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密室で謀議する巨大ウイルス:ワクチン製造会社には、さらなるコロナ流行の拡大が必要だ

<記事原文 寺島先生推薦>

The Giant Virus in the Room: Corporate Vaccine Makers Need More Pandemics to Grow

Cubasi 2020年5月25日

ダディ・シェリー(Dady Chery)

Dady CheryはWe Have Dared to Be Free:Haiti's Struggle Against Occupation(2015)の著者。彼女はハイチ生まれ。2010年のハイチ地震の前は、理系の仕事に従事していたが、地震で人生の大転換を迎え、それ以降はハイチの文化と歴史、声なき人びとの声を届ける仕事をしている。シェリーが2010年に登場するまでは、ハイチに関する英語情報・ジャーナリズム・ストーリーは、ほとんど植民地主義的欧米人ジャーナリストによって支配されていた。

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2020年7月6日





 疫病の数やワクチンに関連した疾病の数が増えるにつれ、製薬会社が受ける恩恵はますます大きくなり、製薬会社の成長速度もさらに速くなる。

 製造されることになっているCOVID-19ワクチンで製薬会社が大儲けの準備を目論んでいるなかで重要なことは、とりわけワクチンが今や賢い投資先だと考える人たちや、よく分からないまま退職後の蓄えをそのようなワクチンに投資してしまうかもしれない人たちにとって重要なことは、「製薬会社こそ事業を拡大して自分たちのためだけにお金を儲けようとしているウイルスなのだ」という事実を思い起こすことだ。そんな製薬会社が事業を拡大する「やり口」というのは、疫病のさらなる蔓延に向けてワクチンをさらに増産することなのだ。次の流行は自然に起きるかもしれないし、人為的な小さなひと突きで起きるかもしれない。

影でたくらんでいる連中が示す予定表

 一般の人びとは最近、絶え間なく繰り返されるニュース報道に脅迫され、いわば疲弊状態だ。想定されているワクチンが臨床試験の第Ⅰ相または第Ⅱ相に入るというニュースだとか、ワクチンは(と言っても、充分に多様なワクチンが迅速かつ失敗なしに開発できればという前提ではあるのだが)私たちをマスクや社会的距離から解放するだろう見通しだ。これは逆に言えば、ワクチンなしには永久に解放されないぞという脅迫でもある。
 
 保守系の頭脳集団であるアメリカン・エンタープライズ公共政策研究所の「予定表」によると、(じつは、その予定表作成に当たった人の中には、アメリカ食品医薬品局FDA長官を辞めてしまっている悪名高い二人の人物、スコット・ゴッドリーブやマーク・マクレランもいるのだが)、社会的距離をやめることができるのは、病気の危険性を軽減する手段(そのなかにはワクチンも含まれる)が普及したときだ。そこでいよいよワクチンの出番だ。もし、顔をマスクで覆うのをやめ、新しく知り合った人と握手し、友人や初めて会った人とダンスを踊ったり、誰かに投げキッスを送ったり、もっと密接に交流したいと願うのであれば、 ワクチンを受けたという証明書が必要になるのだ。

*スコット・ゴッドリーブ:トランプ政権2017~19年4月までFDA長官。在任中は新薬承認の簡素化を提唱し、記録的な数の治療法や薬品を承認した。しかし従来の麻薬性鎮痛薬の10倍という効果を持つ強力な新薬を承認した際には、公共保健より業界の利益を優先させたとして批判を受けた。

スコット・ゴットリーブFDA長官



*マーク・マクレラン:クリントン政権1993-2001年では経済政策財務次官補、子ブッシュ政権では大統領経済諮問委員会の委員、2002-4年にFDA長官、2004-6年にメディケア&メディケイドの長官、2004年に避妊薬禁止をめぐって現在も訴訟が進行中。2007年にはレーガン・ウダル財団の会長に就任。これはFDAとの官民提携財団。昨年だけでも2度も来日して講演をしている。

