■ マーケットが閉まる直前に・・・。Jリーグは新型コロナウイルスの影響で2月下旬から中断期間に突入している。当初は4月3日(金)の再開を目指していたがプロ野球の開幕延期が正式に決定した。現時点では4月24日(金)の開幕が有力視されており、Jリーグも同じようなスケジュールになる可能性は高い。Jリーグの再開の再々延期はまだ正式には決まっていないが「4月3日(金)の再開を断念した。」というニュースが流れるのは時間の問題と言える。
新型コロナは全ての選手ならびに各クラブに大きな打撃を与えているが2020年のJリーグの「第1登録期間(ウインドー)」の最終日は3月27日(金)になる。例年であれば開幕ダッシュに成功しなかったクラブが他所のクラブで出場機会に恵まれない選手を獲得して戦力アップを図るが今シーズンはイレギュラーである。FW林陵平(東京V→群馬)やDF常田(仙台→松本山雅)の移籍が決まったが確定済みの移籍は限られる。
「移籍可能な期間を変更(延長)しても大丈夫なのか?否か?」はよく分からないが現時点では第1登録期間(ウインドー)の見直しに関する情報は流れていない。「規定通りで3月27日(金)まで」となる可能性が高まっているがあと数日となった。これから駆け込みでいくつかの移籍が実現すると思うが3月23日(月)にMF實藤(福岡→横浜FM)の移籍が決定した。J2のクラブからJ1王者への移籍なので「個人昇格」となる。
事前に移籍の噂は流れていなかったので不意を突かれる形になったが、正直なところ、かなりの驚きである。新型コロナの影響で過密日程になることは確実なので「使える選手は1人でも多く抱えておきたい。」というところはどのクラブにもあるとは思うが一方で全てのクラブは新型コロナの影響で収入減になるだろう。出来る限り、人件費は抑えたいと考えるのが普通。横浜FMが獲得に乗り出したのは意外だった。
■ 31歳なのでベテランと言える年齢DF實藤は2011年に川崎Fに加入した。高知大出身になるが大学4年生のときに五輪代表に選出されており、2010年の秋に行われたアジア大会の決勝戦となるUAE戦で決勝ゴールを決めた選手として知られている。このゴールで一躍有名になったが2015年まで川崎Fでプレーして2016年から福岡でプレーしている。J1でプレーするのは2016年以来。2017年以降はずっとJ2でプレーしてきた選手になる。
「ユーティリティー性が高い。」という点が武器になる。右SBとCBの両方でプレーできるが3バックを採用する場合は左右のストッパーでプレーするケースが多かった。179センチなのでCBとして考えるとサイズに恵まれていないがSBとしては十分すぎるほどのサイズがある。川崎Fでも福岡でも「常時スタメン」というわけではなかったがどのシーズンも準・主力として活躍してきた。2019年の32試合が自己最多になる。
J2の開幕戦となった北九州戦(A)ではベンチスタート。出番はなかったがこのタイミングでの横浜FM行きは全く予想できなかった。近年の横浜FMはDF伊藤槙、MF渡辺皓、DF前貴之、DF山本義、MF杉本竜、MF仙頭、GK梶川などJ2で活躍した選手を積極的に獲得してきたので「J2の選手を獲得して戦力にする。」という点に長けたクラブになるが過去に獲得してきた選手は若手から中堅世代の選手がほとんどになる。
「若くて伸びしろの大きい選手を獲得する。」というのが近年の補強の基本的な方針である。目論見どおりにここ数年でチームは一気に若返ったが31歳のDF實藤の獲得はこれまでの補強の動きとは大きく異なる。30歳を超えている選手がほとんどないチーム編成なので「1人くらいはベテランがいてもいい。」という考え方は出来るが「このタイミングでDF實藤の獲得に乗り出すことを予想できた人」はほぼいないだろう。
■ 移籍金を得ているのであれば・・・。すでに触れたとおり、「右SBとCBの両方でプレーできる選手」になるが身長は179センチである。身体能力は高くてスピードの選手なので横浜FMのハイラインのサッカーに必要とされる「スピードのあるCB」であることは間違いないがJ1レベルで、ましてや、J1王者の横浜FMでCBとしてプレーできる可能性はやはり低い。CBの選手にかかる負担が極めて高いサッカーであることを考えるとなおさらである。
右SBで起用される可能性もあるがこのポジションはオフにDF広瀬陸(→鹿島)が抜けたものの、DF松原健がいて、DF和田拓がいて、DF前貴之もいる。中断期間に突入したので各選手の情報は入りにくくなっているので、もしかしたら、右SBのレギュラー候補となる3人のうちの誰かが怪我をしてしばらくの間、プレーできない状態になっている可能性はあるが普通に考えると右SBの駒は十分すぎるほど揃っている。
J2の山口で素晴らしいプレーを見せて個人昇格を果たしたDF前貴之がベンチに入れないほどである。このタイミングでの獲得となると、当然のことながら、数千万円程度の移籍金が発生していると思うが、「このタイミングでDF實藤を獲得した意図は現時点ではよく分からない。」と言える。不可思議な補強と言えるがそれでも獲得に乗り出したということは何かしらの意図や勝算があるのだろうと推測できる。
一方、2016年以来となるJ1復帰を目指す福岡にとっては「予期せぬタイミングでの流出」になったが右SBはDFサロモンソンとDF湯澤聖がいる。開幕戦ではDF湯澤聖を左SBで起用しているが、左SBにはそもそもとしてDF輪湖が控えている。長谷部監督は4バックを採用する可能性が高いがDF實藤をCBの主力として起用するアイディアが無かったのであれば「とてつもなく大きなマイナス」と言えるほどではない。
福岡も財政的な余裕はあまりないと思うが31歳のDF實藤に対して移籍金ありでJ1のクラブが獲得に乗り出して、かつ、本人もJ1挑戦に前向きであるならば拒む理由は全くない。ある程度の額の移籍金を得ているのであれば「さらに上のレベルの選手を獲得できるチャンスが巡ってきた。」と前向きに考えることは出来る。今シーズンの福岡は本気でJ1昇格を目指しているが福岡にとっては決して悪くない移籍(流出)である。
お知らせ
・ユーチューブを始めました。サッカー中心です。よろしくお願いいたします。
サッカーコラム J3 Plus チャンネル (リスト)
サッカーコラム J3 Plus チャンネル(再生数ランキング) ・・・ ご視聴ください。
第01位 Jリーグの人気チャントのランキング (1位-10位) (2020年版) → 再生数:104,327回
第02位 【J2限定】 人気チャントのランキング (1位-10位) → 再生数:38,638回
第03位 【Jリーグ】 サポーターの応援が凄いクラブ (1位~10位) → 再生数:30,665回
第04位 【Jリーグ】 サポーターが温かいクラブ (1位~10位) → 再生数:24,683回
第05位 【J2限定】 2020年の若手のブレイク候補 (1位~20位) → 再生数:20,067回
第06位 Jリーグの人気チャントのランキング (11位-20位) (2020年版) → 再生数:18,404回
第07位 【国内限定】 サッカースタジアムの評価ランキング (1位-10位) → 再生数:15,918回
第08位 【Jリーグ】 かっこいいと思うチャント (10選) → 再生数:12,531回
第09位 【Jリーグ】 思わず口ずさんでしまうチャント (10選) → 再生数:11,025回
第10位 【Jリーグ】 ユニークな応援をするクラブ (1位~10位) → 再生数:10,894回
- 関連記事
-