爆撃し、殺害する。

世界最先端を行く属国では、宗主国、カリモフのような腐敗した走狗すら、もはや不要。

66年にわたり、宗主国の思い通りに構築した、官僚機構、政界、財界、司法、学界、マスコミが自動的に属国政策を推進してくれる。言うことをきかなくなったら、交替させるだけで良い。

議席配分は、プロパガンダ洗脳漬けの自由投票によって、思い通り。

野党禁止する必要など皆無。誰も本格的野党になど投票しないのだから。(そもそも立候補すると、とんでもない金額の供託金を取られる。貧乏人は立候補できない巧妙な制度、小選挙区制度や、政党補助金と同じで、それを推進するマスコミ、決して触れない。)

集会、言論、信仰はもちろん自由。体制にとって不都合な集会、言論、信仰は巧妙に抑圧すればよいのだから。集会があっても、記事にしなければよい。そもそも、そういう発言をする連中、まず、テレビや新聞に出さない。

以下は皆様にとって、全くの余談、無視頂きたい。(「通りがけ」様に宛てた文章)

「通りがけ」様が、地位協定さえ廃止すればすべて解決するという、翻訳記事とあまり関係のないコメントを再三寄せられている。(余所のブログで、「通りがけ」様の、同内容の書き込みを拝見できる。)

地位協定、安保条約のサブセットなのだから、地位協定を廃止するには、そもそも安保条約を廃止しなければならないだろうと素人は思う。安保条約こそが、日本国憲法の上位にあって、日本そのものを規定している法規だろう。

「地位協定も安保条約も、堅持・推進します。憲法は破壊します。」という諸政党が大多数を握っている(野党のふりをしている)状態で、彼ら地位協定を廃止するわけがないだろう。

二大政党、宗教政党の政治家が消滅し、独立志向の政治家が多数派にならない限り。

そういうわけで、通りがけ様による、「地位協定さえ廃止すれば、解決する」という趣旨のコメント、今後も一切公開する予定がないことを、通りがけ様には、再度お断りしておく。

「通りがけ」様、地下原発推進派でおられるようだ。この点でも小生、意見を全く異にする。

通りがけ様がブログをお持ちで、アドレスをご教示いただければ、関係ある本文中で、一度ご紹介するのはやぶさかでない。

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コメント

こんにちは。金沢大学1年生です。コメントします。
米軍がイラクから撤退を進めていますが、イラクやアフガニスタン、シリアなどの中東各国ではイランの影響力が急速に拡大しているらしいです。カルザイの次の政権はイラン寄りになる可能性も否定できないのではないでしょうか。タリバンも息を吹き返しているようですし、NATOの活動を活発化させていることの背景は反米勢力の封じ込めを宗主国が意識してのことでしょう。我らが日本はイランからも少なくない原油を輸入していますが、やはり宗主国の顔色をうかがうばかりなのでしょうか。国家の生命線の一つである原油の輸入にすら宗主国の意向に配慮しなくてはいけない祖国の現状が情けなくてたまりません。

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