 しかし、こんな命令を発する権限を持っている人たちは、現在もまだ政府の内部にいるわけではない。彼らは天下りで民間の研究所に身を移し、今や民間人でありながら、そこからいろいろな命令を発しているのである。

 健康への世界的脅威はコロナウイルスではない
 市や州や国の公的医療部門は、ワクチンを求めてはいない。にもかかわらず今や公的医療機関はワクチンを強要されている。まるで非営利機関であるはずのCEPI(感染症流行対策イノベーション連合)に乗っ取られてしまったかのようだ。

 というのは、CEPIは、「もっと安全な世界のための新しいワクチンを」というジョージ・オーウェル風の目標を掲げているからだ。となると、こう質問したくなる。「もっと安全って、誰にとっての?」と。

 CEPIという団体は、「ダボス会議2017」という国際会議の隙間時間の、たった1時間の議論においてつくりだされたものだ。(原文は2016年となっていたが2017年が正しい、訳注)
この議論に参加していたのは以下のとおり。
①ビル・ゲイツ
②ウエルカム・トラスト財団の理事長、ジェレミー・ファラー
③6大ワクチン製造業者(グラクソ・スミスクライン社、メルク社、ジョンソン&ジョンソン社、サノフィ社、武田製薬、ファイザー社)の最高責任者たち
④ノルウェー首相
⑤その他おそらく15名の個人
(ウエルカム・トラストはアメリカ出身の製薬長者サー・ヘンリー・ウェルカムの財産を管理するため、1936年に設立された世界で二番目に裕福な医療支援団体、訳註)

Jeremy Farrar, co-author of the concept of CEPI, and board member

 ドイツやインドや日本の代表者もその会議に参加することになっていたが、その年、アンゲラ・メルケル首相は招待を断り、インドのナレンドラ・モディ首相も同席していなかった。日本の首相も同席していなかった。

 このCEPIというカバル(陰謀団)で選出された元首たちは、明らかにビル・ゲイツや巨大製薬会社の下僕となっている。
(カバル:もともとユダヤ教のカバラを語源とする言葉、訳注)

 この政治的陰謀団の究極目標というのは、ただ単にワクチンを製造して大儲けしようということだけではない。それだけではなく、ワクチン製造の規制撤廃を世界的におこなうことであり、世界の公的医療を支配することによって世界全体を支配することなのである。
 
 国連の専門機関であるWHO(世界保健機関)は、その基金の75%を巨大製薬会社やビル&メリンダ・ゲイツ財団から受け取っている。そのためWHOは、CEPIのこのような「世界支配をもくろむ」という筋書きの中においては、CEPIの単なる手足と成り下がってしまっている。つまり発展途上国にワクチンを接種させることを、欧米諸国のおこなう「援助」と結びつける役割を果たす。
(* 英国とアフリカに拠点を置くNGOによると、この援助はアフリカを略奪する「援助」のことである。欧米諸国はアフリカに毎年約300億ドルを開発援助として提供しているが、その6倍以上の金額が大陸を離れ、援助提供国に送られている。https://www.africaw.com/how-western-foreign-aid-destroys-africa、訳注)
 
 WHO事務局長のテドロス・アダノムが、ゲイツ基金の気前の良さを享受し始めたのはエチオピアの保健大臣時代のことであった。そのお金で彼はゲイツ基金の企みと一蓮托生となったのだ。他方、WHOの副事務局長ブルース・アイルワード(たぶん彼がWHOの実質的権力を握っている人物)も、かつてゲイツが支援していたポリオ根絶運動に取り組んでいたことがある。
 
 だからと言って間違ってはいけない。CEPIの目論みは、世界医療の分野においてWTO(世界貿易機関)と同じ地位に自分を置くことなのだから。世界貿易においてWTOが占めているのと同じ地位だ。

