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インドにおける「Covid危機」の現状。続報。

<記事原文 寺島先生推薦>

India’s Covid Crisis in Context – An Update

left lock down sceptics
 2021年5月14日

ジョー・ナッシュ(Jo Nash)著

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月20日


 私はこの記事を、先日書いた短い記事の続報として書いています。その記事は多くの関心を集めたようです。インドの状況は急速に変化しているので、詳しい続報を書き足そうと思っています。もとの記事を書いてからすでに3週間が経過しており、状況も変わってきています。

 まず私が強調したいのは、インドの状況を話すのは非常に難しいということです。というのも、インドは国全体が同質の国ではないからです。インドの領土は広大で、人口も多く、気候帯は6つに分かれています。インド国民が住む地域は、その地域の立地場所により環境が全く異なります。ですので、インドの健康状態を「国内どの地域も同質である」と捉えることは賢明ではなく、意味のないやり方だと思います。

 前回書いた記事について、最近私は、ラジオでマイケル・ウエルチ記者からインタビューを受けました。この記事は、その際ウエルチ記者が私に投げかけた一連の質問をもとに、質疑応答形式で書いています。私が言いたいことは、「インドは危機状態にはない」ということではなく「今のインドの危機はCOVIDだけではなく様々な要素が絡んで起こっている」ということなのです。私が現地で得た情報の多くは、インドでの都市封鎖措置による飢餓に対応するために立ち上げたフードバンク関係の人々から得たものです。この記事を読んだ後で、このフードバンクに寄付をしようと思ってくださったり、寄付をしてくださる方は、この記事の最後にあるリンク先をクリックいただければ幸いです。よろしくお願いします。

 (1)あなたは大気汚染を強調されていました。大気汚染が「激しい」時期とそうでない時期があるのでしょうか?一日の中でもそうなのでしょうか? 大気汚染による障害の程度は、COVID前と後でどう変わったのでしょうか?お金で買える酸素が市場で売り出されるようになってからどのくらい経ちますか?また、酸素の購入が富裕層に集中した様子も教えてください。

 大気汚染の問題についても、都市部なのか郊外なのかによりさまざまです。COVID流行が都市部、特にムンバイや、ニューデリーや、カルカッタや、ベンガルや、チェンナイなどの大都市に集中して起こっている傾向があることからすれば、それらの地域での大気汚染を見てみることは意味があることだと思います。
 デリー州の大気が有害であることは世界的に有名になっています。その大気のせいで、外に出ると呼吸器系の疾患を発症してしまう危険があり、市全体規模の都市封鎖が行われたこともあります。メディアが報じている写真には、手押し車に乗せられた人々が苦しそうにあえいでいて、病院に殺到している様子が写されていますが、これらの写真はニューデリーの様子でした。ニューデリーでは、大気汚染が命の危険にかかわる程度まで悪化すると、呼吸器系の疾患をもつ人々の治療で病院が大混雑になることが多いのです。もっとも厳しいのは、モンスーンが来る季節の前の非常に乾燥して暑い時期であり、それが現在の4月から5月にかけての時期です。
 ハリヤーナー州やパンジャブ州で野焼きが行われる季節には、大量の煙が発生し、分厚いスモッグが形成され、11月や12月は煙がデリー州を包んでしまいます。
 海岸沿いの都市であるムンバイやチェンナイでは、大気汚染の問題は少ないです。大気が海に流れるからです。しかし、私が2018年にベンガル州に住んでいたとき、大気の質は定期的に非常に悪化しました。その原因は排気ガスや、建設が盛んであったのでそこから出されるたくさんのほこりや、暖を得るためや料理のために燃やされる固形燃料や、近代的なごみ収集事業が不足しているため燃やされるごみから出る煙などが大気中で混ざり合っていたせいでした。

 科学誌の「ランセット」誌の記事によれば
、2019年の11月に、デリー州の大気は非常に有害であり、行政当局は健康に関する緊急宣言を発令し、市内や郊外の学校の数日間にわたる閉鎖を命じました。石炭やディーゼルを使って行われる産業も、すべて最高裁判所が任命した「環境汚染防止対策委員会」により封鎖されました。

