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勇敢なユダヤ教導師の声に耳を傾けよう。「イスラエルは地図上から消されるべき怪物国家だ」


勇敢なユダヤ教導師の声に耳を傾けよう。「イスラエルは地図上から消されるべき怪物国家だ」
<記事原文 寺島先生推薦>

Meet the outspoken Rabbi who says Israel is a monster that should be removed from the map


Russia Today 論説面 2021年5月23日

クリス・スィーニー(Chris Sweeney)著

Chris Sweeney is an author and columnist who has written for newspapers such as The Times, Daily Express, The Sun and Daily Record, along with several international-selling magazines. Follow him on Twitter @Writes_Sweeney
<記事原文 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年6月30日

 

 「ナートーレー・カルタ」とは、ユダヤ人の団体である。この団体はガザにおける流血の解決法として物議を醸しそうな解決法を提案している。それは「イスラエル国を終わらせればいい」という解決法だ。ロシア・トゥディは、ラビ(訳注:ユダヤ教の指導者のこと、以降“師“と訳出する)であるイスラエル・ダビッド・ウェイス(Yisroel Dovid Weiss)氏に、なぜこの団体がイスラエル国を終わらせるという解決法を考えているかの理由を聞いた。

 ジャケットにパレスティナの国旗をピン留めしているラビに会うことはそうないことだろう。しかし、ナートレー・カルタという団体においては、それが慣習となっている。

 この団体は、ユダヤ教のハレーディーム派(超正当派)の団体であり、その名称はアラム語で「都市を守る者」という意味だ。この「都市」とはエルサレムのことであるのだが、この団体はイスラエルという国家を承認しない立場で設立されたものだ。ややこしいですか?

 ナートレー・カルタの中心人物の一人であるウェイスというラビが、Russia Todayの取材に対して、この団体の立ち位置をこう説明してくれている。「シオニズムというのは、ユダヤ教が変節したものです。宗教心や、神への服従という考え方はなくなり、国家主義という世俗的な考えに陥ったものです。こんなことは神に仕えようとするものから見れば受け入れがたいことです。このような国家主義を作り上げるために、彼らは神を排除しようとしているのです」


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 「私たちが預言者たちから警告を受けたのは、我々の土地から追放されるということでした。それは、今から2000年前に(エルサレムの)寺院が破壊されたときのことでした。私たちは再びまとまった一つの集団には戻れなくなったのです。– これは神が決めた追放だからです– さらに私たちは私たちが居住している国に反抗することもないとされているのです。私たちは忠実な市民として、私たちを受け入れてくれている国にとっての良いことを祈るように定められているのです。さらに私たちは、決してこの追放状態を終わらせようとするべきではないのです」

  トーラー(ユダヤ教の聖書の中心部分)についてご存じない方々のために説明を加えると、ウェイス師のような感情をもつことはかなり革命的なことだ。ナートレー・カルタの信念によれば、彼らは聖なる書の内容に従っており、出パレスチナは、神の御心による行為だったとのことだ。さらに彼らは、彼らの宗教上の教えに従えば、ユダヤ教の教義から考えて罪だと考えられることに対しては公的に抗議すべきだ、と考えている。ナートレー・カルタの人々が特に求めているのは、イスラエルとユダヤの間には根本的な違いがあることを人々に理解してもらいたいということだ。

 ウェイス師はさらにこう続けた。「(シオニストたちの)目的は、俗的な国家を持とうとすることでしたし、その目的に立ち向かうものがいても全く動じませんでした。トーラーの教えは、“汝盗むことなかれ“なのに、シオニズムの考え方は全てトーラーの教えに背くものです。シオニストたちは、我々の宗教においては、我々は軍を使って他人の土地を奪うことは求められていないことを知っていたはずです。そのような行為は、トーラーでは禁止されているのですから」

 イスラエルは1948年に建国され、その翌年国連加盟が認められた。大多数がイスラム教徒であるパレスチナ人たちの土地と所有物を、イスラエル軍が手に入れたその手口については、広く知られている。 この行為は、「ユダヤ人の民族郷土」の創設という口実のもと行われた。そして英国は第一次世界大戦中に出したバルフォア宣言でこのような状況を作り出したのだ。

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 イスラエルはいまや力強い軍と、成功した技術産業を持つ近代国家となっている。しかし、イスラエル国家によるパレスチナ人たちへの処遇の仕方は批判の的になってきた。パレスチナ人たちは、ガザ地区や、ヨルダン川西岸に追いやられ、権利も制限されている。

 ウェイス師はこう語った。「彼らは我々からダビデの星の紋章(訳注:ユダヤ教の象徴的なマーク)を奪い、世界に向けて自分たちは神の意志をうけて行動していると宣言しています。そうすることで彼らに異論を唱えようとするものたちは誰でも“反ユダヤ主義者“扱いにしてしまうのです。これは馬鹿げたことであり、悲劇です。というのも、そんなことをしている彼らはトーラーの教えを体現していないことになるのですから」

