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2010年8月 9日 (月)

ベネズエラにおけるアメリカの干渉拡大中

破られた約束

Eva Golinger

Postcards from the Revolution

2010年8月4日

オバマ大統領は、彼の政権は、ベネズエラの内政問題には介入しないと、チャベス大統領に約束したにもかかわらず、アメリカ政府が資金をだしている全米民主主義基金(NED)が、反チャベス組織に何百万ドルも注ぎ込んでいる。

外国による介入というものは軍事力を通してのみ行われるわけではない。政治的意図や、国民の“心”に対する影響力を推進するため“市民活動”組織やマスコミへの資金提供は、戦略的目標を実現するために、アメリカ政府によって広範に活用されている仕組みの一つだ。

ベネズエラにおいて、アメリカは、2002年4月に、対チャベス大統領クーデターを実行した組織を含め、反チャベス組織を8年以上にわたり支援してきた。それ以来、資金提供は大幅に増加している。全米民主主義基金によって行われているベネズエラ国内の政治団体に対する対外援助を評価する2010年5月の報告書は、年間4000万ドル以上が、主としてアメリカの諸機関から反チャベス組織に注ぎこまれていることを明らかにしている。

全米民主主義基金(NED)は、議会によって制定された法律によって、1982年11月6日に作られた。基金の使命は、反共産主義と反社会主義であり、ロナルド・レーガン大統領によって命じられた最初の任務は、サンディニスタ政府を権力から追い出すため、ニカラグア国内の反サンディニスタ組織を支援することだった。NEDは、7年後、権力を獲得した反サンディニスタ政治連合を生み出すため、10億ドル以上の資金提供をして目標を達成した。

現在、国務省の下で割り当てられているNEDの年間予算は、1億3200万ドルを超える。NEDは世界の70ヶ国以上で活動している。NEDの創始者の一人であるアレン・ウェインステインは、かつてワシントン・ポストに“今我々が行っていることは、25年前にはCIAによって秘密裏に行われていた…”ことを明らかにしたことがある。

ベネズエラ

ベネズエラは、NEDが、2009年中、反政府組織に対し、前年の倍以上、1,818,473ドルと、大量に資金提供した中南米の国家として突出している。

ベネズエラにおける資金援助の送り先を隠そうという腹黒い企みから、NEDは、年次報告の中で、資金提供を受け取っているほとんどのベネズエラ組織名を除いている。にもかかわらず、情報公開法のもとで入手したNEDの納税申告や内部メモ等の他の公式文書は、ベネズエラで、何百万ドルもの資金提供を受けている組織名を明らかにしている。

2008-2009年の間に、NEDによって、ベネズエラの組織に渡された260万ドル以上のうち、資金の大半はベネズエラ国内では比較的知られていない組織に流れている。CEDICE、Sumate、コンソルシオ・フスティシアや、CESAP等の、有名な団体のいくつかを除いては、200万ドル以上の資金提供を受けているの多くは、こうした何百万ドルもの資金を反チャベス集団に配布するための、単なる見せかけ、ルートであるように見える。

「平和と社会開発の為の指導者養成センター」等の無名な団体が、“地域の民主的なプロセスに参加するコミュニティー指導者の能力を強化する”ために、39,954ドル(2008年)から39,955ドル(2009年)の額を受け取っている。

ここ数年間、ベネズエラ国内では誰も知らない市民団体カペ・カペは、“現地コミュニティに権限を与え、人権、民主主義や、彼らを保護してくれる国際組織や仕組みに関する彼らの知識を強化する”ために、45,000ドル(2008年)から、56,875ドル(2009年)にわたる金額の助成金を受け取っている。外国による干渉のあかさらまな例として、“市民団体に対してなされた人権侵害を列挙する文書を作成し、そうした人権侵害を、国際的組織の前で非難する”ために、NED資金は使用されてきた。言い換えれば、アメリカは、ベネズエラ国内で、国際団体の前でベネズエラ政府を非難するベネズエラ人を支援するという取り組みに、資金を提供してきたのだ。

学生運動への資金提供

ベネズエラにおけるNED資金援助の大半は、“学生運動を組織し”青年の中に、アメリカの視点からものを見る、アメリカの価値観を持った“民主的な指導者を育て上げる”ために投入されてきた。これには“学生と青年の指導者の能力を強化し、コミュニティーの中で効果的に活動する能力を増進し、民主的な価値観を推進する”計画も含まれている。ウエジャス(2008年に49,950ドル、2009年に50,000ドル)とグミジャ・センター財団(63,000ドル)という二つのイエズス会団体は、この資金提供のためのルートだ。

他の団体、‘ミゲル・オテロ・シルバ文化財団(2008年に51,500ドル、2009年に60.900ドル)や無名の「司法提言協会」(2008年に30,300ドル)は、“地方の新聞、ラジオ局、携帯電話メールや、インターネット、ポスターやビラを通した、宣伝キャンペーンを行うべく”NED資金を使用している。

過去三年間、様々なアメリカやヨーロッパの機関からの資金提供によって、反政府学生/青年運動が生み出されてきた。USAID提供資金の32%以上が、例えば“若者や学生を、政治的メッセージやキャンペーンを広めるため、TwitterやFacebookなどの革新的なメディア技術を使えるように訓練する”のに使われている。

マスコミとジャーナリストへの資金提供

NEDは、ジャーナリストの訓練と、反ベネズエラ政府の政治的メッセージを考案するのを支援するため、ベネズエラのいくつかのマスコミ団体を資金援助している。そうしたものの二つの例が、報道・社会研究所(IPyS)と、エスパシオ・プブリコ(公共スペース)で、彼らはベネズエラにおける“マスコミの自由を育成するため”過去三年間で、NED、USAIDと、国務省から数百万ドルの資金提供を得ている。