CEPIの狙いは、軍事的作戦であり、世界規模の作戦だ
 
 CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)はすでに7億5000万ドル以上のお金を集めている。それだけのお金があれば圧倒的な影響力を持つことができる。CEPIは、さまざまな国の軍隊と深い関係を結んでいる。

 たとえば、CEPI事務局長のリチャード・ハチェットは、次のような役職を歴任してきた。

 2005年から2006年まではホワイトハウス国土安全保障会議の細菌戦防御政策の責任者
 2005年から2011年まではアメリカ国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の放射能対策研究および緊急事態準備部の副部長
 2011年から2016年まではアメリカ生物医学先端研究開発局(BARDA)の軍医および副所長
 BARDAはアメリカ保健福祉省(HHS)内の「(感染症)事前準備・対応担当次官補局(ASPR)」の一部門である。CEPIから資金提供を受けた幾つかのワクチン計画は、BARDAやDARPA(アメリカ国防高等研究計画局)や米軍エイズ研究プログラムからも支援を受けている。


Richard J. Hatchett, CEO of CEPI from 2017

 2020年1月、CEPIは、COVID-19のワクチンを開発する三つの共同事業体に資金提供すると発表した。しかしこれらの共同事業体との連携は、この発表の前から既にいくつかおこなわれていた。たとえばかなり前のことになるが、2018年の4月にCEPIはイノビオという会社に5600万ドルを提供し、新型コロナウイルスの旧型MERSコロナウイルスのワクチン候補を数種類も入手して、第Ⅱ相臨床試験に入っていた。イノビオ社の主な協力会社は、北京アドワクチン生物技術社である。
 
 2019年1月、CEPIは 1060万ドルをひとつの共同事業体に提供したが、その事業体には、クイーンズランド大学および、オーストラリアや米国やアジア各国の官民提携機関も含まれており、ワクチン設計に必要な「分子クランプ(留め具)*」と呼ばれる新しい方法の開発を目的としていた。
 
 2019年12月には、CEPIは840万ドルをインペリアル・カレッジ・ロンドン大学に寄付し、同大学はRNAワクチン*の動物実験をおこない、同時に第Ⅱ相の臨床試験にまで作業を進めた。インペリアル・カレッジ・ロンドン大学の研究者たちは、新型コロナウイルス・ワクチンの動物実験をなんと2020年の2月にはすでに始めていたと大いに自慢している。しかし、新型コロナウイルスのゲノム結合があきらかになったのは、2020年の1月10日だったはずだ!!
 
 この文脈の中でもう一つ興味深いのは、インペリアル・カレッジ・ロンドン大学が、「社会的距離」という政策を強力に推し進め、国民の恐怖心を煽りたてたニール・ファーガソンの本拠地だということだ。彼は「社会的距離」を国民に強制している期間中に、超美人で既婚者でもある女性を自宅に引き入れたことが暴露され、世間の顰蹙(ひんしゅく)を買った。


 (彼は、イギリスの緊急事態科学諮問グループSAGE委員会の政府アドバイザーを務めていたが、この女性を少なくとも二度は自宅に引き入れたという不祥事により、5月5日に政府アドバイザーとしての地位を辞任している、訳注)

FDA(アメリカ食品医薬品局)がワクチンを異例の迅速承認

 FDAがワクチンを承認する手続きは、CEPIの参加企業にたいしては順調に進められた。当然のことながら、そのCEPI参加企業がワクチンの臨床試験をおこなう最初の企業になったからだ。今までもFDAは、CEPI子飼い企業の計画に「迅速承認」というお墨付きを与えてきていた。そして、前の段階の臨床試験がまだ終わってもいないうちから、次の段階に進むことを許可している。

