■ 第2戦アルゼンチンで開催されているコパ・アメリカのグループリーグの第2戦。初戦でボリビアと対戦して、1対1のドローに終わった開催国のアルゼンチンがコロンビアと対戦。コロンビアは初戦でコスタリカに1対0と勝利して、勝ち点「3」を獲得し、グループ首位に立っている。
アルゼンチンは「4-3-3」。GKロメロ。DFサバレタ、ガブリエル・ミリート、ブルディッソ、サネッティ。MFマスチェラーノ、カンビアッソ、バネガ。FWラベッシ、メッシ、テベス。ベンチには、FWイグアイン、FWディエゴ・ミリート、MFパストーレ、FWアグエロ、FWディ・マリアらワールドクラスのタレントが控える超豪華メンバーである。
対するコロンビアは「4-1-4-1」。ポルトのヨーロッパ・カップ制覇に大きく貢献し、ワールドクラスのストライカーとなったFWファルカオに注目が集まる。ポルトガルリーグでは、22試合で16ゴールを挙げて、FWフッキに次いで得点ランキングで2位となっている。
■ スコアレスドロー試合の序盤はホームのアルゼンチンが勢いよく攻め込んでいくが、コロンビアはカウンターでチャンスを作る。前半19分には、素早い攻守の切り替えから右サイドを崩し、最後は、左からのクロスをゴール前でフリーになったMFラモスが合わせるがシュートミス。絶好のチャンスを逃してしまう。
さらに前半26分にも、DFガブリエル・ミリートのミスパスを奪ったMFラモスがゴールに突進。GKもかわしたが、カバーにきたDFブルディッソに倒されてシュートは打てなかったが、こぼれ球がドフリーのMFモレノに渡る。MFモレノは「ゴールに流し込むだけ」という状況だったが、まさかのシュートミスで、またしても、大チャンスを逃してしまう。
流れのよくないアルゼンチンは、前半34分にビッグチャンスを作る。下がり目の位置でボールを受けたFWメッシが右サイドのFWラベッシに絶妙のスルーパスを送ると、FWラベッシがGKと1対1のチャンスを迎えるが、GKのファインセーブでゴールならず。前半は0対0で終了する。
リズムをつかめないアルゼンチンは、後半になると、FWアグエロ、MFガゴ、FWイグアインを投入。中盤にMFガゴが入ってからは、パスも回るようになって、攻撃の形らしきものを作るようになるが、コロンビアも堅い守備を見せて、決定機までは作れず。結局、試合は0対0で終了。コロンビアは1勝1分け、アルゼンチンは2分け。コスタリカとボリビアの試合は、コスタリカが勝利したため、アルゼンチンはグループ3位となった。
■ 2試合連続ドローアルゼンチンの最大のライバルであるブラジルは、2014年のW杯が地元開催となるため、2014年を見据えて若返りを図っており、まだチームが固まっていない状況なので、今大会は「アルゼンチンが本命」と目されていたが、まさかの2引き分けスタートとなった。
この大会は、グループリーグで3位になっても、決勝トーナメントに進む可能性があるので、最終戦のコスタリカに勝てば問題はないが、アルゼンチンのサポーターの期待するレベルのサッカーができておらず、逆風が吹き始めている。アルゼンチンは、FWメッシ以外にも「世界トップレベル」のタレントが集まっているので、「これだけの選手が集まると、どんなサッカーができるのだろう?」と多くの人が楽しみにしていたが、ここまでは期待外れである。
「FWメッシをどう生かすか?」というのがアルゼンチンの最大のテーマになっていて、バティスタ監督はバルセロナと同じで、FWメッシを3トップの中央に置く布陣を採用し、かなり自由にプレーさせているが、思うような働きはできていない。FWメッシくらいの選手になると、どんなシステムでも、どんな戦術でも、輝きを放つことができそうな気もするが、しっくりきていない。
■ 悪化する攻撃陣アルゼンチンは南アフリカ大会でドイツに惨敗し、指揮官もマラドーナ監督からバティスタ監督に交代。当初は暫定監督という立場であったが、スペインに4対1で勝利し、ブラジルにも1対0で勝利している。調子が上がってきているのかと思われたが、攻撃に関しては、マラドーナ監督時代の方が、まだスムーズだったような気はする。
FWメッシはノーゴールでもノーゴールで、このときもメディアから批判を浴びていたが、(ドイツ戦は別にして、)FWメッシらしいプレーは出来ていて、「なぜか、シュートだけが決まらない。」という状況だったので、個人としてはそれほど悪い出来とはいえなかったが、今回のコパ・アメリカでは、FWメッシも「らしいプレー」が出せずに、窮屈なプレーに終始している。
次は、コスタリカとの対戦となるが、この試合は、すっきりと勝って雑音を封じないといけないが、全く機能していない前線の選手たちを、どのように並べるのかは非常に楽しみで、ベンチスタートになっている選手も豪華なので、いろいろな組み合わせが考えられる。さっそく、FWイグアインのスタメン起用の話が出ているが、確かに、FWイグアインが中央にいた方が、得点の可能性は広がるような気はするが・・・。
■ 良質なカウンター一方のコロンビアは、初戦でコスタリカに勝利しているので、アルゼンチン戦は「引き分けでもOK」という状況だったので、あまり無理はしてこなかったが、鋭いカウンターを武器にした好チームだった。
コロンビアというと、90年代にMFバルデラマを中心としたショートパス主体のサッカーで一世を風靡した強国の1つで、1994年のアメリカW杯では「優勝候補」に挙げる人もいた。MFバルデラマやFWアスプリージャが代表チームを去ってからW杯にも出場できていないが、FWファルカオら若手も育ってきており、相当に力のあるチームに仕上がっている。
チャンスはほとんどがカウンターであったが、決して引いて守っているだけのチームではなくて、意図を感じるカウンターがほとんどで、現時点では、アルゼンチンよりもチームとしては成熟している。
■ 決勝は7月24日震災がなければ、この大会に日本代表が出場していたはずなので、「日本が出ていればどうなっていたか?」という想像もしてしまう。日本代表が出場できなくなったのは残念であるが、レベルの高い試合が多くて、見逃すと後悔しそうな試合が続いている。
ゲストで登場した三浦淳宏氏も、「面白い試合だった。」という感想を述べていたが、全く同感で、攻めあぐねるアルゼンチンに対して、切れ味鋭いカウンターを繰り出してチャンスを作っていくコロンビアのサッカーが爽快で、見ごたえ十分の試合となった。
W杯や五輪の場合は、日本代表が出場しているので、どうしても、日本代表を中心に追いかけなければならなくなって、精神的な余裕もなくなるが、コパ・アメリカとユーロは、よそ様の大会になるので、純粋にサッカーを楽しむことができる。決勝は7月24日に予定されているが、しばらくの間は、楽しめそうだ。
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