こうした組織が実際に行っているのは、反チャベス・メッセージを、テレビや国際的マスコミで宣伝し、チャベス政権を否定的に描き出すべく、ベネズエラの事実や出来事を歪曲し、あやつる事なのだ。

最近ワシントン・ポストはアフガニスタンのマスコミとジャーナリストに対するUSAIDによる資金提供(ポスト、2010年8月3日火曜日)記事を掲載したが、これはアメリカの諸機関が、ベネズエラで行っていることのオウム返しだ。しかし、そうした資金提供は明白に違法であり、ジャーナリスト倫理違反だ。“独立”ジャーナリストやマスコミに対する外国政府の資金提供は、大規模な欺瞞、プロパガンダ行為であり、主権侵害だ。

アメリカによるベネズエラ国内の反政府組織やマスコミへの資金提供はベネズエラの法律に違反しているのみならず、内部抗争を煽り、ずっと昔に信頼を失っている政党にてこ入れしようという取り組みでもある。この種の破壊は、アメリカの計略を海外で推進する政治関係者の為の、事業と、主要な収入源となっている。

ひどい外交

火曜日、アメリカの駐ベネズエラ大使に指名されたラリー・パルマーのベネズエラ問題に関する発言がマスコミに漏れた。パルマーは、まだ上院によって承認されてはいないが、ベネズエラにおけるデモクラシーは“危機にひんしており”、ベネズエラの軍隊は“士気が低い”と主張し、チャベス政権に対する忠誠心に欠けることをほのめかして、外交のまずさを示した。

パルマーは更に、ベネズエラにおける“報道の自由”と“表現の自由”を“深く懸念”していると述べ、何人かの買収された実業家や裁判官の訴訟事件に触れ、それをパルマーは“政治的迫害”の象徴だと主張した。

パルマーは、今年9月の議会選挙に至るベネズエラの選挙制度への信頼性に疑念を呈し、“人権と基本的自由に対する脅威を、注意深く監視する”つもりだと語った。事実無根で、根拠のないコロンビアの主張である、ベネズエラ国内にある“テロリスト訓練キャンプ”は、ベネズエラが対応すべき“深刻で”本当の事実だと、彼は述べた。

パルマーは、ベネズエラ国内の“独裁的体制に反対する市民団体を支援するため、密接に協力”するつもりだと語り、アメリカが常に“市民団体”と読んでいる、反対勢力に対するアメリカの資金提供を継続する意図を示している。

こうした発言はベネズエラ内政問題への介入の明白な例であり、オバマには約束を守る抜く意図が皆無であることの自明の証しだ。

ここでパルマーの発言を読む。

記事原文のurl:www.chavezcode.com/2010/08/us-interference-in-venezuela-keeps.html

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今日の新聞、チャベス大統領、新駐ベネズエラ大使の着任を拒否という記事がある。

属国日本では、想像もできない快挙。米原万里の『発明マニア』文春文庫の119に、良い表現があった。

・・・日本の外交は下手である。別に外務省だけの責任ではない。そもそも実態はアメリカの属領に過ぎない国なのだから、外務省など、独立国のふりをするためのアクセサリーに過ぎないのだし。

ゴルバチョフの通訳もした彼女、通訳発注をしてくれるであろうお役所とは相当おつきあいがあったはずで、そういう人が言うのだから本当だろう。この本、通訳を引退し、癌を患っていた著者の白鳥の歌なのだろうか?これも一種の「国家機密の暴露」?WikiLeaksのアサンジュや米兵のマニングと違って、著者は、故人ゆえ、とがめることもできまい。

日本における政、官、財、学界幹部、アメリカ留学組は数知れない。なかには小田実のような例外もいるだろう。長島防衛政務官やら、小泉首相の息子を含め、大半は文中にある計画の通り、アメリカの視点からものを見る、アメリカの価値観を持った指導者になる。

日本では、まんまと導入した小選挙区エセ二大政党のもと、属国化投資の時期はとっくに終わり、パスワード不要ATM国家から、あらゆる屁理屈で、好きなだけ、金をまきあげる体制が完成している。あとは、比例区を潰して、少数政党をつぶせば100%完成。完成まで、もう間近だ。しかし日本本土で大成功を収めたこの属国化政策、なぜかベネズエラでは簡単には行かず、宗主国も苦労しているようだ。

ならず者が出てゆく移転先に、豪華な設備を作り、残る部隊には、昔から彼らが夢見ていた大永久基地を、新たに自前で建設してさしあげる夢のような属国。

日本そのものが彼らにとってディズニーランド。何があっても手放すはずがない。

しかし、属国化政策、ベネズエラのみならず、アフガニスタン、イラクも同様で、円滑に進まない。いくら搾取されても宗主国に憧れるマゾ属国、日本が例外だろう。

もっとも沖縄では属国化政策、さすがに円滑に進んでいない。当然のことだろう。

釜山観光をした際、忠烈祠に行ったことがある。壬辰倭乱(日本で言う〝文禄・慶長の役〟だろう)の時に亡くなった人々をまつる施設だ。おりしも、壬辰倭乱405年だかの式典準備中だった。巨大な横断幕にびっくりした。当然のことだろう。そんな時期でも、ハングルがなかなか読めず迷っている日本人に、駅の係員も町の人々も親切だった。

宗主国の牛肉よりも、東莱名物のチジミ、また食べたいと夢想している。

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