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【移籍市場】 2020年-2021年オフの補強ポイントについて考える。 (ザスパクサツ群馬編) | | |　

ザスパクサツ群馬

→　2019年のJ2で2位になって「2017年以来のJ2復帰」を果たした群馬はオフの移籍市場で積極的な動きを見せた。大卒1年目ながら主力として活躍したGK吉田舜(大分)、FW高澤(大分)、DF吉田将(松本山雅)の3人を引き抜かれたのは痛恨だったが、実績のあるFW大前、MF岩上、MF宮阪、MF内田達などを獲得。その上でFW進昂平やDF高瀬やMF白石などJ3で活躍した選手をたくさん獲得。充実した補強が出来た。

「J2の中で最も充実した補強が出来たクラブの1つ」と評価されたが開幕から4連敗と出遅れた。クラブのレジェンドである奥野監督が復帰したこともサポーターの期待値を高めたが攻守が噛み合わなかった。28節を終えた時点で9勝17敗2分けで18位。不本意なシーズンになっているが直近の10試合は5勝4敗1分けとまずまず。遅まきながら調子を上げてきた。0対1で敗れた27節の福岡戦(A)も惜敗だったと言える。

右肩上がりのシーズンになっているが開幕前の期待値を考えるとかなり物足りない順位でシーズンを終える可能性は高い。28試合で44失点というのは少なくない数字になるがより問題なのは28試合で22得点しか奪えていない点になる。22得点というのはJ2でワーストの数字になる。MF田中稔が28試合で6ゴールと奮闘しているが注目が集まったFW大前は21試合で5ゴールのみ。エースとしては不本意な成績である。

CFがほとんどゴールを奪えていないのは誤算である。怪我明けのFW青木翔は19試合で1ゴール。スタメンで起用されたのは6試合のみとなる。中断期間中に獲得したストライカーのFW林陵平にかかる期待は大きかったが25試合に出場してノーゴール。実績や能力を考えると信じられないような成績になっている。1,481分の出場時間を得ているので「チャンスはたくさんもらっている。」と言えるが初ゴールが生まれない。

「全く結果を出せておらず、かつ、期限付き移籍の選手であり、かつ、34歳とベテランのFW林陵平を使わざる得ない状況」というのはいかにも苦しい。2ゴール以上を奪っているのはMF田中稔とFW大前以外では2ゴールのFW進昂平とMF加藤潤の2人だけ。「極度の得点力不足に苦しんで下位に低迷するのも仕方がない。」というしかない。27試合で17ゴールを挙げたFW高澤が流出したのは当然のことながら痛かった。

「新型コロナの影響でJ3への降格がなくなったのはラッキー」と言える状況になっているが昨オフは実績のある選手をたくさん獲得しながら結果を残せていないので今オフは「実績のある選手たち」にとっては厳しいオフになる可能性が高い。「FW大前など実績のある選手をたくさん獲得して昇格1年目のJ2で旋風を巻き起こしたい。」という考えをフロントは持っていたと思うが目論見どおりには話は進まなかった。

チームの平均年齢は27.97歳。J2では7番目に高い数字になる。幸か不幸か、中堅からベテランの選手が多いチームなので、今オフの移籍市場で他クラブのターゲットになりそうな選手はほとんどいない。出場機会に恵まれないFW進昂平、DF飯野、DF光永あたりにはJ2の中規模以下のクラブからオファーが届く可能性はあるが「J1のクラブ or J2の有力クラブからオファーが届きそうな選手はほとんどいない。」と言える。

主力選手の中ではいずれも飛躍のシーズンになったアタッカーのMF田中稔、大卒2年目のDF岡村大、左右のSBをこなすDF小島雅などに興味を示すクラブは出てくる可能性があるが有力クラブがこぞって獲得に乗り出すほとではない。昨オフとは違って「主力の流出に怯える必要性」はほとんどないと言える。奥野監督を1年限りで辞めさせることは考えにくいので「2021年も奥野体制になることは濃厚」と言える。

補強ポイントは少なくないがまずは攻撃陣である。FW大前はセカンドストライカー系の選手なので「軸になれる大型フォワード」は絶対に必要である。また、1試合平均のドリブル数がJ2最少なので「ドリブラー」も必要である。J3では屈指のドリブラーだったMF白石に期待がかかったが9試合の出場にとどまっている。高卒1年目で浦和ユース出身のMF山中惇には期待したいが「まだ時間はかかる。」と考えられる。

ボランチはベテランの域に入ったMF宮阪が軸になったが今年7月にMF天笠を獲得したので希望の光が差してきた。青森山田高出身のMF天笠はMF檀崎やDF三國ケネディエブスやMFバスケス・バイロンなどが同学年になる。高校3年生のときに冬の選手権を制覇しているが「大会の陰のMVP」と称賛された選手である。大学を中退して群馬に加入した後、ベンチ入りの機会すら一度もないが、今後が楽しみな選手である。

DF岡村大のパートナーを固定しきれなかったCBも最優先で補強しないといけないポイントになる。攻守に問題点を抱えているのでやるべきことの多いオフになるだろう。最後に「今オフに群馬が獲得できたら面白いと思う選手」を挙げてみるとCFの選手ではFW宮代(川崎F)、FW山田寛(仙台)、FW小松蓮(山口)など。ドリブラー系の選手ではMF中原輝(熊本)、MF池田昌(福島)、MF和田昌(SC相模原)あたりになる。

CBはDF岡村大が若手なので「経験のあるCB」がベターな選択である。DF金正也(仙台)、DF吉本(清水)、DF乾大知(松本山雅)、DF細川(水戸)などが候補に挙げられる。もう1つの弱点と言えるのはチームの平均身長が174.96センチでJ2の中で2番目に低い点である。170センチ前後の選手が多くてサイズ不足は明らかである。「サイズのあるボランチ」や「サイズのあるSB」や「サイズのあるアタッカー」も欲しいところ。