 生命工学の会社であるモデルナ社を例に取ってみよう。同社はCEPIから不透明な基金を受け取っており、BARDAから約4億8300万ドル、さらにはDARPAからも同様に基金を受け取っている。医療に従事した経験がないにもかかわらず医学者になりたがっているビル・ゲイツや、さまざまな軍人畑の人たちに、同社が売り込んでいるのは、同社のワクチン製造のやり方、「基本的骨格」が、さらに別の多くのワクチンを作ることにも応用できるという点だ。しかし、この方法も危険を伴う可能性がある。というのも、その方法には細胞の中に「ウイルス伝令RNA」を組み込む過程が含まれており、このことだけでも副作用を引き起こす恐れがあるからである。
 
 この「ウイルス伝令RNA」は、その後、ワクチンを接種された人の細胞の表面に新型コロナウイルスの突起状蛋白質を、ある不特定期間つくりだす動きをすると考えられている。この種のワクチンは、まだ動物実験さえも実施されていなかったのに、モデルナ社は、3月中旬に健康な45人のボランティアの被験者に第Ⅰ相の臨床試験を始めることを許可された。
 
 さらにおかしいことには、6週間後、同社は600人がボランティアの被験者となる臨床試験の第Ⅱ相に進むことを申請したのだ。そして、その申請は承認された。とくに臨床試験の第Ⅰ相の追跡調査は何か月もかけておこなわれるべきものなのだが、それすら終わっていなかったにもかかわらず。
 
 このようにワクチン製造の予定を早めたり、製造規模の拡大を次から次へと提案する中で、同社の株価は急上昇した。

 イノビオ社も同様の軌跡をたどった。同社の予想される新型コロナウイルスのワクチン臨床試験の第Ⅰ相は、4月3日に開始された。同社は、被験者にミリグラム単位でDNAを注射し、そのDNAを特許で保護された装置で弱毒化させたうえで、被験者の細胞の中にそのDNAを注入する。突起状蛋白質の情報を運んでいるDNAがどのようにして細胞核に到達するのかはまだよく分かっていない。もしそのDNAが細胞のどこかにとどまっているとしたら、その細胞はそのDNAが本来存在する場所ではないのでウイルスと見なされ、免疫をつくるどころか全く逆の反応を引き起こす可能性がある。そのDNAが細胞核まで到達したら細胞のさまざまな箇所に侵入し、がんを引きおこしかねないからだ。

大手メディアが方向性を決める

 大手メディアは、科学の知識がないのにそれを補う努力をしようともせず、大衆をあっと言わせるような報道ばかりを繰り返し再生産して自己満足している。そして時には、ワクチン製造会社あるいはその資金提供者たちが書いたとはっきりわかるような記事を発表している。
 
 そのような記事はまた、査読をうけた論文全文をきちんと読んだものではなく、論文冒頭につけられた論文要旨の短いコメントであったり、『サイエンス』誌や『ネイチャー』誌などといった有名医学誌の編集後記の、単なる受け売りにすぎない。
 
 このように、自分の記事を一流の科学誌と関係づけることで、大手メディアはうわべの信頼性を得るだけではなく、その結果、大衆科学誌によって自動的に拡散されることにもなる。
 
 そのような記事はどれも、たいがい、想定されているワクチンが効き目が確かだとか、そのワクチンは必ずや大量生産されるはずだといった明るい見通しに焦点がしぼられている。だが実際のところは、COVID-19の元祖コロナウイルス、すなわちSARSコロナウイルスが発生して既に18年もたっているというのに、そのSARSコロナウイルスにうまく対応するワクチンすらまだ開発されてはいないのだ。また、いわゆる新しいワクチンへの取り組みの多くは、SARSコロナウイルスやMERSコロナウイルス用に作られたが失敗に終わったものの焼き直しにすぎない。

免疫について本当に分かっていること

 報道機関が伝えていない、あるいは自信を持って伝えることが出来ていないことは、哺乳類の免疫体系が、まだよく分かっていないということだ。もしメディアに関わっている人たちのほとんどが生物学の入門授業を受けたことがあったのであれば、突然新しいウイルスの流行が蔓延したからと言って、その臨床試験のために、いきなり大規模な人体実験が組織されるというニュースには、大きな疑問を抱くのではないだろうか。

