■ ヨーロッパリーグ開幕CLに続いてELも開幕。昨シーズンはCLでベスト4に入ったドイツのシャルケは、イスラエルのマッカビ・ハイファ、ルーマニアのステアウア・ブクレシュティ、キプロスのAEKラルナカと同じグループに入っている。実力・実績ともにシャルケが圧倒しているので、GLは首位で通過したい。
シャルケは、GLの初戦はアウェーでステアウア・ブクレシュティと対戦で、システムは「4-2-3-1」。GKフェーマン。DF内田篤人、ヘヴェデス、マティプ、フクス。MFパパドプロス、ホルトビー、ファルファン、ラウル、マリカ。FWフンテラール。
■ スコアレスドローで終了試合は、実力優位のアウェーのシャルケがボールを支配して攻め込むが、ステアウア・ブクレシュティは、引いて守ってスペースを消したため、シャルケも攻めきれない。右SBで先発のDF内田は、MFファルファンとのコンビでサイドを崩しかけるシーンもあったが、サイドもスペースはあまり無かったので、効果的な攻撃参加はできない。
0対0で折り返した後半も、同じような展開になる。シャルケは後半20分にDF内田のヘディングでの落としからMFファルファンが右サイドの裏に飛び出してFWフンテラールにクロスを入れるが、FWフンテラールのシュートはクロスバーに直撃してゴールならず。
90分を通して最大のチャンスを逃したシャルケは、MFドラクスラー、MFバウムヨハンを投入するが大きな効果は得られず。最後は、アウェーということもあって無理をして攻めることなく終了。0対0の引き分けで、ともに勝ち点「1」を獲得した。
■ 両チームとも見せ場は少なく・・・基本的には、ボールを支配し続けたシャルケだったが、週末にブンデスリーガのバイエルン戦を控えていることもあって、イレブンのテンションは上がらずに、見どころの乏しい試合となった。対戦相手のステアウア・ブクレシュティも、グループ内でもっとも力のあるシャルケが相手ということもあって『勝ち点「1」でも十分』という考えだったのか、攻撃は前線の2・3人に任せきりだった。
CLと違って、ELの試合になると「グレード」も落ちるので、選手はモチベーションを保つのは難しくなる。ホームゲームになると、たくさんのサポーターが後押ししてくれるだろうが、アウェーゲームの場合、テンションを上げていくのは難しい。相手の攻撃意識が高いときは、それに乗せられてパフォーマンスが高まっていくことも考えられるが、ステアウア・ブクレシュティのようなサッカーになると、難しい試合になってしまう。
ELも、グループ2位までに入れば、次のステージに進むことができるので、「シャルケ相手にドローで十分」というステアウア・ブクレシュティの気持ちも理解できるが、「シャルケ戦」ということで、ステアウア・ブクレシュティというチームへの注目も高まっていたので、もっといいサッカーができれば、「クラブ」をアピールできたと思うが、ノーインパクトに終わってた。その点は残念だった。
■ 攻撃が機能せず一方のシャルケは、相手が引いて守ったこともあって崩し切れなかった。クロスの本数は、それなりに多かったが精度が低くて、シュートまでつながったクロスはほとんどなくて、決定機も3・4回程度だった。
シャルケは、バイエルン戦を控えていることもあって、少しメンバーを代えてきたが、左サイドハーフで先発したMFマリカが波に乗れず、機能しなかったことも痛かった。ルーマニア代表のMFマリカは、リーグ戦は途中出場が続いており、先発のチャンスはなかったので、母国での試合でアピールしたかったが、こちらもノーインパクトに終わった。
また、センターフォワードのFWフンテラールも、いいプレーは見せられなかった。中央でポストプレーなどをこなして攻撃の軸になってほしい選手であるが、「ゴールを狙うプレー」以外は苦手にしているので、存在感を発揮できない試合が多い。彼が中央でボールを受けてくれると、MFラウルも生きると思うが、二人がいい連携を見せるシーンはなかった。
■ DF内田は先発フル出場第4節のボルシアMG戦以来のスタメンとなったDF内田は、右サイドバックで先発フル出場。攻守とも「そこそこ」の出来で、大きなミスもなかったが、大きな見せ場もなく、90分を通して無難なプレーをみせた。
もっとも惜しかったのは、後半20分に右サイドを走ったMFファルファンにヘディングでパスを送って、FWフンテラールの決定的なシュートを演出したシーンだったが、FWフンテラールが決められずに先制ゴールとはならなかった。
今シーズンは、年下でドイツ人のDFヘーガーにポジションを奪われる形になっているが、サイドバックというポジションなので、「自分が、自分が。」というプレーをしても逆効果になるので、状況を変えていくのは、なかなか難しい。
ただ、シャルケのメンバーは、GKフェーマンが正GKになったことと、左SBにDFフクスが入ったことと、MFホルトビーがチームに戻ってきたことくらいで、大きな変化はないので、コンディションさえ維持しておけば、「いきなり先発」となっても「やりにくさ」はないだろう。
残念ながら、ラングニック監督がどういう考えを持っているのか?また、DFヘーガーとDF内田の二人をどう評価していているのか?については、詳しく分からないが、シャルケは、中盤でうまく攻撃を組み立てることができない点が弱点になっているので、DF内田の持つ「ゲームメイクの力」はチームに必要だと感じるが・・・。
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