決勝トーナメント1回戦の、ブラジルとガーナの試合は、ブラジルが3対0で勝利し、準々決勝進出を決めた。
それにしても、これだけ、内容と結果がリンクしない試合も珍しい。前半5分に、カカのスルーパスからロナウドのゴールで先制したブラジルだったが、その後は、ガーナに中盤を支配される苦しい展開。ゴールキーパー・ジーダの好セーブで失点は逃れたが、これだけ押し込まれるブラジル代表は初めて見た。それでも、さすがにしたたかなブラジルは、前半のロスタイムに、カフーの右からのクロスをアドリアーノが押し込んで追加点。リプレーで見る限り、アドリアーノはオフサイド位置だったが、線審はフラッグを上げずにゴールを認めた。引き続き後半も、ガーナがペースを握るが、クロスの精度を著しく欠き、決定機も決めきれずに、得点の気配は徐々になくなっていく。終了間際に、ゼ・ロベルトが追加点を挙げ、結局、3対0と試合終了。
この試合で、4試合目となるブラジル代表だが、期待外れの内容の試合が続く。前線のアドリアーノとロナウドが、得点シーン以外で、ほとんど貢献が出来ないのが、最大の原因。前でボールがおさまらないので、厳しいマークを受けるロナウジーニョが、前を向いてボールを受けるシーンはほとんどない。チャンスになるのは、カウンターでカカがドリブルを仕掛けたときのみ。この試合の1点目も、2点目も、カカのカウンターが基点になったゴールだった。
得点を取っているから代えづらいのかもしれないが、今のロナウドの状態であれば、ロビーニョを入れるとか、アドリアーノの1トップにするとかしないと、ブラジルらしい、流動的で華麗なサッカーはできないだろう。セレソンには、勝つだけではなく、美しく勝ってほしい。確かに、今回のチームは、ジーダを中心に守備も強固でいいチームではあるが、セレソンらしくない。次の試合以降に期待したい。
一方のガーナは、セレソンと比べるとあまりにもナイーブだった。このチームは、いいときの日本代表を見ているようなチームで、鮮やかなパスワークで相手を翻弄するが、ラストの20メートルのエリアに入ってから、攻撃が停滞する。アモアとか、ギャンは、なかなか優秀なフォワードだが、それでも、国際レベルでゴールを量産できるほどのストライカーではない。フィニッシャーの問題は、日本だけでなく、多くの国が抱える問題である。
ガーナで気になったのは、ブラジルにオフサイドラインの裏を取られすぎていたことだ。3失点とも、すべて、ブラジルの選手にラインの裏に抜けられた末の失点だった。この試合の線審を考えると、高すぎるラインは、あまりにもリスキーだった。試合途中で、プラン変更があっても良かったが、ガーナ代表も、そこまでは、成熟したチームではなかった。それでも、死のグループを突破し、ブラジルを圧倒した実力はホンモノだ。
ガーナ代表というと、1994年のファルカン監督時代に、アシックス・カップで対戦したときの印象が強い。ニイ・ランプティという選手を中心に、20歳そこそこの平均年齢のチームは、日本代表と互角以上の試合を見せた。それから12年、遅すぎたワールドカップデビューだったが、立派に戦った。
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