  富裕層向けの酸素バーが、多くの大都市で数年前から開店しています。そのバーでは酸素吸入器が売られており、ストレスや、筋肉痛や、偏頭痛や、頭痛などの健康問題の解消のために利用されています。このような酸素バーでの酸素の消費が、国内の酸素供給に影響を与えているなど夢にも思っていませんでしたが、実際のところはそうなっているようです。健康専門家のヨハン・テングラ氏が最近のインタビューで説明したところによれば、インドで酸素の輸出が始まったのは2年前のことで、ここ6か月は国内の酸素の供給不足に悩まされているとのことです。今のところ、戸外で働き、外気を防ぎきれない家に住んでいる貧困層は、悪質な大気をまともに受けていますが、ぜいたくな酸素バーなどに行くことはできません。私が強調しないといけないのは、COVID19の症例数はまったく「本当の危機を伝える数値ではない」ということであり、インドで現状起こっている危機について正しく理解するには様々なほかの要素があるということです。その一つが大気汚染の問題なのです。もうひとつ、最近「ランセット」誌で掲載された記事によると、インドの毒を含む大気(具体的には粒状物質と大気汚染のこと)は、2017年に124万人の命を奪ったそうです。この数は、2017年のインドの死因の12.5%を占めていました。現在の危機について論じる際は、このような関連事項も熟考すべきです。

 (2) 他のウイルスと比べたら、COVID 19は大したことはないようですね。関連記事が2020年3月に書かれています。最近症例数が激増していますが、この数は正しいのでしょうか?

  インド政府の公式ツイッターアカウント #IndiaFightsCorona は、常にCOVID症例数を報じています。しかし、COVIDの統計結果は、症例数や死亡者数がずっと累計で示されてるという、パンデミックが始まったころとは違う方法で収集されています。他の病気では年別に合計が集計されているのです。そうだとしても、COVIDによる死因は、1月から今日までの死因のトップ10にも入っていません。(TOI紙の記事の通りです)。 もちろん、政府の発表による数値に信頼がおけると考えるなら、ですが。この数値が、多いと主張するメディアの専門家もいれば、少ないという専門家もいます。データを収集する方法に透明性があるとは思えません。上のリンク先にある最近のインタビューでヨハン・テングラ氏が報じたところによると、ムンバイ市街では人々にPCR検査が強制され、自治体当局が1日につき45000件の検査を行うことを目標にしていたそうです。無症状の人々が検査を受けさせられたのですが、「感染病対策法」により、そのことを訴える権利ははく奪されていたようです。テングラ氏の主張によれば、陽性結果が出た中のほとんどの人々が無症状だったり、症状が軽かったそうです。「ベンガルミラー」紙の報道によると、ベンガル州では患者の99.4%が無症状であり、「テングラ・リサーチ」の調査によれば、PCRのCT値(増幅回数)は35であり、この数は間違った陽性結果を大量に出すCT値だそうです。

 (3) あなたは、「COVIDワクチン計画を進めることは、緊急に対応すべき公共医療に必要な資源を奪うことになる」とおっしゃっておられました。必要な資源とは、具体的には水や、衛生や、きれいな空気や、非伝染病疾病に対する治療に関する資源のことだ、と。お知り合いの方々から得られたさらに詳しい情報について教えてくださいませんか?

 インド政府は、ワクチンを入手するために何百万ものお金を使っています。しかしそうすることは、他の健康関連事業から資源を奪うことになっているのです。たとえば結核ワクチン計画もそうです。インドでは年平均で45万人から50万人が結核で亡くなっています。健康に関する政府予算が少ない中で、呼吸器系ウイルスによる急な流行が起こってしまえば、多くのインド人に対する保健体制は崩壊するでしょう。そして、4月というのはモンスーン前の季節であり、呼吸器系ウイルスが流行し始める時期なのです。

 私が前回の記事で言いたかったのは、医療体制が、脆弱で崩壊寸前にある国においては、資源を大規模なワクチン入手や、ワクチン接種計画に回すことは、他の公共医療に関する問題から資源を奪うことになるということです。そうです。若者や健康な人に対するコロナウイルスの怖さよりもずっと深刻で命に関わる病気はあります。結核や、はしかや、ポリオについてのワクチン計画はすべて保留されています。となると、これらの病気になる人の数が増えることになるでしょう。