 以下は、2014年12月に『自然免疫学』誌に発表された学術報告からの引用だ。

 「呼吸器系のウイルスに対して現在認可され一般的に受け入れられているワクチンは、インフルエンザ・ワクチンだけであるが、それでさえも最適のものではない。ワクチンが不足している一因は、呼吸器系のウイルス感染を防御する免疫反応について、分かっていることが限られているからだ。多くのばあい、感染防御に関する基本的な相互関係ですらまだ正確には明らかにされておらず、ワクチンが標的とするはずの最も適切な抗原が何なのかについても、まだ不明のままだ。動物をモデルにしたものはたいてい人間の治療に対しては不十分だ。とりわけ、深刻な伝染病・感染症で最もリスクが高い人びと(つまり幼児や高齢者)についての研究が最も困難である。加えて、ワクチンはしばしば、子どもや高齢者の免疫体系に対して効果が少ない」

 以下の引用は、2020年5月13日の『ネイチャー』誌581号の316頁に公表された、ある査読論文についての注釈からだ。

 「この発見は、TASLが、TRIFやMAVSやSTINGといった蛋白質とともに、アダプター蛋白質という閉鎖的グループの一員であることを明らかにしたものだ。これらの四つの蛋白質はともに、核酸を感知することによって引き起こされたⅠ型インターフェロン(ウイルス抑制因子)の反応を制御する。TASLが、TLR7やTLR8やTLR9の信号伝達をつなぐ未知のアダプターであるという発見によって、今ようやくアダプター蛋白質の全体像が見えてきたという状況だ」
 
 私なりの翻訳はこうだ:「今週になって初めて、ヒトの初期免疫反応における四人の主要な役者が発見された! それは新しく特徴が特定されたTASLと呼ばれる蛋白質で、この蛋白質は、感染した細胞が、細胞内に存在すべきではないウイルスの存在を感知したとき活性化するものだ。この発見のおかげで、今日まで科学者を悩ませきた免疫反応の重要な部分が明らかになった。

感染との初期の闘い:コロンバイン高校を襲った銃乱射事件の恐怖を例えとして

 ウイルス感染をわかりやすく表現しようとすれば、コロンバイン高校を襲った銃乱射事件の恐怖を例に取るのがよさそうだ。殺人的なファシスト集団が学校を乗っ取ったあの事件だ。わかりやすくするために、このグループは特定されやすく認識されやすい制服を着用し入れ墨を入れているとしよう。当該高校が侵入を察知し、自動的に警察に連絡が入る。
 
 肺の中の細胞は、高校が警察に連絡を入れたように、Toll受容体(TLR)と呼ばれる蛋白質に信号を送る。これらの蛋白質が警報を鳴らすのは、細胞核外の細胞分画内で本来なら存在すべきでないDNAやウイルスのRNAなどの遺伝物質を感知したときだ。つまり、病原体の存在を認識したときだ。細胞内では、これらの細胞分画は、エンドソームやエンドリゾソームと呼ばれている。

 高校の例に戻ると、侵入に対して最初に対応するのは、地元の警察官だろう。肺の中でいうと、肺には肺独自の免疫細胞があり、この免疫細胞の反応がインターフェロン反応あるいは抗ウイルス反応と呼ばれている。もしこの反応がうまくいけば(健康な人にとっては、たいてい上手くいくのだが)、それ以上何もする必要はない。終わりだ。

 しかし、もし殺人集団のうちの何名かが警官をかいくぐり、同じ地区にある他の学校に侵入するとしよう。警察は、おそらく狙撃兵やマシンガンや催涙ガス手榴弾をもつ特殊部隊、あるいは爆弾ロボットを所持する警察部隊を呼ぶだろう。もともと体内に備わっている、言い換えれば肺にもともと存在する免疫体系が、これら全ての部隊に当てはまる。その免疫体系には、先ほどの引用で述べたアダプター蛋白質にSOSの信号を送ることも含まれており、そのひとつひとつのアダプター蛋白質が、攻撃がエスカレートする際は対応を次の段階へ進めることを許可する。

