「香港デモ」と「インドデモ」の相違:
「香港デモ」にはアメリカのてこ入れがある。
<記事原文>寺島先生推薦 Hong Kong, India & hypocrisy: The two protests look similar, but only one is a lever in US’ power play
Nebojsa Malic
RT-Oped 2020年1月7日
<翻訳 寺島メソッド翻訳グループ n-o> 2020年2月3日
インドと香港での抗議行動は一見似ているかもしれないが、それらに対する西側の反応は根本的に似ても似つかないものだ。ちょと穿ってみれば、そこには岩盤のように強固な「人権」とか「民主主義」についての偏見がある。
5月以降、香港という中国の自治領を揺るがした抗議行動と、ここ数週間のインド周辺での抗議行動には、表面的な類似性がある。 両方とも、表面上は法律の改正のため始まった。 香港の場合は犯人引き渡し条例の改正、インドの場合は市民権法改正だ。 どちらの場合も、デモ隊は公共の財産に火をつけ、ソーシャルメディアとテクノロジーを駆使して運動を組織し、学生を活動の原動力とした。 デモ隊と警察の両方で死傷者も出ている。
もう一つの共通点は、抗議行動が誤った情報に一部起因しているように見えることだ。 香港の犯人引き渡し条例は、香港という自治都市での「民主主義の終わり」を意味するということにすぐに誤解された。 インドでの市民権修正法案(CAB)も同様に、インドのイスラム教徒に悪影響を及ぼし、ヒンドゥー教徒だけを優遇すると誤解された。どちらも真実ではない。
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香港は、1997年に中国に返還されるまでイギリスに支配されていた。 インドもイギリスに支配され、1947年に自由を勝ち取ったが、暴力を伴う分割の動きがあり、現在のパキスタン、バングラデシュの創設があり、それが今日の混乱の舞台を設定することになった。
これらの類似点はすべて、真実ではあるが、パターンが必ずしも存在しない場合でも、何かしらのパターンを見つけたがる人間の傾向を示している。 結局のところ、学生というのは、世界中ほぼどこでも社会の中で最も不満を抱く傾向があるし、今の世の中で、抗議を組織するためにテクノロジーを使用しないものはいないだろう。 西側メディアが、何も知らない遠い場所について、自国の偏見に満ちたプリズムを通して眺め、間違った情報を流すことは日常的なことだ。驚くべきことではない。
香港とインドでのデモを区別できるものもたくさんある。 ひとつは、インドでは、一部の覆面をした香港のデモ隊のように、アメリカやイギリスの国旗を持ち歩く者は一人もいない。 もう1つは、提案された条例改正が撤回されたにもかかわらず、香港の騒動は衰えずに続いていることだ。つまり、条例改正は、単なる口実であり、原因ではなかったということだ。 デモ隊が掲げるスローガンに始まり、西側メディアと西側政府の「香港騒乱」への反応に至るまで、それは「カラー革命」(訳注:2000年ごろから旧共産圏諸国で起こったCIA主導の政権交代劇)が眼前で進行しているという印象をどうしても拭い切れない。
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対照的に、インドでは、抗議運動は純粋に「市民権法改正」のことが動機となっているように見える。(敢えて言えば、それを誤解しているのではあるが)。その誤解があるから、この問題があっという間に武装化してしまったのだ。インドの政治家がそうだし、インド政府と対立する周辺諸国もそうだ。 しかし、そしていくぶん決定的に重要なことは、これまでこの問題に関与することを控えてきた唯一のプレーヤーが、ワシントンであるということだ。
確かに、米国国際宗教自由委員会(USCIRF)はインドでの「宗教的暴力」を非難し 、ナレンドラ・モディ首相に新しい法律について「懸念を表明する権利を行使する者に対する武力行使を停止する」よう求めたが、インドの国務省は、これまでのところ、アメリカからのけしかけには従っていない。 実際、パキスタンを宗教の自由に関する「ブラックリスト」に載せたことで、米国務省はかえってインドとパキスタンをある同意に至らせることになってしまった。それは、「アメリカは内政干渉するな」という同意だ。
しかし、このような干渉は、12月の初めに米国議会が採択し、ドナルド・トランプ大統領が署名した「香港人権と民主主義」法とは比べものにならない。インドの「市民権法改正」が、主流メディアが言うように、本当にひどいなら、両者は同列に扱われないのか
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ああ、しかし、米国は現在、中国との冷戦を追求していて、北京の政治的、経済的、軍事力の成長と、「アメリカは世界の覇権国」という一般に認知されていることが危機にさらされそうなことを懸念している。 アメリカは、インドを、中国と同規模の脅威とは見なしていないし、インドには中国との未解決の紛争があるから、アメリカの潜在的な同盟国と捉えている。
その結果、インドに関しては、米国政府とその「人権」団体は、自由、民主主義、人権、宗教的自由などを「評価する」というリップサービスをする一方で、敵国として指定された国に対する、制裁、ボイコット、関税、政権転覆作戦といった「とどめの矢」を温存している。 美徳を掲げたり、モラルのポーズを取ったりはするが、結局は力がすべてなのだ。
