■ 第30節オランダのエールディビジの第30節。8勝12敗9分けで勝ち点「33」のユトレヒトが、ホームでVVVと対戦した。VVVは7勝18敗4分けで勝ち点「25」。ユトレヒトは13位で、VVVは16位。エールディビジは、最下位(=18位)になると、二部に降格となって、16位と17位のチームは入替戦に回ることになる。VVVは2月上旬から4連勝を果たしたが、現在、5連敗中で、降格の危機にある。
ホームのユトレヒトは「4-3-3」。GKファン・ダイク。DFファン・デル・マーレル、スフット、ヴァイテンス、ブルトハイス。MFアサレ、ファン・デル・フン、ロドニー・スナイデル。FWデュプラン、デムージュ、高木善朗。昨年の夏に東京Vから移籍のFW高木善は3試合連続スタメン出場。左ウイングで起用された。インテルのウェズレイ・スナイデルの弟のMFロドニー・スナイデルは中盤で起用された。
対するアウェーのVVVは「4-3-3」。GKヘンテナール 。DFティミセラ、フォルステルマンス、デ・レフト、レイワカベシ。MFメイウヴィス、吉田麻也、マグワイア。FWベルフハイス、ウチェボ、ヴィルトシュット。日本代表のMF吉田麻也はボランチでスタメン出場。FWカレン・ロバートはベンチスタートとなった。
■ ユトレヒトが残留に前進試合は前半9分にアウェーのVVVが先制する。ロングボールのこぼれ球を拾ったMFマグワイアが中央を突破してからループシュートを決めて先制する。さらに、前半20分にも、VVVのFWウチェボが個人技からミドルシュートを決めて2対0とリードを広げる。しかし、前半29分にユトレヒトは左サイドでフリーキックを得ると、FW高木善の上げたボールのこぼれ球をDFブルトハイスが決めて1点を返すと、さらに前半36分にもFW高木善の右コーナーキックからFWデムージュが決めて2対2の同点に追いつく。前半は2対2で終了する。
追いついたユトレヒトは、後半13分にも左サイドでボールを受けたFW高木善が中央に切れ込んでからスルーパスを出すと、FWデムージュが左足で決めて3対2と逆転に成功する。FWデムージュは今シーズン4ゴール目となった。さらに、後半38分にもFW高木善のスルーパスを受けたFWゲルントが左足で決めて4点目を挙げる。連敗を止めたいVVVは後半19分にFWカレン・ロバートを投入するが、シュートチャンスを作ることはできず。結局、FW高木善が4ゴール全てに絡む活躍を見せたユトレヒトが4対2で勝利。残留に大きく前進した。一方のVVVは6連敗となった。
■ FW高木善朗が全ゴールに絡むユトレヒトは、0対2とリードされたが、FW高木善が4ゴール全てに絡む活躍を見せて、4対2で逆転勝利を飾った。1点目と2点目はセットプレーからのゴールで、3点目と4点目はスルーパスからのゴールだったが、FW高木善のキック精度の高さとアイディアが生きたゴールシーンとなった。
ユトレヒトは3トップで、FW高木善は左ウイングで起用されている。オランダのチームというと、ウイングの選手がタッチライン際にポジションを取って、そこからドリブルで仕掛けてチャンスを作るパターンが多くて、中盤で複数人が絡んでパスワークで崩すプレーは、あまり見られない。FW高木善の場合、運動量が武器の選手で、味方とうまく絡んでチャンスを演出するタイプなので、オランダのサッカーとの相性は良くないように思うが、アシストという結果を残していて、ユトレヒトでも地位を確立しつつある。
個人技のある選手が揃っていることもあって、FW高木善がボールをもらう動きを見せても、いいタイミングでパスが出てこないシーンも多いので、なかなかボールに触ることができない時間帯もあったが、フリーでボールを受けることができると、他の選手には真似できないようなパスを出すことができる。アシストが記録された3点目と4点目のゴールは、ともに左サイドでボールを受けて、中に切れ込んで味方選手にスルーパスを送ったが、ともに最高のタイミングのパスで、似たような形でのゴールとなった。
前述のように、FW高木善の動きの量の多さや、動きの質の高さをフルに生かそうとするなら、エールディビジはあまりいい環境とは言えないように思う。ただ、ウイングで起用されているため、縦に突破するプレーも求められるので、個人技を磨くには、適した環境とも言える。2列目のアタッカーは、昨今の日本では、もっとも人材が豊富なポジションで、東京Vでプレーしていても、レギュラーポジションを確保するのは簡単ではなかった。19歳という年齢でオランダに渡ったことに対しては、賛否両論あったが、海外で働き場を見つけて、活躍できるのであれば、問題はない。
■ ボランチのMF吉田麻也一方のVVVのMF吉田はボランチでの出場となった。ユースの頃は、ボランチでプレーすることも多くて、プロの世界で、ボランチで勝負するのか、センターバックで勝負するのか、議論されたこともあったので、不慣れなポジションではない。したがって、前半はうまくボールを受けて、パスをさばいて、まずまずのプレーを見せた。しかし、後半になると、判断が遅くなって、危険なエリアでボールを失うシーンが増えて、ブレーキになってしまった。
エールディビジは、「4-3-3」のチームが多くて、中盤の人数が少ないので、中盤でプレッシャーがかからずに、あっさり、ボールを運ばれるケースが多い。したがって、MF吉田のような選手をボランチで起用して、「中盤でフィルター役になることを期待したい。」という監督の考えは理解できるし、試みとして面白いと思う。
日本代表では、センターバックで起用されているので、センターバックとしての経験を積むことも大事だが、VVVのような下位のチームでは、センターバックでプレーしていても、得られるものは少ない。今後、どういう起用方法になるかは分からないが、現状では、ボランチの方が、試合で得られるものは多いのでないだろうか。
また、FWカレン・ロバートは、後半途中から出場した。後半13分に2対3となる逆転のゴールを許して、VVVの選手のモチベーションが下がってしまったので、難しい状況でピッチに投入されたが、動き自体は悪くはなかった。FWカレン・ロバートの場合、背番号「10」を与えられて、クラブから期待されているので、今シーズンの結果に関しては、物足りないところもあるが、ゴール前に絡んでいくシーンを増やして、ゴールやアシストといった結果を残すしかない。
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