■ クラブ史上2度目となる降格の危機2018年の参入決定戦で東京Vを2対0で下してJ1残留を果たした磐田だったが今シーズンも低迷している。20節を終えた時点では4勝11敗5分けで勝ち点「17」。17位と自動降格圏内に位置する。20試合で26失点なのでGKカミンスキーを中心とした守備陣はまずまずの数字を残しているが20試合でわずか14得点のみ。信じられないような成績になる。総得点はJ1でワースト3位。極度の得点力不足に苦しんでいる。
名波監督になって今シーズンが6年目だったがオフの補強は最小限にとどまった。新戦力はFWロドリゲス(ティラスポリ)とFW中山仁(山形)とMF森谷(川崎F)の3人のみ。オフにチームを離れたのも期限付き移籍のMF伊藤洋(名古屋)以外ではMF松浦(横浜FC)のみ。選手の入れ替え自体が極めて少なかった。2018年は怪我のため全休に近かったMFアダイウトンとMFムサエフの完全復活をクラブ側は期待した。
「外国人2人の復活が最大の補強になる。」と言われたが軸になるべきFW川又も長期離脱するなど怪我人が多発。結局、名波監督は17節を終えた時点で辞任を表明してチームを離れることになった。クラブOBの鈴木秀人監督が後任に任命されたが監督交代後は1勝2敗。残留争いの大一番だった19節の松本山雅戦(A)は1対0で勝利したが鹿島と浦和には敗れた。クラブ史上2度目となるJ2降格の危機を迎えている。
■ 今夏は積極的な動きを見せる。危機的な状況になっていることもあって今夏は積極的に動いた。MF中村俊(→横浜FC)は流出となったがFWルキアン(チョンブリFC)、MFエベシリオ(レッドスター)、MF今野(G大阪)、DF秋山陽(名古屋)の4人を獲得した。「この選手は不動のレギュラー」と言えるのは現状はGKカミンスキーくらい。今シーズンはメンバーを固定できていない状況なので特徴を持った選手を4人も獲得できたのは良かったと言える。
FWルキアンは万能型のストライカーで、MFエベシリオは活動量の多いミッドフィールダーになる。2列目でもボランチでもプレーできるだろう。MF今野は説明無用のレジェンド。年齢的な衰えは心配されるがツボを押さえたプレーが出来る。ボランチで起用されるだろう。DF秋山陽は攻撃力のあるサイドプレーヤーになる。近年の磐田は左SB/WBが泣き所になっているので弱点を補う効果的な補強と言える。
補強が必要だったポジションに必要とされるキャラクターの選手を獲得できたので「充実した補強が出来た。」と言えたが8月3日(土)にFWロドリゲス(→ディナモ・キエフ)の移籍が確定した。CLに出場できる欧州の名門クラブへの移籍になるが移籍金は2億4,000万円と言われている。今夏、磐田が積極的な動きを見せることができたのは「FWロドリゲスの売却資金を充てにしていたから」と想像できる。
ルクセンブルク代表のFWロドリゲスは15試合で5ゴールを挙げている。10節の浦和戦(A)と19節の松本山雅戦(A)では後半の終了間際に劇的な決勝ゴールを決めている。圧倒的なフィジカルを持っており、右足のシュートは精度は低かったが強烈。常にゴールを目指してプレーをし続ける選手なのでハマったときの爆発力は物凄かったが好不調の波は激しくて守備面などマイナスの影響力も大きかった。
■ 独善的なプレースタイルがマイナスに作用することも・・・。「20試合で14得点しか奪えていない磐田のチーム内得点王」が流出するので戦力ダウンを指摘する声が多くなっているが個人的には「FWロドリゲスの流出はむしろプラスに働く可能性が高い。」と思う。並外れた「個の力」を持った選手なのでハイライト動画や好プレーだけを集めた動画では素晴らしく映える選手だと思うがネガティブに表現すると「セルフィッシュな選手」である。チームメイトは大変だっただろう。