 私が、都市封鎖措置により引き起こされた飢餓を緩和しようと、資金調達を呼びかけているフードバンクがあるビハール州で聞いた話ですが、呼吸器系の病気の症状がある患者たちの治療を拒んでいる医師たちが増えているということです。その理由は、医師たちが患者からCOVIDを感染することを恐れてのことだそうです。となると、複数の呼吸器系の病気の感染が流行するおそれのある今の季節に、医師に診てもらえない患者たちや、病気が重症になって、酸素吸入が緊急に必要になる患者が増えてくると思われます。

 今のところ、マハラシュトラ州にいる私の知り合いの一人が語った話によると、その人のおばあさんが腸チフスで入院することになったそうです。しかし入院中にCOVIDに感染し、その人の話では、おばあさんの死因はCOVIDだったのに、死亡証明書の死因欄には「腸チフス」と書かれたようです。その人が考えているのは、「マハラシュトラ州では入院中の患者の多くがCOVIDに感染しているため、本当はCOVIDが死因だったのに、それを少なく報告しているのではないか?行政当局は本当の状況を隠したがっているのではないか?」ということでした。しかしマハラシュトラ州の症例者数は現時点でインド内最大の記録を残しています。

 これらの情報からわかることは、人々はCOVID感染を恐れて、別の病気にかかってしまっても、入院したり医師の診察を受けたりしなくなっている可能性があるということです。そのせいで、季節性の呼吸器系ウイルスなどの呼吸器系疾病の治療が遅れ、肺炎を発症したり、酸素吸入が必要な状況になったりしている可能性があるのです。病気があるのに、検査が行き届かず、しばしば未検査になってしまうということは、さらなる2つの危険が生じます。一つは、呼吸器系の症状がある病気がすべてCOVIDだと診断され、COVID症例数が過大にカウントされてしまうことです。もうひとつは、適切な検査が不足しているためCOVID症例数が過小にカウントされてしまうことです。もちろん、この検査自体、問題の多いものである可能性もあります。というのも、PCR検査というのは、間違った陽性結果をたくさん出してしまう、信頼できないものだということがわかってきているからです。
 私のもとに、或る綿棒の映像が送られてきました。その映像によると、綿棒が労働者の親と子供たちが住むインドの一般家庭で箱詰めされていました。つまりそこで綿棒にCOVIDウイルスが付着するかもしれないということです。(この動画は TelegramというSNSプラットフォームに載っています。リンクは貼っていませんが、もし、Telegramをお持ちでしたら、その様子を見ることができます)。このような情報は信頼性に乏しいですが、しばしばSNSで出回り、炎上しています。現状の混乱状態の中では、ワクチンの直接効果ばかり伝えて、健康上の問題を持ちながら放っておかれる人々のためにお金を回さないということは、あってはならないことです。しかし、国中が巻き込まれる新しい緊急事態に対応する保健計画にお金を投資することが、COVID以外の健康問題の取り組みに回す資源を奪ってしまうということが起こっているのです。同じ事が、英国でも起こっています。例えば、治療されない多数のがん患者への対応が後回しにされているのです。

 (4) インドの国内メディアがゆがんでいる例を教えていただけませんか?そのことが人々に影響を与えていますか?

 大多数の人々が情報を得るのはニュースからです。私が北部で話を聞いた人たちは、COVIDの恐怖の報道はゆがめられていると感じているようでした。恐怖を煽り、ワクチンを打つように説得させようとしている報道だ、と。多くの人が勘ぐっているのは、通常の季節性のインフルエンザのような症状のある人が、COVIDであると誤診され、数値がつり上げられているかもしれないということです。しかし、本当にそれを確認することは不可能なのです。理論上だけの話で終わっています。

 COVIDの報じ方については、政治的な思考により大きく違いが見られます。独立系メディアの中には、死者数や感染者数などの数値が大幅に低く報告されていると主張しているメディアもあります。(例を挙げればワイア紙などです。ワイア紙は反インド人民党派であり、反モディ政権派でもあります)。また真逆の主張をしているメディアもあります。