 このばあい、爆弾ロボットに当てはまるのが炎症反応なのだが、それはウイルスに対してだけではなく肺の大部分を破壊する。少数の破壊者と多数の学生がいる学校で爆弾ロボットを使うのは、言うまでもなく、取れる対策をすべてやりきった後のことだ。しかし、もしその破壊者たちが警官と特殊部隊の連絡方法を断ち切ったとしたら、どうすればいいのだろうか?

 同様に、COVID-19の実行者、すなわち新型コロナウイルスを含むコロナウイルスは連絡経路を絶つことができる。そういった事態は、初めての感染で、しかも特に激しい感染の際に起こる。とりわけ、老人への感染や肥満とか呼吸器系の問題、あるいは心臓や血管の病気をもつ人たちへの感染だ。私がいま説明したのは、免疫の専門用語を最小限に抑えた言い方で言うと「生得的(innate)免疫反応の初期段階」となる。この文脈で言えば、生得的(innate)」というのは、「該当する内臓」すなわち「肺の生得的免疫反応」のことになる。

ワクチンが答えとはならない

 私たちが知っている全ての血清抗体は、適応免疫系と呼ばれる後期の反応の一部として作られる。その抗体が作られるのは、ウイルスに攻撃されているあいだに連絡経路をしっかりと機能させ続けることができた人の体内においてだ。その結果うまれた反撃は、広範囲にわたるだけではなく、侵入してきたウイルスを無効化するよう特定化されたものだ。さらに、人体は、その反撃の記録を保持する。これは、破壊者と破壊者の入れ墨を詳しく記述しているFBIの記録と同じようなものと言っていいだろう。そのおかげで、FBIは、数か月後あるいは数年後に再び同じ破壊者が現れたとき、即時に認識できるかもしれないのだ。
 
 問題が一つだけある。それは、破壊者たちは制服や入れ墨を変えることが出来るということだ。すべてのワクチンは基本的にこういった後から出てくる反応に対処するようになっている。これは、ウイルスによる攻撃にたいして抵抗する準備を、個々のワクチンにさせるためである。しかしワクチンというのは、どれだけ予想される対処法や準備が洗練されていたとしても、ほとんど全てのばあい侵入してきた病原体の一つの特徴しか認識できないように製造されている。いわば、破壊者を認識する情報が、入れ墨だけで他にはないようなものだ。新型コロナウイルスのばあい、突起状蛋白質やその一部が、ワクチンによる攻撃の的となる。ところが、その突起状蛋白質が、ウイルスの中で最も変わりやすい部分であることもよくあることなのだ。

ワクチン受けても「過反応」が出たら、お終い!

 ワクチン臨床試験のためといって、大規模な人体実験がおこなわれている。可能なかぎり全てのものが人間に注入される。ボランティアの被験者は、仕組まれた宣伝に煽られて、今やワクチン製造業者や軍隊よりもCOVID-19のほうを恐れているからだ。
そのように体内に注射されるものの中には、以下のようなものが含まれるだろう。

 不活化された新型コロナウイルス、
 変異されたり弱毒化された型の新型コロナウイルス(これは鼻から注入される)、
 新型コロナウイルスの突起状蛋白質、
 突起状蛋白質の細片(大きかったり小さかったり色々ある)、
 突起状蛋白質を製造する無害のバクテリア、
 突起状蛋白質を製造するよう再設計された無害のウイルス、
 表面に突起状蛋白質が見えている粒子、
 突起状蛋白質の遺伝信号を指定する環形DNA、
 突起状蛋白質やその一部の遺伝信号を指定する線状DNA、
 突起状蛋白質の遺伝信号を指定するmRNA、変形mRNA、さらには別の蛋白質だけでなく突起状蛋白質の遺伝信号を指定するRNA、このRNAは、更なるRNAや突起状蛋白質をつくりだす。