 ナートレー・カルタは、自分たちがユダヤ社会の代表であると主張しており、「イスラエルは誤った正当性を作り出してしまった」としている。イスラエルにはラビの首長もおり、ラビの首長団もあるのだが、ナートレー・カルタ内にもそのような組織が独立してある。イスラエルは、このユダヤ教の指導者組織を通じて、パレスチナ人の土地を奪い続けていることを正当化し、その地にイスラエルからの移民者たちが住み着いている。 このような状況こそが、イスラエルとパレスチナ間の紛争の大きな原因のひとつとなっている。 パレスチナ人をシェイク・ジャラ地区から追い出そうとしたことが、今回の紛争の原因となったのだ。


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 ウェイス師はさらに続けた。「シオニストたちは常にトーラーの教えと、イスラエルという名の怪物国家を結びつけようとしています。彼らにはユダヤ教指導者たちの長もいますし、指導者たちを統括する団体もあります。しかしそんな組織はただの飾りです。彼らはイスラエルがすることにお墨付きを与えているだけであり、神聖さを加味させる働きをしているにすぎません」

 「不幸なことですが、多くの大学生たち、彼らの多くは無宗教の家庭や、名目上だけ宗教を信仰している家庭出身者なのですが、そんな大学生たちがシオニストたちの仕掛けるプロパガンダの罠に引っかかって、感情的にこんなことを言い出すのです。“私たちは2000年もの間追放処分の状態にされてきた。私たちはこれだけ苦しんできたのだから、神が私たちにこの土地を取り戻させてくれたのだ“と。しかし、そんなことはトーラーのどこにも書かれていません」

 「人々は、ユダヤ教の勇士になるためには、イスラエルに戻って、入植しなければならないと考えています。私たちは暴力を行うことを神から許されている訳ではありません。しかし彼らは今彼らがシェイク・ジャラ地区で行っているように、アラブの人々を住処から追い出すという暴力行為を行っています。或る行為には必ず反応があります。この行為に対する反応はどんなものになると考えますか?それが今彼の地で流血が起こっている理由です」

 ただし、ナートレー・カルタの考え方に誰もが同意している訳ではなく、批判するものもいる。その人々の言い分は、「最悪の過激派と会おうとしているからだ」とのことだ。ナートレー・カルタの構成員は自分たちがハマスやヒズボラの指導者たちと面会したことを認めている。このふたつの組織は多くの国々からテロ組織と目されている組織だ。さらにナートレー・カルタは、マフムード・アフマディーネジャード元イラン大統領や、ヤーセル・アラファート元PLO議長や、ガザ地区の事実上の支配者であるイスマーイール・ハニーヤ氏とも対話している。ナートレー・カルタは、クー・クラックス・クランの元最高幹部であるデビット・デューク氏とさえ、共同声明を出している。

 ウェイス師はこう語った。「ハマスの指導者は、ユダヤ人に反感など持っていないし、共存したいと語っていました。ハマスも、ヒズボラも、イスラエル国家の平和的な解体を望んでいます。私たちもそうです。私たちの理解では、問題はハマスにあるのではありません。本当の問題は、1948年にイスラエルという名のシオニストたちの怪物国家が世界から承認されたことです。そしてその国家が、他民族を支配しようとしてきたことです。起こっていることは全て、このひどい不誠実な行為の反動として起こっているだけなのです」

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 「インタビューが始まる前に、私がハマスを非難する立場かどうかについていつも聞かれます。そして、私がハマスを非難しないと答えれば、よく考えることもせず感情的に相手はこう言うのです。“この人はハマスを批判しないんだな。ということはこの人の話は聞く価値がない。だってこの人はテロリストだから“と」

 「本当のテロリズムとは、国家を建設し、その国家を存続させていることです。だから毎日、パレスチナで生を受ける子どもたちは、苦しめられているのです。子どもたちは、自分の家族が亡くなるのを目にして、イスラエルへの憎しみを心に染み込ませます。無意識であってもです。そのような行為が、私たちの紋章のもと、私たちの名において行われているのです。筆舌に尽くし難い偽善行為です」

 ナートレー・カルタが批判されているもうひとつの理由は、ホロコースト否定論者だと見なされているからだ。ウェイス師はこのことを強く否定した。「私の祖父母はアウシュビッツで殺されました。私の父方、母方両方の親戚たちの大多数もそうでした。父はナチスがハンガリーに侵攻してきた時にヒトラーから逃げました。私たち反シオニスト派のほとんど全て人々が、ヒトラーの手から逃れることのできた人々の末裔です。だから私たちはホロコースト否定論者ではありません。私たちの血の中にホロコーストの記憶が残されているのですから」

 ウェイス師によれば、この状況を複雑にしている要因のひとつに、イスラエル国内に住んでいるユダヤ人の多くがイスラエル国家を支持していないのに、そのような意思表示をすることができないということがある、とのことだ。