 私は今日ワイア紙のニュース映像を見ました。その映像は、英国ミドルエセックス大学の数学者であるムラド・バナジ博士のインタビューを元にしたものでした。そのバナジ博士は、現在のモデルとはちがう、真の死者数を計算できる(それは同博士の主張ですが)モデルを使えば、真の死者数の数はおそらく2倍から3倍高くなると説明しています。しかし最近、バナジ博士の以前の研究のより詳しい査読が行われたのですが、その結果によれば以下のようなことが明らかになりました。

 (1)バナジ博士は、英国インペリアル大学と提携してモデリング作りに取り組んだ経験があります。インペリアル大学はゲイツ財団から巨額の支援を受けており、英国やEUや米国で、このウイルスによる総死者数を大幅に高く見積もったモデルを使っていたネイル・ファーガソンとともに責任を問われている大学です。
 (2)バナジ博士は、英国の慈善団体である「ウエルカム協会」や「レバーフルム・トラスト」から資金援助を受けています。両慈善団体はそれぞれ、英国の製薬会社グラクソ・スミスクライン社やユニリーバ社の下部組織です。両社とも、COVID危機を通じて、ワクチン販売、衛生用品の販売、医療防護具の販売、人工呼吸器の製造などにより巨額の利益を手にしています。

 研究者としての立場から、私が非常に危惧しているのは、研究者たちの研究動機のことです。多国籍企業から現在資金提供を受けていたり、過去に資金提供を受けた経験があったりする研究者たちの研究動機が気になってしまうのです。その多国籍企業が、パンデミックが広まることで、医療産業複合体の利益を拡大しようとしている利益団体だからです。しかしインドにおいては、多面的な視点からバランスのとれた構図をつかむことが非常に重要なのです。私はすべての科学者に慎重な研究を求めます。というのも、私自身、研究への資金援助の経験があるから言えるのですが、研究への資金援助というのは、非常に政治的なのです。

 私は非常に慎重な手法を好んでいます。モデリングではなく証拠に基づいたデータ分析の方が肌にあっているのです。特に、わからないことが多く、交絡変数が多くなる可能性のある分野のことについて研究している時は、その手法の方がいいと思います。今まで、数学的モデルが、米国、英国そしてEUにおいて使われてきましたが、その手法では、多すぎる数値を結果としてはじき出し、ほとんど信頼できないものだということがわかってきました。このようなまちがったモデリングを作った責任者たちには、多額の支援金を給付する利益団体から資金援助を受けてきた経歴があります。このような利益団体の目的は、数値をつりあげることで、恐怖を煽ろうとすることです。

 今のところ、ワクチン接種後の副作用による障害(突然死も含めて)についての話が、地元メディアや、Telegram上のSNSなどで広まり、コメントがつけられたりしていますが、全国放送のTVではあまり報道されていません。人々は、全国規模の大手メディアは政治的な影響を受けた報道を行っているものとして、信頼していません。政府の公式発表に反対するような意見を表明する記者たちは、国家の敵であると見なされたり、治安維持法違反とされる危険があります。インドの自主研究者のインドアーイシャ・パトナイク氏はこんなことを書いています。「インド人の言論の自由を擁護する憲法があるのに、国家が市民の意見を押さえ込むために、治安維持法が利用されている」と。
 以下はその文書から私が引用した箇所です。「活動家や、知識階級などで政府に異論を持つ人たちを“反国家主義者”だと見なすことがだんだんと普通のことになってきています。そして治安維持法が、その際大きな役割を果たしているのです。治安維持法や、国家主義を持ち出した治安維持法に関する議論というのは、この国の人権や市民生活を直接犯すものです。特にインドのベイル・ブリー社は、治安維持法は自由や表現の権利を侵害しているという記事を出しています。人権活動家たちが常々この治安維持法の標的になっています」

 このような複雑な状況を説明する際、はっきりしていることは、インドでどの勢力にも傾いていない中立な記事を手にすることは、ほとんど不可能だということです。(それはたぶん他のどの国でも同じですが)。インドの人々は、このことを理解していて、目にする情報をあまり信頼しません。それよりも、村の噂話や、Telegramのような検閲を受けないSNSからの体験に基づく情報を共有するほうを好んでいます。 ご想像の通り、このような状況は大きな問題を生む危険性をはらんでいることは確実です。

  (5) グローバル・ノースの国々と比べて、インドではなぜワクチン接種をためらう人が多いのでしょうか?インドの人々は過去にどのような苦い経験をしてきたためにこのような状況になっているのでしょうか?例を挙げてもらえませんか?