 このように挙げていくと、ほんとうに切りがない。

 今までのところ企業は、ワクチン製造のために使用する突起状蛋白質がどの型なのかを正確に公表することすら、してきていない。実際、医療実験をおこなうこと以外は、何ひとつ公表していない企業は幾つもある。

 新型コロナウイルスSARS-CoV-2(現在はCOVID-19と呼ばれている)にたいするワクチンを接種すると、そこから先に進めない結果が出てくる可能性がある。つまり、病気の「抗体依存性感染増強ADE」、すなわち過反応が起こるかもしれないということだ。わかりやすく言い換えれば、そのワクチンが接種されると、次回のコロナウイルスに遭遇したとき、健康だった人が生命に関わるような炎症反応を引き起こす可能性があるということだ。

 今のところADE(過反応)を確認していると報告しているのはたった1社、中華ワクチン生命工学社だけだ。これは、米国の相手企業と提携して、新型コロナウイルスを不活化させたワクチンをつくろうとしている中国企業だ。

 ADE症候群は、ウイルスに抗するワクチンを接種した後に出る反応として、今ではよく知られた症例だ。有名な例を挙げると、1960年代後半、不活化RSウイルス(呼吸器系発疹ウイルス:RSV)でつくったワクチンを子どもに実験投与したところ、子どもをウイルスから守れなかっただけではなく、死者が二人も出た。さらにウイルスに感染した80%の子どもが、入院が必要な呼吸器系の重い病気を発症した。

 ADE(過反応)はネズミや他の動物においても見られてきた。これは、SARS-CoVを不活化してつくり出されたワクチンを投与して、コロナウイルスに免疫がついたと思われる動物だった。SARS-CoVが、新型コロナウイルスSARS-CoV2(すなわちCOVID-19)に一番近いウイルスだということを思い出して欲しい。だとすると、今後、予想されるコロナウイルスの流行に対しては、ワクチンを打って免疫がついたと思われる人と比べて、ワクチンを打っていなかったりウイルスに接触したことのない人の方が、病気に対してうまく対処する可能性が高いということだ。

ヒドロキシ・クロロキンの出番だ

 TASLと呼ばれる新しいアダプター蛋白質は、今週になって初めてその姿がわかってきた。TASLが、サルート・キャリアー15A4(SLC15A4)と呼ばれる別の蛋白質と結合することが発見されたのだ。この蛋白質は、全身性エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)その他の自己免疫疾患の発症に不可欠なものであるということは以前からずっと知られていたのだが、それが今ようやく、なぜこの蛋白質がこの疾患の発症に必要なのかの理由が分かってきた。それは、おそらくTASLとSLC15A4 との相互作用が炎症反応へとつながる通路であるからなのだろう。前節で触れた爆弾ロボットの話を覚えておられるだろうか?これが、その爆弾ロボットの働きに当たる。

 ヒドロキシ・クロロキン(HC)が偶然にも全身性エリテマトーデスという病気に長年のあいだ使われてきた理由は、HCが炎症反応を抑える働きがあると知られていたからだが、詳しいことは分かっていなかった。SLC15A4という蛋白質もまた、エンドソームという「細胞分画」の酸度を維持するのに重要だ。そのエンドソームの酸度をある程度まで抑える効果があるのがヒドロキシ・クロロキン(HC)であるということは、先にも述べたように、よく知られていた事実だったが、TASLの発見によって初めて、やっと今そのメカニズムが見えてきた。
(訳注:エンドソームについては、先にコロンバイン高校の事件を例えにしながら下記のように述べられていた。「肺の中の細胞は、高校が警察に連絡を入れたように、Toll受容体(TLR)と呼ばれる蛋白質に信号を送る。これらの蛋白質が警報を鳴らすのは、細胞核外の細胞分画内で本来なら存在すべきでないDNAやウイルスのRNAなどの遺伝物質を感知したときだ。つまり、病原体の存在を認識したときだ。細胞内では、これらの細胞分画は、エンドソームやエンドリゾソームと呼ばれている。」) 

