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2009年10月12日 (月)

戦争と平和賞

幻滅的なノーベル賞授与により、バラク・オバマは、平和を約束しながら、戦争を遂行した受賞者のリストに連なった

ハワード・ジン

2009年10月10日

"ガーディアン"

バラク・オバマノーベル平和賞を受賞したと聞いて、私は当惑した。二つの戦争を遂行している大統領が、平和賞を授与されるなどということを考えるのは、本当にショックだ。それも、ウッドロー・ウイルソン、セオドア・ルーズベルトと、ヘンリー・キッシンジャーらが皆ノーベル平和賞を受賞したことを思い出すまでのことだった。上っ面だけの評価をするので有名なノーベル賞委員会は、美辞麗句と、上辺だけの身振りになびき、世界平和へのあからさまな侵害を無視したのだ。

そう、ウイルソンが、戦争を防ぐためのことは何もしなかった役に立たない機関、国際連盟に寄与した功績を認められたのは確かだ。しかし彼はメキシコ沿岸を爆撃し、軍隊を派遣して、ハイチとドミニカ共和国を占領し、愚劣で破壊的な戦争リストの、トップの一つであるのが確実な第一次世界大戦で、ヨーロッパの修羅場に、アメリカを引きずり込んだのだ。

確かに、セオドア・ルーズベルトは日本とロシア間の和平調停をした。しかし、彼は戦争愛好者で、アメリカのキューバ征服に参加し、あの小さな島を、スペインから解放するふりをして、アメリカの鎖で縛りつけた。また大統領として、彼はフィリピン人を従属させるための残酷な戦争を統轄し、フィリピンで600人の無力な村人を虐殺したばかりのアメリカ人将軍に祝辞さえ述べた。委員会は、ルーズベルトを非難し、戦争を批判したマーク・トゥエインにも、反帝国主義連盟指導者のウイリアム・ジェームズにも、ノーベル賞を与えなかった。

そう。委員会は、平和賞をヘンリー・キッシンジャーに授与することは相応しいと考えたのだ。彼自身その立案者の一人だったベトナム戦争を終わらせる最終的な和平協定に署名したからだ。キッシンジャーは、ベトナム、ラオスとカンボジアの村落農民への爆撃で、ニクソンの戦争拡大に従順に協力していた。戦犯の定義にぴったり一致するキッシンジャーが、平和賞を与えられたのだ!

オバマの場合のように、雄弁に安請け合いをする人物に対して、その約束に基づいてでなく、戦争を終わらせることに対する、実際の業績に基づいて、平和賞は与えられるべきなのだ。オバマは、イラクアフガニスタンとパキスタンで、冷酷な軍事行動を継続している。

ノーベル平和賞委員会は引退し、スターであることやら美辞麗句やらに動ぜず、多少は歴史を理解している、国際的などこかの平和団体に、その膨大な基金を引き継ぐべきだ。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article23690.htm

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ノーベル賞委員会の意図を好意的に解釈される心優しいブロガーの皆様の見解、善意に満ちている。確かに、そうあって欲しいものだ。

しかし、素人には、ハワード・ジンのようなアメリカ歴史学者の意見の方が、ずっとわかりやすく思われる。あのナオミ・クラインも、同様な意見。ある意見が真実であることと、その意見が多数派であるか、少数派であるかとは、必然的関係はないだろう。多数派の意見が、間違っていた事例、世の中には山ほどある。むろん、少数派が間違っていたことも。

「オバマには何も実績がない」という声があるというが、本当だろうか?

アフガニスタンで、パキスタンで、そして、イラクで、理不尽な侵略戦争による弾圧・殺害を継続・強化しているという立派な実績が十分にあるではないか?委員会は、これを評価したのだと理解するのが普通の神経だろう。

何度でも繰り返すが、「1Q84」を読む前に、オーウェルの小説「1984年」をお読みいただきたい。そう、「動物農場」も。

参考Youtube

Howard Zinn: Vote for Obama but direct action needed Youtube

ハワード・ジン記事翻訳リストから:

帝国か博愛か? 学校では教えてくれなかったアメリカ帝国のこと

ハワード・ジン「歴史の効用とテロリズムに対する戦争」を語る

「戦争は平和である。 自由は隷属である。 無知は力である。」

関連記事翻訳:

ノーベル戦争賞

主戦論者、平和賞を受賞

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