 ワクチン接種をためらう気持ちは様々です。北部のビハール州では、地方部において接種率は低くなっています。それは接種後すぐに副作用が出たり、死に至る事件が報じられているからです。宗教的な理由のせいで受けない人もたくさんいます。それは、ワクチンの成分が動物由来のものだと考えているためです

 また、南部のタミル・ナードゥ州からの情報によれば、ワクチンを接種しない理由が、親戚のお年寄りが接種後に副作用が出た場合、そのお年寄りの世話をするために仕事に行けなくないからだ、という人がたくさんいるとのことでした。
 インドの労働者の80%が日雇い労働を基本とする非公式経済に従事しており、これまでの都市封鎖措置のせいで多額の借金を抱えています。副作用が出た際にその治療をする金銭的な余裕がないという理由だけで、接種をしない人もたくさんいます。その人たちは、病院で呼吸器系ウイルスの治療を受けるよりも、民間療法や、インドの伝統的医療行為であるアーユヴェーダの方を好んでいます。

 インドの「プリント」紙の記事によれば、「タミル・ナードゥ州では、高学歴の家庭や安定した健康保険に加入している人たちの間でも、ワクチン接種をためらう風潮が蔓延している」とのことで、総人口のたった6.31%が1回目の接種を行ったに過ぎず、160万8046人(割合にして2.11%)しか、2回目の接種を受けていないそうです。
 COVIDワクチンに対して不信感をもつ空気が蔓延している理由の一つとしてその記事があげていたのが、タミル地方で人気のある俳優だったヴィヴェックさんが先月亡くなったことです。ヴィヴェックさんは、ワクチン接種の広告費をもらっていて、亡くなる1日前にワクチンを打っていました。そして4月17日に心不全で急死したのです。

 口からポリオワクチンを接種する計画の中で、子どもたちがポリオを発症した事例も複数報告されています。その数は数百人に上るそうです。それでも関係機関は、危険性よりも利益を優先しているようです。

 インドでのヒトパピローマウイルスのワクチンであるガーダシルの臨床実験計画においても、人権侵害行為がありました。インドに両ワクチンを売ったのは二社でした。1社目は、アストラゼネカ社でした。この会社は多くのヨーロッパ諸国で、ワクチン接種後に血液凝固が起こるとして禁止されたワクチンを作っていた会社です。もう1社は、インドのワクチン製造会社であるコボワックス社でした。両社ともゲイツ財団から資金提供を受けていました。ゲイツ財団は、ガーダシルワクチンの試用臨床実験にも資金提供していました。 

 2009年に、アーンドラ・プラデーシュ州とグジャラート州は、ヒトパピローマウイルス(HPV)に対応するガーダシルワクチンの研究計画を立ち上げました。そのウイルスは子宮がんの原因になる可能性があるものです。10歳から14歳までの女子が、ワクチンを接種しました。このワクチンを提供したのは、英国のグラクソ・スミスクライン社とドイツのメルク社でした。この計画は米国に本拠地を置く団体のPATH(健康における適切な技術推進のための計画)により設計され、実行され、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から資金提供を受けていました。

 しかし2010年4月に、インド政府はこの計画を打ち切りました。というのは、PATHが、倫理基準から逸脱したことをいくつか行っていることが、人権団体からの報告で広く知られることになったからです。しかしすでにその時点までの試用期間中に、24000人の女子がワクチンを打っていて、7名が亡くなっていました。ワクチンを打った多くの女子は、不可触民階級出身者や、先祖が不可触民であった人たちでした。

