■ 第31節リーガ・エスパニョーラの第31節。11勝14敗5分けで勝ち点「38」のマジョルカが、13勝11敗6分けで勝ち点「45」のセビージャと対戦。セビージャは勝ち点「54」でチャンピオンズリーグ圏内の4位・ビジャレアルを追っているが、「9」ポイント差をつけられており、落とせない試合が続く。
ホームのマジョルカは<4-2-3-1>。GKアヴァテ。DFセンドロス、ヌネス、ラミス、アヨセ。MFデ・グズマン、マルティ、家長昭博、テヘラ、ゴンサロ・カストロ。FWヌスエ。リーグ戦で7ゴールを挙げているカメルーン人のFWウェボは出場停止。MF家長はリーグは2試合目のスタメンとなった。
アウェーのセビージャも<4-2-3-1>。FWカヌーテ、MFへスース・ナバスは欠場。コートジボワール代表のFWロマリックがトップ下。スペイン代表経験のあるFWネグレドの1トップ。FWネグレドはリーグ戦で11ゴールを挙げている。
■ 2対2のドロー試合は前半16分にマジョルカが先制する。MFテヘラが中央をドリブルで切り崩して左サイドに走ったMFゴンサロ・カストロにパスを送ると、MFゴンサロ・カストロが左足でファーサイドに柔らかいクロスを送る。これをフリーになっていたMF家長がヘディングで決めてマジョルカが先制する。MF家長はリーガ初ゴール。スペインリーグでの日本人のゴールは、FW城、FW大久保に次いで3人目となった。
セビージャは前半31分に右サイドでボールを持ったDFマルティン・カセレスのスルーパスから裏に飛び出したFWネグレドがペナルティエリア内で倒されてPKを獲得。自ら決めて同点に追いつく。FWネグレドは今シーズン12ゴール目。追いつかれたマジョルカだったが、前半43分にMFデ・グズマンが中央をドリブルで突破して右足でミドルシュートを放つと、これが決まって2対1と勝ち越しに成功。リードして前半を折り返す。
ビハインドのセビージャは後半23分にDFマルティン・カセレスが右サイドからクロスを送る。イージーボールに見えたが、マジョルカのGKアヴァテがファンブルしてこぼしてしまうと、ゴール前に上がってきたMFラキティッチが決めて2対2の同点に追いつく。終盤は両チームともに運動量が落ちて攻め合いとなるが、ともにチャンスを生かし切れず。結局、試合は2対2のドローに終わった。
■ ヘディングで初ゴールマジョルカに完全移籍したMF家長は8試合目の出場で待望のスペインでの初ゴールを記録した。
MF家長はJ1通算では148試合で10ゴール。攻撃的なポジションの選手にしては、かなり寂しい数字が残っており「得点力」のある選手ではない。特に「左足のシュート」は苦手としており、フィニッシュが課題の選手であるが、ヘディングシュートは非常にうまくて、身長は高くないが、ヘディングシュートにはセンスを感じさせる。
2010年のリーグ戦では、30節のモンテディオ山形でヘディングシュートを決めている。結局、このシーズンのヘディングシュートはこの1点のみだったが、シーズン終盤には、ヘディングシュートのコツをつかんだようで、毎試合のように惜しいヘディングシュートを放っていた。初ゴールが「ヘディングでのゴール」というのも、彼らしくてよかったといえる。
■ なかなかボールが回ってこない結局、この試合は後半44分までプレー。先制ゴールを決めたのは良かったが、トータルで見ると「まだまだ」と言ったところであり、ポテンシャルを十分に出せているとは言えない。この試合は右サイドハーフでプレーしたが、思うようにボールが回ってこない時間も長かった。
もちろん、セビージャという強いチームが相手で、攻め込まれる時間が長かったという理由もあるが、MF家長自身にも問題はあって、右サイドでのプレーに慣れていないのか、動きに戸惑いも見られた。さらには、運動量自体も少なかった。右ボランチに入っているMFデ・グズマンと比べると、半分くらいしか動いていないような印象で、動きにメリハリもなかった。
■ ドリブルは十分に通用するそれでも、ボールを持ったときのプレーは圧倒的であり、体のキレは日本時代よりもいいのでは?と思わせるほどで、サイドで1対1になったときは、面白いようにドリブルで抜いていった。「ドリブルはスペインでも通用する。」というのは明らかであり、いい形でボールを持ったら、相手に止められそうな雰囲気はなかった。
問題は、なかなか、そういった「いい形」を作れないことである。この日は、4・5回程度で、せっかくの技術がありながら、見せ場は多くはなかった。
大分トリニータやセレッソ大阪のときは、チームメイトがボールを集めてくれたので、MF家長の運動量が少な目でもボールが回ってきたし、ボールを持ったときは確実に仕事をして評価を高めたが、マジョルカの場合、ボランチのMFデ・グズマンを含めて、技術に自信のある選手が集まっているので、MF家長にパスを渡すという選択肢よりも、自分でドリブルで仕掛けたり、パスを出したりする方が優先される。したがって、本当にいいポジションを取らないと、パスが出てこない。
マジョルカは、<4-2-3-1>というシステムで、選手のポジションは固定されがちなので、好き勝手に動くこともできないが、もう少し運動量を増やしていって、チームメイトからの信頼を勝ち取り、ボールが集まるような状況を作りたいところ。技術的には全く問題はないだけに、そうなると、スタメン定着も見えてくる。
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