 抗生物質アジスロマイシンも、エンドソームの酸度を抑える働きがあると報告されていた。つまりヒドロキシ・クロロキン(HC)がもつ効果と同じものなのだ。ということは、ウイルスがエンドソーム内に侵入して成長する際、細胞分画のなかの酸度が十分高くないということになる。するとウイルスは、分画内に閉じ込められて完全に破壊される。だから、ヒドロキシ・クロロキン(HC)は、廉価であり長年のあいだ使われてきた薬品なのだが、コロナウイルスに感染したとき、二つの決定的でかなり総合的な効果をもたらす。一つは、ウイルスを攻撃することであり、もう一つは、免疫反応が危険に至るような過反応になることを抑えることだ。

 サルート・キャリアー15A4(SLC15A4)という蛋白質が、全身性エリテマトーデスという疾患を引き起こすことに関連があるにもかかわらず、驚かされることは、この新しい論文を書いた著者が、新しいアダプター蛋白質TASLを含む蛋白質系に関してヒドロキシ・クロロキン(HC)の治療効果を臨床試験にかけていないことだ。しかし、この臨床試験をやってその結果を発表したいと希望する人は、『ネイチャー』誌で自由に発表出来ることになっている。だから将来、このジグゾーパズルのピースが埋まるのは確実だ。しかし物事には何でも時機というものがある。そして製薬会社がそんなにまで急いでいることは驚くべきことでも何でもない。つまり、すべての人が恐怖状態に陥っているこの好機を決して逃すまいとしているということなのだ。

今後の証言として残しておくために

 これまでワクチンの実験台にされている人種で一番多かったのは、褐色人種や黒人の子どもたちだった。たとえば、インドやバングラディッシュやベトナムやメキシコやハイチの子どもたちだった。しかし、現在おこなわれている実験の規模はそうとう大きく、したがって西側諸国の市民たちも実験台として狙われるに違いない。

 この点に関して、すべての人を恐怖状態に陥れておくことは確かに役に立つ。ワクチンの最大の市場は、かつては米軍であったが、それとて変わる可能性がある。加えて、一般民衆は怯えさせ病気状態にしておけば、はるかに扱い易い存在になるだろう。そのうえ、気候変動は、ひとびとの住処を奪ったり飢餓に陥しいれたりして、ストレス誘発条件をますます悪化させることになる。感染者数やワクチン関連の病気の数が多くなればなるほど、さらに製薬会社の儲けが増え、それにつれて製薬会社のさらなる急成長につながるだろう。

 私がこの記事を書いたのは、記録としてきっちりと残しておくためだ。この業界に関与したり投資したりしている人に、あとになって「何がおこなわれているか知らなかった」と言わせないためだ。他方、それ以外の人たちには、この暗黒の未来を変革する可能性はまだ残されてはいるものの、チャンスに後ろ髪はない。事態を座視・傍観している時間は限られているということを、肝に銘ずるべきであろう。


<訳注> アメリカFDA(食品医薬品局)は、抗マラリア薬のヒドロキシクロロキンを新型コロナウイルス感染症の治療薬として緊急使用許可を出していたが、6月15日、この許可を取り消して、まったく効果が実証されていない(それどころか深刻な副作用が懸念されている)レムデシビルに緊急許可を出した。たぶん巨大製薬会社からの圧力の結果であろう。それにたいする反撃として、この論文が書かれたのであろうが、キューバで開発され安価かつ中国で大きな効果を上げたインターフェロンα2Bについて全く言及していないのが残念である。また日本政府も国産のアビガンを投げ捨ててレムデシビルの早期承認に踏み切った。まさにアメリカのプードル犬である。

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