 国会特別委員会の調査によりわかったことは、ガーダシルワクチン接種後の追跡調査が、起こった副作用の全ては報告していなかったという事実でした。臨床実験において追跡調査を行うことは、接種後の障害や、反応を正確かつ迅速に特定するために不可欠です。 この計画は、インドの人々の健康に利益をもたらすために始められたはずでした。それなのに2013年8月、第2回国会特別委員会は、PATH計画を厳しく非難しました。その結論は、「この計画の唯一の目的は、HPVワクチン製造業者が商業的利益を増進させることだけであり、我が国のUIP計画(包括的予防接種計画)内の取り組みも含めて、HPVワクチンの入手がうまくいけば、これらの業者は多額の儲けを手にしていたことだろう」というものでした。(「健康と家庭の福祉」大臣署名、第72次健康研究省報告、7.13段落)

 リンク先のサイト「サイエンス・マグ」の記事によれば、3回1セットのHPVワクチン接種一回につき、州や国が150ドルを支払っていたとのことです。以下は記事からの抜粋です。

 「HPVに対応するガーダシルワクチンを製造しているメルク社と、同じくHPVに対応するサーバリックスワクチンを製造しているグラクソ・スミスクライン社が、ほぼ600万ドルに相当するワクチンをPATHに寄付していたという事実は、‘’慈善活動ではない‘’とインドで影響力のある医学誌「メディカル・スペシャリティ」誌の月報の編集者であるチャンドラ・グルハチ氏は書いている。 “米国の団体であるPATHが、こっそりとインドに拠点を置こうとしているやり口には驚かされる‘’と、グルハチ氏は主張している。さらに、“これは明らかにインド国民を人体実験の対象にしようという行為だ‘’と、ニュー・デリーのサー・ガンガ・ラム病院の消化器系の専門医であり、ナショナル・メディカル・オブ・インディア誌の名誉記者でもあるサミラン・ナンディ氏も批判している」

 つまりこのようなよくない先例があるので、インド市民の中には、新しいワクチンの危険性についての懸念が高くなっているのです。そして、今回のCOVIDワクチン計画に、ガーダシルワクチン計画の時と同じところから資金提供がなされている点も、警戒心が高まっている理由のひとつなのです。これらの要因が、ワクチン接種をためらう風潮を高めているのです。

 (6)あなたはワクチン接種に関する今の緊急事態をどうご覧になっているのか、教えていただけませんか?単に人々からの切実な要求に応えているだけなのでしょうか?それとも、現状はどうしてもワクチン接種を推し進めたい勢力からの要求が関係しているのでしょうか?(インドでは、何億もの人がワクチン接種の対象になります)。そして、インドの状況が他の国々の教訓になることはありますか?

 多くの国においては、症例数の増加と、ワクチン接種の推進が並立して起こっています。そしてインド政府を批判する多くの人々が主張しているのは、ワクチン接種後の障害が広まっているせいで、病院の病床数が不足しつつあるということです。しかも、そのことは大きく報じられていません。
 さらに、一回目のワクチンを接種した後の数日間は、体内の免疫系が低下しているという実例もかなり出てきています。また、ワクチン接種後に、市中のウイルスに接触した際、 COVID-19のADE(抗体依存性感染増強)が発生することを懸念している科学者たちもいます。 このようなことは、インドに限ったことではありません。英国の「UK Column News」でも、これらの件について追跡調査を続けています。
 私は、インド在住の知り合いからワクチン接種後の障害についての話をたくさん耳にしましたし、亡くなった方々や、マヒや脳卒中などの深刻な副作用が出ている人々もいると聞いています。そのようなことについては、地方のメディアでは取り上げられているようで、その後SNSのTelegram上で拡散されているようです。

 再度先述したヨハン・テングラ氏の話に戻りますが、テングラ氏によれば、PCR検査を受ける人々や、誤診された人々や、軽い症状なのに早く診察を望んでいる人々のせいで、病床数が切迫して、本当に病床が必要な人々に回せなくなっている、とのことです。 さらにテングラ氏は、酸素の供給不足について触れ、この不足状況もまずい政策が引き起こしたものであると非難しています。具体的には近年酸素の輸出を増やしたせいで、酸素が必要となる緊急事態の時に必要な予備が不十分になってしまったことについて、です。 テングラ氏によると、インドにおけるCOVID-19の致命率(症状が出た人のうち亡くなった人の割合)は昨年は3%を超えていましたが、今は1.5%以下に落ちているそうです。感染致命率については、もっとずっと低く、血清抗体検査によれば、0.05%~0.1%の間になるとのことです。

