■ 上位対決を制したのは大宮アルディージャJ2の35節は10月5日(土)と10月6日(日)に行われた。大きな注目が集まった3位の横浜FC vs 首位の柏の上位対決は後半のアディショナルタイムに途中出場した伏兵のMF草野が劇的な決勝ゴールを決めて1対0でホームの横浜FCが勝利した。横浜FCはこれで17試合負けなし。破竹の快進撃を続けている。MF中村俊やFW三浦知がベンチに控える中、怪我明けのMF草野を投入した下平監督の采配がズバリ的中した。
もう1つの注目カードは6位の水戸 vs 2位の大宮の上位対決だった。両チームの勝ち点差は「3」のみ。水戸が勝利した場合は勝ち点で並んで得失点差で水戸が上回ることになるので水戸は大宮を追い抜くことが出来た。熾烈な2位争いの行方を大きく左右する大一番だったが0対2と追う展開になった大宮が後半に3ゴールをゲットして3対2で逆転勝利。夏に加入したMFイッペイ・シノヅカが逆転劇の主役になった。
ケーズデンキスタジアムには今シーズン3番目となる7,797人のサポーターが集結した。J2のリーグ戦における水戸のホーム戦としては歴代18番目になる。たくさんの観衆が集まった中、前半は水戸が押し込んで、後半は大宮が盛り返した。上位対決にふさわしい熱戦になったが水戸にとってはツライ逆転負けになった。大宮は後半から登場した長身フォワードのFWフアンマ・デルガドが活躍。彼の投入も起爆剤になった。
■ 2位をキープした大宮アルディージャ大宮は2位をキープした。3位の横浜FCと4位の山形が揃って勝利しているので仮にあのまま敗れていたら5位転落となった。自動昇格のチャンスは萎んでしまったが鮮やかな逆転勝利を飾ったことで3位の横浜FCと4位の山形との「2差」をキープしただけでなく、首位の柏との差が「6」まで接近した。11月2日(土)に行われる39節にホームの柏戦が予定されていることを考えると大逆転でのJ2制覇の可能性もゼロではない。
大宮は2017年以来のJ2復帰に向けて弾みと勢いの劇的な勝利となったが対照的に敗れた水戸は夢のJ1初昇格がかなり難しくなった。開幕から無敗で突っ走った水戸はここまでずっと6位以内をキープしてきたが35節にして初めてプレーオフ圏外に転落した。6位の甲府とは全く同じ勝ち点「57」なのでまだまだプレーオフ出場のチャンスはあるがここ4試合で1勝3敗と失速気味。2位の大宮との差は「6」まで広がった。
プレーオフに進むことが出来たとしても勝ち上がって最後にJ1のクラブのホームスタジアムで90分以内で勝利するというのはかなり大変である。現状ではJ1で16位になって参入決定戦に回る可能性が高いのは仙台・鳥栖・湘南・松本山雅あたりになるがどこが来ても大変である。プレーオフを制してJ1に昇格するのはかなり難しいことを考えると何としてでも2位の座を確保したかったが大きな差が付いてしまった。
■ 穴を埋めたFW村田航一だったが・・・。立ち上がりから攻め込んで一時は2対0とリードを奪っただけに余計にショックの大きい逆転負けになるが大宮からの期限付き移籍中で契約上の問題で出場不可だったFW黒川とFW清水慎の2人を欠いたものの水戸の攻撃陣は奮闘した。特に目立ったのは大卒ルーキーのFW村田航になる。21節の金沢戦(A)以来なので約3か月ぶりのスタメンだったが期待に応える働きを見せた。1点目のDF宮大樹のゴールをアシストした。
大きな穴になり得たFW黒川とFW清水慎の穴をFW村田航が埋めてくれたので2対0とリードを奪うことが出来た。最高の展開でハーフタイムに投入したがJ1経験の豊富な大宮は簡単な相手ではなかった。前半は1トップでプレーしたFWシモヴィッチのところでボールを失うケースが目立ったが後半開始からFWシモヴィッチを下げてFWフアンマ・デルガドを投入。こういう起用法が出来るのが今シーズンの大宮の強みになる。
水戸は次節が柏戦(A)になる。2位の大宮に迫られてきた柏にとっても「勝たないといけない試合」になるが水戸にとっても「勝たないといけない試合」になる。柏に敗れて3連敗となった場合は完全に自動昇格争いから脱落することになるが改めて感じるのは「J1初昇格を達成することの難しさ」である。年間を通して大きく落ち込むことなく安定して勝ち点を稼いで初めてJ1初昇格のチャンスが生まれる。シビアである。
■ 次のチャンスはいつになるのか分からない。柏や大宮や横浜FCあたりはJ2の中では資金力のあるチームなので、仮に、今シーズン、J1昇格に失敗したとしてもそこまで選手は流出しないはずである。当然、何人かの選手は抜けると思うが、跡形もなく選手やチームが大きく入れ替わることは考えにくい。ある程度以上の補強も出来る可能性が高いので、もう一度、来シーズン、J1に昇格するチャンスが訪れる可能性が高いが、水戸の場合はなかなか難しい。
J1昇格に失敗した場合、海外のクラブも注目する期限付き移籍のFW黒川を引き止めるのは難しいだろう。磐田からの期限付き移籍となるFW小川航を引き止めるのも難しいだろう。C大阪からの期限付き移籍となるMF福満を引き止めるのも難しいだろう。そして、今シーズンの活躍によって選手としての価値が急上昇しているボランチのMF前寛之や左SBのMF志知あたりは有力クラブに引き抜かれる可能性が高い。
大卒ルーキーのMF浅野雄はすでに今夏に広島に買い取られてしまったが少なく見積もっても半数ほどの主力は抜けることになるだろう。主力の多くを引き止めるためにも「J1昇格」という結果を残したかったが難しくなっている。再度、新しい選手がたくさん入ってきて新しい水戸を作り上げていくことになると思うがこれだけのメンバーが集まるシーズンというのは数年に一度くらいである。千載一遇のチャンスだった。
水戸のクラブ規模はJ2の中でも最低レベルになる。熊本や長野や群馬などいくつかのJ3のクラブよりもクラブ規模は下になると思われるので「この規模でここまでの成績を残している。」というのは称賛に値するが「次、いつ、J1昇格のチャンスが訪れるか?」というと数年先になる可能性が高い。J1未経験クラブは翌シーズンに再チャレンジ出来る可能性が低いので「J1初昇格を果たす。」というのは本当に難しい。
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