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【移籍市場】 2020年-2021年オフの補強ポイントについて考える。 (町田ゼルビア編) | | |　

町田ゼルビア

→　大分やFC東京やC大阪などを指揮した経験のあるセルビア出身のポポヴィッチ監督を招聘した町田は特徴的なサッカーを展開している。ポポヴィッチ監督というと「パスをしっかりとつなぐコンビネーションサッカーを展開する指導者」というイメージが強かったが町田では攻守にアグレッシブなサッカーを展開している。攻撃はとにかくシンプルである。手数をかけることなく前にボールを運ぶサッカーを見せている。

「パス数」は17位、「ボール支配率」は18位、「ドリブル数」は21位、「クロス数」は22位、「シュート数」は21位、「枠内シュート」は19位、「30mライン進入回数」は18位、「ペナルティエリア進入回数」は22位となる。「CK獲得本数」も22位なので攻撃に関するスタッツは軒並みJ2の中で下位レベルになるが27節を終えた時点で8勝8敗11分けで勝ち点「35」。13位というのはまずまずの成績と言える。

27試合で28得点/30失点なので「失点の少なさ」が目立つ。当然、GK秋元とDF水本とDF深津のベテラン3人衆の頑張りは称賛に値するがCFのFW安藤瑞など攻撃的なポジションの選手の「守備面での貢献度」も非常に高い。前からボールを追い回して後ろの選手を助けている。「タックル数」は1位で、「インターセプト数」は2位。アグレッシブな守備が出来ていると言える。J2の中ではかなり異質なサッカーである。

「若さとフレッシュさ」も今シーズンの町田の大きな特徴と言える。先の3人はベテランの域に入っているがそれ以外の選手は軒並み若手である。平均年齢はJ2の中で6番目に若い26.48歳になる。2016年は29.32歳、2017年は28.65歳、2018年は27.58歳、2019年は27.64歳だったので昨シーズンと比べても大きくチームは若返った。チームを支えてきたFW中島裕やMF井上裕やMF森村などの出場機会は激減した。

オフの移籍市場では若返りをさらに進めるためにも有望な若手をたくさん獲得したいが「期限付き移籍中の選手が多い。」という点が心配材料になる。ポポヴィッチ監督はメンバーを固定して戦っているがFW安藤瑞、MF吉尾、MF高江、DF小田、DF水本、GK秋元という主力6人がレンタル組になる。他にはGK廣末とDFノリエガ・エリックもレンタル組になるが「彼らをどこまで引き止められるか？」が注目点になる。

主力は6人ともJ1のクラブからの期限付き移籍になるが「6人ともレンタル延長 or 完全移籍で獲得できるチャンスはある。」と考えられる。C大阪のFW安藤瑞、G大阪のMF高江、横浜FMのMF吉尾、鹿島のDF小田の4人は町田で試合経験を積んで大きく成長しているがレンタル元のクラブに復帰しても出番を得るのはかなり難しいと思われる。「継続して経験を積むためにレンタル期間を延長する」というのはあり得る。

広島のDF水本、湘南のGK秋元のベテラン2人については「完全移籍で獲得できる可能性もある。」と言える。広島や湘南も若返りを進めている最中なので積極的に呼び戻さない可能性はある。一方、町田が保有権を持っている選手の中では、やはり、FW平戸とMF佐野海の2人の動向は要注目である。どちらの選手もオフの移籍市場で大きな注目を集めるだろう。「オフの移籍市場の目玉候補」と言っても過言ではない。

高卒2年目で19歳のMF佐野海は本職であるボランチで起用されて大きく飛躍した。相馬監督の頃は左右のSBで起用されることがほとんどだったがボランチで躍動している。「ボール奪取力の高さ」は日本人の若手ボランチの中では随一である。「ボールを奪い切る能力を持ったボランチ」というのは日本には少ないことを考えると大争奪戦になっても全く不思議はない。課題だった攻撃面も着実に成長している。

昨夏に鹿島から加入したFW平戸は27試合で7ゴール3アシスト。攻撃の中心として十分な数字を残している。今シーズンは2トップの一角で起用されているが精度の高い右足のキックはJ2屈指である。サイドハーフでも機能するMF平戸も希少価値の高い選手である。「若手世代の日本人でプレイスキックに定評のある選手」はあまり多くない。MF佐野海と同じく多くのJ1の有力クラブがFW平戸に興味を示すと思われる。

他には堅実な守備が特徴となるDF奥山に人気が集まることも考えられる。「左右のSBをこなす守備能力の高い選手」もかなり貴重である。結局、「来シーズンも町田でプレーする可能性が高い。」と言えるレギュラー組は今シーズンが在籍10年目となるベテランCBのDF深津くらいである。「大幅にメンバーが入れ替わっても不思議はない状況」なので「極めて慌しいオフになる可能性はそれなりに高い。」と言える。

オフの補強は「流出した選手の穴埋め作業」が中心になると思うがとにもかくにも「ポポヴィッチ監督のサッカーに合った選手」をたくさん獲得したい。ともにセルビア出身のFWステファンとMFマソビッチの2人は能力的には非常に高い選手だと思うがスタメンでプレーする機会はほとんどなかった。FWステファンは21試合で1ゴールのみ。スタメンで起用されたのは4回だけなのでポポヴィッチ監督の評価は低かった。

出番が減ったベテランのFW中島裕やMF井上裕やMF李漢宰やMF森村などはチームを離れる可能性がある。「若くて走力があってエネルギッシュなプレーが出来る選手」をたくさん獲得したいがJ2でプレーする選手の中で具体的に名前を挙げてみるとMF藤川虎(磐田)、MF黒川(大宮)、MF森勇人(水戸)、MF浜下(徳島)、MF岸本(徳島)、FW矢村(新潟)、FW山根永(金沢)、FW鈴木国(北九州)、FW韓勇太(栃木SC)など。

シンプルなサッカーを志向するので「ロングボールを蹴ることが出来るCB or SB」も欲しい。シンプルにプレーするのは決して悪くないがロングボールの精度があまり高くないのでFW安藤瑞やFW平戸のところでボールがおさまらないケースは多い。DF深津もDF水本もDF小田もDF奥山も「ロングボールを蹴るのが得意な選手」ではない。DF高山和(山形)、DF中川創(磐田)、DF池田樹(愛媛FC)などが狙い目と言える。