 他の国々でもインドの様子とほぼ同じのようです。というのも他の国々でも感染致命率が、インフルエンザ並に落ちていますので。
 
 (7) (農民たちの抗議活動のような)政治的な運動はCOVID緊急事態の影響をどのように受けていますか?モディ首相は、何百万もの人々にとって正しいことをして満足するという方法を取らずに、この危機にどう対処するつもりなのでしょうか?モディ首相の対処法は、あなたが現地で始められたフードバンクなどの取り組みにどのような影響を与える可能性がありますか?

 この質問は、私には答えるのが難しい質問です。というのも、今はインドにはいませんし、フードバンクはクラウドファンディングで、相互援助の救援活動であり、地域のボランティアが支えている活動ですので。政府とは全く無関係なのです。 

 農民たちが、COVID危機によりこれまでの運動をやめている訳ではないことは、私はよく知っています。農民たちの抗議キャンプも存続していますし、炊き出し活動も続いています。農民たちが、これらの炊き出し活動により、病院に食料を届けていることも知っています。またバスや電車の駅で、この危機の中、医療のために移動する人々や、職探しをしている人々にも食料を提供していることも知っています。
 農民たちはコロナウイルスの危機を理由に、抗議活動を止めるよう要請されています。一方、大規模な政治的な集会や、宗教的な集会は許可されています。 しかし、農民たちは自分たちの主張を曲げようとはしていません。企業が食料生産を牛耳ることを認めた、彼らの言う「暗黒の法律」が廃案になるまでは、彼らは闘い続けるでしょう。
 
 モディ首相は、新世界秩序(new world order)におけるインドの役割について、公式表明を出しています。その世界新秩序は、モディ首相によれば、この世界的流行の後に出現する世界の形だとのことです。
 さらに同首相は、この先10年は、第二次世界大戦後の10年と同じくらい非常に重要な10年になるだろうと発言しました。その上でモディ首相は、第二次世界大戦後とは違い、「我が国は、無言の傍観者でいるつもりはありません」と語っています。つまり首相は、グローバリストたちの言っている「世界の再起動(Great Reset)」 計画や、第4次産業革命のもとでのステークホルダー資本主義を完全に支持するつもりなのです。
 農民たちの抗議活動は、このような風潮に立ち向かい、農業活動の初めから終わりまで、すべてを企業がトップダウン方式で支配する体制から、零細農家たちを守ろうとしています。企業は、種から収穫物の値段を決めるところまですべてを牛耳ろうとしているのですから。
 もちろん、「世界の再起動」や「より良き復興」政策を推し進めているグローバリストたちも、世界規模で毎年行われようとしているワクチン接種計画や、世界で通用するワクチンパスポートなどに依存した世界規模の感染症対策を推し進めているものたちです。 そして西側諸国の政府はこの方向性を支持しています。国内での市民たちによる反対運動は強まっていますが。
 もしかしたらインドでの主要な政治的闘争はすでに終わっているのかもしれません。二大政党である、インド国民党と、インド人民党のどちらも、インドを世界の「新しい通常」に従う方向に導くだろうからです。両党からは、この「新しい通常」という計画への異論は全く見えません。このような状況は、世界の大きな経済界でも同様のようで、インドだけが例外ではありません。
 私たちは今、世界規模の階級闘争に直面しているのです。そして支配者層の第一目標は、中流階級を破壊して、奴隷的な身分に落とし込めることのようです。

 この記事を読んで、私が関わっている「フードバンク」についてもっと知りたい、あるいは寄付をしたい、あるいは寄付をしてもいい、と思われた方は、以下の「ちょっとした寄付を」のリンクをクリックしてください。インドでは、ちょっとした一歩が、千里の道に繋がります。私たちは、少ないですが1家族につき週5ポンドを給付したり、ストリートチルドレンに暖かい食事を提供したりという活動を行っています。よろしくお願いします。




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