■ リーグとFリーグの違い他の競技を見ていても、つい、サッカーやJリーグと比較してしまうが、今回、フットサルの試合を観戦して、いくつかの点で違いを感じた。もちろん、Jリーグの方が優れていると感じるところもあったし、その反対で、フットサルの方が優れていると感じるところもあった。
1つの方面から見ていると、当たり前すぎて、気がつかないようなことでも、違った角度から見ると、その良さに気がつくこともある。したがって、いろいろな角度から見るというのは、大事なことだと思うが、まず、フットサルでいいと思ったのは、すでに何度か記述しているとおり、とにかく、コート(ピッチ)までの距離が近いことである。
観客席の前には、大きなネットが張られているので、観客の人にボールが直撃することは考えにくいが、自分のいる方向に強烈なシュートが頻繁に飛んでくるのは、フットサル特有のことで、「選手との距離が2~3メートル程度しか離れていない。」というのは、ほとんどのサッカー場では、考えられない。
■ フットサルのいいところその他にも、いくつか、見習ったらいいのではないか?と思うことがあった。1つ目は、試合後のあいさつに関してである。選手たちが、自分たちのクラブのサポーター席の前に行ってあいさつすることは、Jリーグでも当たり前になっているが、フットサルの場合、相手方のチームのサポーター席や相手方のベンチのところまで出向いて、感謝の意を表す。
もし、今、Jリーグで同じことをしたら、対戦カードによっては、相手の選手に対する野次がものすごいことになって、収拾がつかなくなる可能性がある。また、物が投げ込まれたり、選手とサポーターの間でトラブルが起こることも考えられるが、この試合においては、もちろん、そういうことは無かった。相手方にも、挨拶をするというのは、Jリーグの試合では、考えにくいことなので、新鮮に感じた。
また、フットサルの観戦歴の浅い人が多くなることを想定しているのか、試合前や試合中にDJの人が、フットサルのルールの説明をしたり、レギュレーションの説明をすることが何度もあった。そして、試合中には、誰がファールをしたのか、何が起こったのか、すぐにアナウンスしてくれるので、観戦歴の初心者にとっては、ありがたいことである。
今でも行われているのか、定かではないが、以前、横浜FMのホームスタジアムの日産スタジアムに行ったときに、オフサイドやファールが起こったとき、即座に、オーロラビジョンに、「いまのはオフサイドです。」とか、「今のはファールです。」と表示されていた。こういう経験をしたのは、このときの日産スタジアムが初めてだったので、親切だと感じたが、フットサルの場合、もっと丁寧にアナウンスしてくれる。
屋内競技と屋外の競技では、事情が異なるので、Jリーグのクラブが、すぐに真似をするのは、難しいが、観戦に慣れていない人が多く来場することをあらかじめ想定して、試合を運営している点は、素晴らしいと思うし、また、Jリーグも見習わなければならないと思う。
■ 改善が必要ではないか?と思うところ一方で、改善を期待したいところや、これはどうなのか?と思うところも、いくつかあった。もちろん、この日は、一応は、シュライカー大阪のホーム扱いになっているが、中立地での試合となったので、普段のFリーグの試合とは、状況が違っている。よって、この日に限った話なのかもしれないが、感じたことをストレートに記述すると、以下の点を挙げることができる。
まず、1つ目は、グルメの話である。アリーナの中に売店はあったが、品数は少なくて、料金も高めに設定されていた。すぐ近くにコンビニがあるので、ほとんどの人はコンビニを利用したと思うが、遠路はるばる、名古屋までやって来た人が多かったと思うので、もう少し充実させても良かったのではないかと思う。
2つ目は、選手の名前を確認する手段がなかったことである。試合前には、両チームの選手の紹介があって、そのときは、1人ずつ、アナウンスされているが、すべてを覚えきれるものではない。Jリーグの場合は、試合中は、オーロラビジョンに背番号と出場メンバーが表示されるのが、当たり前なので、困ることは無いが、そういうものが、見当たらないので、不便だった。
両チームとも、背番号の上にネーム表示が無かったのも、不都合に感じた。幸いにして、シュライカー大阪の方は、応援席のところに、全ての選手の背番号と名前を示した横断幕が掲げられていたので、把握することはできたが、府中の方には、そういったものは無かったので、選手名を把握するのに苦労した。
■ 太鼓は必要なのか?最後に、もっとも、気になった点を挙げると、応援の仕方である。大阪の方も、府中の方も、熱心なサポーターが10名前後、来場して、選手たちを励まそうと奮闘していた。こういったサポーターの行動というのは、間違いなく、選手たちに大きなパワーを与えたと思う。
このようなサポーターには、頭が下がる思いであるが、残念に感じたのは、特に、府中の方は、太鼓を使って応援することが多かったので、会場内のすべての音を掻き消しており、試合中は、ずっと、太鼓の音だけが鳴り響くような状態だった。
もちろん、応援のとき、太鼓を使うというのは、どのスポーツでもよく見られることであるが、前述のように、フットサルの魅力の1つは、選手と観客席の距離が近いことで、これだけ、間近に選手がいると、選手たちが走るときに発生するキュキュという音や、接触したときに起こる衝撃音や、ボールを蹴るときのインパクトの音など、音でも、試合をを楽しむことができたと思うが、聞き取ることはできなかった。
それ以外でも、選手たちがどんなことを話しているのか?にも興味があったが、全く聞こえず、さらには、先のとおりで、試合中に、DJの人は、誰がシュートを放ったのか、誰が交代でピッチに入ったのか、逐一、説明をしていたが、その声も半分くらいしか聞き取れないほど、太鼓の音が響いていた。
おそらく、普段の試合は、もっとサポーターの数が多いので、太鼓の音を掻き消すくらいの声援が鳴り響くのではないか?と思うが、10人程度の声だと太鼓の音が優ってしまう。サポーターの人も、チャントを歌ったり、選手の名前をコールしたり、いろいろと工夫していたが、こういった声も、全て掻き消されているので、味気ない雰囲気になった。
調べてみると、会場によっては、太鼓の使用が禁止されているところもあるという。「太鼓を使うことで、応援の統率が取れるので、太鼓は必要だ。」という意見もあるようだが、音量や使いどころを工夫しないと、応援ではなくて、騒音になってしまう。「雰囲気を台無しにしている。」とまでは言わないが、フットサルの魅力を半減させてしまっているのではないか?と感じた。
関連エントリー 2008/08/13
ラモス瑠偉と日の丸への思い 2011/07/19
女子サッカーの未来について考える。 2011/07/21
澤穂希というフットボーラー 2012/06/05
テレビ朝日とサッカー中継の進化 2012/06/11
バレーボール中継とサッカー中継で感じること 2012/06/18
日本代表の応援にどこまで求めるのか? 2012/06/20
気を付けたいサッカー協会への批評 2012/12/10
それ相応なフロントとサポーターの関係
- 関連記事
-