Nebojsa Malic
RT-Oped 2020年1月7日
<翻訳 寺島メソッド翻訳グループ n-o> 2020年2月3日
インドと香港での抗議行動は一見似ているかもしれないが、それらに対する西側の反応は根本的に似ても似つかないものだ。ちょと穿ってみれば、そこには岩盤のように強固な「人権」とか「民主主義」についての偏見がある。
5月以降、香港という中国の自治領を揺るがした抗議行動と、ここ数週間のインド周辺での抗議行動には、表面的な類似性がある。 両方とも、表面上は法律の改正のため始まった。 香港の場合は犯人引き渡し条例の改正、インドの場合は市民権法改正だ。 どちらの場合も、デモ隊は公共の財産に火をつけ、ソーシャルメディアとテクノロジーを駆使して運動を組織し、学生を活動の原動力とした。 デモ隊と警察の両方で死傷者も出ている。
もう一つの共通点は、抗議行動が誤った情報に一部起因しているように見えることだ。 香港の犯人引き渡し条例は、香港という自治都市での「民主主義の終わり」を意味するということにすぐに誤解された。 インドでの市民権修正法案(CAB)も同様に、インドのイスラム教徒に悪影響を及ぼし、ヒンドゥー教徒だけを優遇すると誤解された。どちらも真実ではない。
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香港は、1997年に中国に返還されるまでイギリスに支配されていた。 インドもイギリスに支配され、1947年に自由を勝ち取ったが、暴力を伴う分割の動きがあり、現在のパキスタン、バングラデシュの創設があり、それが今日の混乱の舞台を設定することになった。
これらの類似点はすべて、真実ではあるが、パターンが必ずしも存在しない場合でも、何かしらのパターンを見つけたがる人間の傾向を示している。 結局のところ、学生というのは、世界中ほぼどこでも社会の中で最も不満を抱く傾向があるし、今の世の中で、抗議を組織するためにテクノロジーを使用しないものはいないだろう。 西側メディアが、何も知らない遠い場所について、自国の偏見に満ちたプリズムを通して眺め、間違った情報を流すことは日常的なことだ。驚くべきことではない。
香港とインドでのデモを区別できるものもたくさんある。 ひとつは、インドでは、一部の覆面をした香港のデモ隊のように、アメリカやイギリスの国旗を持ち歩く者は一人もいない。 もう1つは、提案された条例改正が撤回されたにもかかわらず、香港の騒動は衰えずに続いていることだ。つまり、条例改正は、単なる口実であり、原因ではなかったということだ。 デモ隊が掲げるスローガンに始まり、西側メディアと西側政府の「香港騒乱」への反応に至るまで、それは「カラー革命」(訳注:2000年ごろから旧共産圏諸国で起こったCIA主導の政権交代劇)が眼前で進行しているという印象をどうしても拭い切れない。
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対照的に、インドでは、抗議運動は純粋に「市民権法改正」のことが動機となっているように見える。(敢えて言えば、それを誤解しているのではあるが)。その誤解があるから、この問題があっという間に武装化してしまったのだ。インドの政治家がそうだし、インド政府と対立する周辺諸国もそうだ。 しかし、そしていくぶん決定的に重要なことは、これまでこの問題に関与することを控えてきた唯一のプレーヤーが、ワシントンであるということだ。
確かに、米国国際宗教自由委員会(USCIRF)はインドでの「宗教的暴力」を非難し 、ナレンドラ・モディ首相に新しい法律について「懸念を表明する権利を行使する者に対する武力行使を停止する」よう求めたが、インドの国務省は、これまでのところ、アメリカからのけしかけには従っていない。 実際、パキスタンを宗教の自由に関する「ブラックリスト」に載せたことで、米国務省はかえってインドとパキスタンをある同意に至らせることになってしまった。それは、「アメリカは内政干渉するな」という同意だ。
しかし、このような干渉は、12月の初めに米国議会が採択し、ドナルド・トランプ大統領が署名した「香港人権と民主主義」法とは比べものにならない。インドの「市民権法改正」が、主流メディアが言うように、本当にひどいなら、両者は同列に扱われないのか
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ああ、しかし、米国は現在、中国との冷戦を追求していて、北京の政治的、経済的、軍事力の成長と、「アメリカは世界の覇権国」という一般に認知されていることが危機にさらされそうなことを懸念している。 アメリカは、インドを、中国と同規模の脅威とは見なしていないし、インドには中国との未解決の紛争があるから、アメリカの潜在的な同盟国と捉えている。
その結果、インドに関しては、米国政府とその「人権」団体は、自由、民主主義、人権、宗教的自由などを「評価する」というリップサービスをする一方で、敵国として指定された国に対する、制裁、ボイコット、関税、政権転覆作戦といった「とどめの矢」を温存している。 美徳を掲げたり、モラルのポーズを取ったりはするが、結局は力がすべてなのだ。
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