すでに触れた通り、彼の「個の力」が炸裂して勝ち点「3」をもぎ取った試合もあるが、「チームメイトならびにチームのことは犠牲にしてとにかく自分の良さを出そうとする選手」だった。こういうプレースタイルの選手のことは「スタッツ・プレーヤー」と勝手に呼んでいる。バスケット由来の言葉になると思うが「いろいろなことを犠牲にして自分のスタッツを稼ぐことに力を注ぐ選手」なので好印象にはならない。
20試合で14得点しか奪えていないのは名波監督や鈴木秀人監督だけでなく、FWロドリゲスならびにFWアダイウトンにも大きな責任があると思う。今シーズンの磐田はシュート数は少なくない。1試合平均のシュート数は13.7本でJ1で6位。シュートは打てているが点が取れていない。これは両助っ人が強引なプレーが選択することが多くて確率の低いミドルシュートで攻撃が終わることが多かったのが理由と言える。
■ 拒否するのは難しいほどのオファー「FW川又の復帰がいつになるのか?」の情報は流れていないがFWルキアンあるいはFW川又がフォワードの軸になってMFエベシリオやMF今野が中盤の位置でプレーするようになったらチーム全体のバランスは良くなる。他の選手も気持ちよくプレーできるようになってチームとして上手く回るようになると個人的には考える。なので、すでに触れたとおり、「FWロドリゲスの流出はプラスに作用する。」と予想する。
また、移籍金が2億4,000万円と言われているがこれはとんでもない金額である。「独善的なプレースタイルだったこと」、「扱いやすいとは言えない気難しい性格」の2点も踏まえるとクラブとしてディナモ・キエフへの移籍の話を拒むのは難しいだろう。FWロドリゲスにとっても欧州の名門クラブでプレーするチャンスを棒に振るのは無理である。双方にとってプラスに働く「win-winの移籍になった。」と考える。
一連の流れは「FWロドリゲスの売却を見越してFWルキアンやMF今野などの獲得に動くことができた。」と見るのが自然。「FWロドリゲスを売却したお金でさらなる補強が行われる。」と考えるのは難しい。補強に関しては「4人で打ち止め」だと思うがJリーガーが日本での活躍を評価されてより大きなクラブに買われるというのはいい話である。半年で日本を去ることになったがディナモ・キエフでの活躍を期待したい。
★ 現在の投票数 → 143票
→ 必ず2チーム or 3チームを選択してから投票を行ってください。
→ 「コメント」のところは何も書かなくてもOKです。(投票可能です。)
関連エントリー
2019/06/29 【Jリーグ】 独断と偏見で選んだ「カッコいいと思うチャント」 (10選)
2019/06/29 【Jリーグ】 独断と偏見で選んだ「カッコいいと思うチャント」 (エクストラ)
2019/07/19 【J1・J2・J3】 12段階の個人別の戦力補強の評価 (2019年・夏の移籍市場) (その1)
2019/07/20 【J1・J2・J3】 12段階の個人別の戦力補強の評価 (2019年・夏の移籍市場) (その2)
2019/07/25 【J1・J2・J3】 12段階の個人別の戦力補強の評価 (2019年・夏の移籍市場) (その3)
2019/07/26 【J1・J2・J3】 12段階の個人別の戦力補強の評価 (2019年・夏の移籍市場) (その4)
2019/07/27 【J1・J2・J3】 12段階の個人別の戦力補強の評価 (2019年・夏の移籍市場) (その5)
2019/07/29 【J1・J2・J3】 12段階の個人別の戦力補強の評価 (2019年・夏の移籍市場) (その6)
2019/08/01 【J1・J2・J3】 12段階の個人別の戦力補強の評価 (2019年・夏の移籍市場) (その7)
2019/08/02 【J1】 2019年シーズンの記事一覧 (まとめ)
- 関連記事
-