 ウェイス師が確信しているのは、もし自分がイスラエルを訪問することになれば、逮捕され、刑務所に入れられるということだ。「私たちの多くは道義上イスラエルに行くことはしません。しかし私たちの団体の男女の子どもたちが17歳になっても、イスラエルに行き、イスラエル防衛軍に兵役として従軍しなければ、罪人になってしまいます」

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  「彼らは常に、私たちは悪であると非難しています。その理由は、私たちがユダヤ教の教えを実践しているからだけです。彼らは、声を上げている或る一部のユダヤ人たちをただ口汚くののしることしかできません。そのユダヤ人たちというのは、“私は長年、隣人であるパレスチナ人たちと平和に暮らしてきました“と発言しているユダヤ人たちです。私たちは違う民族ですが、それでもともに平和に暮らしてきました。イスラエルを作ったユダヤ人たちは自分勝手過ぎました。もともとから住んでいる人々の意向など聞こうともしませんでした」

 ナートレー・カルタの使命は、シオニズムとユダヤ教の間にある差異を強調することだけではない。イスラエルという国が平和裡に解体することだ。もちろん多くの人が、ひとつの国家とその940万人の人民を除去するという考え方は尋常ではない考えだと考えているのは当然のことだ。

 このことについてウェイス師はこう説明している。「イスラエルは、10年に1度くらいの頻度で戦争を行っています。完全な平和を実現できたことはないのです。私たちは、それは神の意志だと思っています。イスラエルという国はなくなる運命にあると思います。なぜなら、イスラエルという国家が存在することは、神に対する全くの反逆行為だからです。私たちはユダヤ人国家を建設することは神から禁じられているのです。私たちは声を上げないといけません。世界各国の指導者たちにイスラエルによる占拠をやめるよう訴えなければいけないのです。そしてパレスチナの人々を安心させなければならないのです。しかし最終的には、このことを終わらせられるのは全能の神しかないのです」

 「イスラエルは安泰であると考えている人もいるかもしれませんが、そうはいかないのです。イスラエルはまだ建国されて73年しか経っていませんし、イスラエルが建国されなければ、世界はうまくいっていたでしょう。イスラエルなしでも、私たちは生きていけるのです」

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 ウェイス師は、イスラエルは国名を改名して、そこにパレスチナ人たちの国家を建設すべきだと考えている。彼の考えでは、その地域はユダヤ人たちとイスラム教徒たち、両者にとっての郷土になりうる、とのことだ。数千年前はそうだったのだから。

 彼は以下のような例を持ち出した。「南アフリカでは、以前は全く希望が見いだせませんでした。しかしひとたびアパルトヘイトを止めるよう、圧力がかけられ始めると、すべての考え方は変わりました。パレスチナに対する考え方も、いわゆる“ユダヤ人国家“という考え方から、“パレスチナ自由国家“という考え方に変えることは可能だと思います。そんなに悪いことでしょうか?平和に暮らせなかったここ70年間だけ、馬鹿げた逸脱行為を行っていただけです。それ以前パレスチナでは、私たちは皆共に兄弟のように平和に暮らしてきたのですから。そして共に繁栄してきたのですから」

 ナートレー・カルタの行いや、イスラエルとの関係を懸念して、ナートレー・カルタの発言権を認めようとしない批判的な人々もいる。しかし同団体の意思は固く、自らの使命を成し遂げようと努力を続ける意図を持っている。彼らはそれを、神から与えられた任務だと考えているのだ。

 ナートレー・カルタの行いや、イスラエルとの関係を懸念して、ナートレー・カルタの発言権を認めようとしない批判的な人もいる。しかし同団体の意思は固く、自らの使命を成し遂げようと努力を続ける意図を有している。彼らはそれを、神から与えられた任務だと考えているのだ。

 ウェイス師はこうも語っている。「私たちは少し情熱を失いつつあります。私たちはガザ地区や、ヨルダン川西岸地区での破壊行為を目にしてきました。そのことを喜んでいる人々もいれば、ショックを受けている人々も常に存在します。もちろんシオニストたちは恐れています。彼らの主張によれば、私たちは反ユダヤ主義者であり、私たちが行っていることはユダヤ人同士の流血を呼ぶことになると考えています」

 「彼らはガザ地区をドローンで攻撃しています。人々は、毎日毎日殺されています。殺された人、一人一人に家族がいます。その家族全員が悲しんでいます。そして彼らが住んでいるのは劣悪な環境にある難民キャンプです。こんな人々が、ユダヤ人のことを好きになるでしょうか?」

 「私たちがパレスチナの人たちに伝えたいのは、私たちは皆さんの受けた傷を共有するつもりだ、ということです。さらに、シオニストたちの行為を認めていないユダヤ人もいる、ということです。シオニストたちの行いはどの段階においても論理にかなったものではありません。しかし世界の人々は、シオニストたちが撒き散らすプロパガンダやPR機関の言っていることを真に受けてしまっているのです。私たちはこの流血を止めたいと思っていますし、パレスチナとユダヤを繋ぐ架け橋を作りたいと思っています」

 

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